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どうなる『アベンジャーズ:カーン・ダイナスティ』、物語のヒントを脚本家が明かす ─ 「新キャラ全員を炎の中に放り込む」

アベンジャーズ:カーン・ダイナスティ(原題)
 (c) 2022 Marvel

映画『アントマン&ワスプ:クアントマニア』を皮切りに、マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)は『アベンジャーズ』シリーズの第5・6作という新たなクライマックスに向けて進みはじめる。本作に登場する征服者カーンは、第5作『アベンジャーズ:カーン・ダイナスティ(原題)』までの物語を牽引する大型ヴィランなのだ。

もっとも『アベンジャーズ/エンドゲーム』を経て、アベンジャーズは事実上の解散状態にあり、現時点では新たな顔ぶれすらわかっていない。そんな中、『クアントマニア』『カーン・ダイナスティ』の両方を手がける脚本家ジェフ・ラブネスはMCUの今後を知るキーパーソンのひとり。英SFX Magazineでは、謎のベールに包まれている、現在執筆中の『アベンジャーズ』新作に関するヒントが語られている。

そもそもMCUにおいて、『クアントマニア』はフェーズ5の開幕作。まだ終わったばかりのフェーズ4を、ラブネスは「再構築の時期」として捉えている。「今は『アベンジャーズ/エンドゲーム』(2019)の嵐が去ったあとの静けさ。比較的平和な時期なのです」と。

「この感覚は現在の世界に通じるものだと思うんです。今は世界中の選挙が崩壊しているし、気候変動にはきちんと対処していないし、第三次世界大戦も常に起こりうる。今の状況は比較的良いものの、最悪の事態が、いつ、どんな形で起きてもおかしくないと誰もが思っていますよね。そして、そのことに誰もが無力感をおぼえている。最悪の事態への備えができていないと感じているからです。」

MCUはフェーズ3以降、現実の社会問題や政治情勢を積極的に反映してきた。ラブネスのアプローチもその延長線上にありそうだが、ポイントはアベンジャーズのメンバーがごっそりと入れ替わることだ。「アベンジャーズの新たな段階においては、“自分たちは上の世代に見合った存在になれるのか? 我々の世代の課題とは何なのか?”という感覚がある。そして、その課題こそがカーンなのです」とラブネスは強調する。

アントマン&ワスプ:クアントマニア
(c)Marvel Studios 2023

マーベル・スタジオのケヴィン・ファイギ社長によると、カーンは「行きたい場所、行きたい時間にどこへでも行ける」存在。しかも圧倒的な能力を持つ侵略者だから、サノス以上の強さであることはほぼ確実だ。そして新たなアベンジャーズは、どうやらカーンと渡り合える力をまだ獲得していないらしい。ラブネスは「まだ勝負の準備ができていない時、私たちは一体どうするのか。この時代の試練に対峙するため、どのように進歩するのか」が物語のヒントになることも示唆している。

『アベンジャーズ/エンドゲーム』以降、MCUには新たなスーパーヒーローが多数登場し、ドラマシリーズも始まったことでユニバースとしての幅が大いに広がった。だからこそ、ラブネスは「今こそアクセルを踏み直す時。新しいキャラクターたち全員を炎の中に放り込む時です」と意気込む。「本当にダイナミックな物語を準備しているところ。私個人としては、『アベンジャーズ:カーン・ダイナスティ』をひとつの世代の戦いとして構築している最中です」。

フェーズ4でばら撒かれたピースが、『カーン・ダイナスティ』や、続く『アベンジャーズ:シークレット・ウォーズ(原題)』に向けて少しずつ繋がっていく。その始まりとなる『クアントマニア』からフェーズ5が開幕することも、むろん製作陣の狙い通りだろう。“インフィニティ・サーガ”に続く“マルチバース・サーガ”の物語は、まだ始まったばかりなのだ。

映画『アントマン&ワスプ:クアントマニア』は2023年2月17日(金)全国公開。なお、『アベンジャーズ:カーン・ダイナスティ(原題)』は2025年5月2日に米国公開予定。

Source: SFX Magazine 2023 February

Writer

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稲垣 貴俊Takatoshi Inagaki

「わかりやすいことはそのまま、わかりづらいことはほんの少しだけわかりやすく」を信条に、主に海外映画・ドラマについて執筆しています。THE RIVERほかウェブ媒体、劇場用プログラム、雑誌などに寄稿。国内の舞台にも携わっています。お問い合わせは inagaki@riverch.jp まで。

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