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【ネタバレ】『アントマン&ワスプ』ポストクレジットシーン解説&制作秘話

アントマン&ワスプ
(C)Marvel Studios 2018

マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)作品の“お約束”といえば、エンドクレジットの後までお楽しみがぎっしり詰まった「ポストクレジットシーン」の存在だ。映画『アントマン&ワスプ』(2018)もむろんその例外ではない。

本記事では、『アントマン&ワスプ』を締めくくり、そして今後のMCUへとバトンを渡す、そんなポストクレジットシーンの解説とともに、ペイトン・リード監督による制作秘話をあわせてご紹介していく。

注意

この記事には、映画『アントマン&ワスプ』のネタバレが含まれています。

 

アントマン&ワスプ
(C)Marvel Studios 2018

https://www.youtube.com/watch?v=k0tX42kWAbE

『アントマン&ワスプ』ポストクレジットシーンに迫る

『アントマン&ワスプ』では、『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』(2016)ののち、主人公スコット・ラングが自宅軟禁を受けている、その“最後の数日間”が描かれる。父親としての平和な日常を賭けながら、スコットはハンク・ピム博士の妻であり、そしてホープ・ヴァン・ダイン/ワスプの母親であるジャネットを量子世界から救出するミッションに臨むのだ。
闇社会の商人ソニー・バーチや、ハンク博士への恨みと文字通り“身体が引き裂かれるような”痛みに苦しむエイヴァ・スター/ゴーストの妨害を受けながらも、スコットとホープ、ハンク博士はジャネットの救出に成功する。

本作のポストクレジットシーンは、エイヴァを治療するエネルギーを採取するため、スコットが再び量子世界へとダイブする場面だ。ハンク博士の開発した「量子トンネル」がルイスの車に積まれており、ホープやハンク博士、ジャネットのサポートによって、スコットは無事に量子世界に飛び込む。しかしスコットと3人の通信は突如として途切れる。ビルの屋上では、3人が立っていたはずの場所に塵が舞い、ハンク博士の握っていた通信機が機械からだらりとぶら下がっていた。こうして“誰もいなくなった”あと、スコットの自宅では、主人の代わりに一匹のアリがドラムを叩いている……。

『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』(2018)以前を描いた『アントマン&ワスプ』の時系列は、このポストクレジットシーンによって、『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』のラストとぴったり一致することになる。
同作の結末では、サノスが6つのインフィニティ・ストーンを手中に収め、指を鳴らして全宇宙の生命を半分に減らしてしまうのだ。ヒーローたちは次々と塵のように消えていく。ワカンダや惑星タイタンから遠く離れたサンフランシスコでも、ホープとハンク博士、ジャネットがその犠牲となったのである。

アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー
『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』(2018) © Marvel Studios 2018

『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』との繋がり

軽快なコメディタッチが全編を貫いた『アントマン&ワスプ』は、こうして映画の幕切れにおいて『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』と同じ衝撃を観客にもたらす。
ペイトン・リード監督は、このポストクレジットシーンを製作の初期段階で思いつき、もちろん自ら演出を担当したことを明かした。本編の“その後”が始まったかと思いきや、突然に事件が起こる展開について、監督は「『インフィニティ・ウォー』の壮大でドラマティックな結末を扱うには、これが『アントマン&ワスプ』らしい方法だと思ったんです」と話している。また「観客をぶん殴るようなものですよね」とも……。

「この映画は(スコットの)自宅軟禁の最後の3日間が舞台となっています。それがサノスの事件の何日前なのかはハッキリしないんですが。(映画のラストで)ハンクとジャネットは離島に行って、海辺の家でほんの少しだけ過ごしたあと、戻ってきて量子実験をやっていたんだと思います。[中略]だから(“指パッチン”までの期間は)そう長くないですよ。彼らは自分の世界で自分のことをしていて、(マーベル・ユニバースで)起こっている出来事にはまったく気づいていませんしね。」

監督によれば、ポストクレジットシーンの内容には複数のアイデアがあったとのこと。ビル・フォスターとエイヴァ・スター/ゴーストが登場する案、ルイスが登場する案などが検討されていたものの、結局は「誰を登場させるかが大きな問題だった」という。

「(決め手になったのは)『インフィニティ・ウォー』で描かれた、“誰が残っているのか”という問題を無視できなかったことでした。映画に登場する最終版を考えた時には、これが正しいと思いましたね。」

それでは、スコットの娘キャシーやルイス、カート、デイヴ、そのほかのキャラクターは無事なのだろうか。この疑問について、ペイトン監督は「答えないことにしているんです」と述べて明言を避けている。 

スコット・ラング/アントマン、どうやって帰還する?

ところで気になるのは、「量子世界に飛び込んだスコットはどうやって元の世界に戻ってくるのか」という問題だ。前作『アントマン』(2015)ではハンク博士の開発したディスクが帰還のカギになったわけだが、監督いわく、今回のスコットはディスクを持たずに量子世界へ飛び込んでいるのだという。ホープたちが消えた後もスコットの声は聞こえていたため、どうやらスコットは消滅を免れたらしい。しかし今のスコットは、もはや自力で元の世界へ戻ることができない……。

本作のポストクレジットシーンには、こうした課題を解決しうる、そして『アベンジャーズ/エンドゲーム(邦題未定、原題:Avengers: Endgame)』でカギを握ることになりうるキーワードが飛び出している。量子世界に飛び込む直前、ジャネットはスコットに「時間の渦(time vortex)に吸い込まれないように」と声をかけているのだ。
『アベンジャーズ』第4作については、以前からファンの間で「タイムトラベル発生説」がささやかれているが、もしやスコットが“時をかける”ことになるのだろうか? 実際のところ、ペイトン監督は「タイムトラベル発生説」を否定していない。

「前作、そして本作で描いた科学に基づけば、(タイムトラベルの)可能性を除外することはしませんよ。時間の渦を扱っているわけですから、その可能性はありますよね。」

こうして、『アントマン&ワスプ』は大きな衝撃と謎をもって物語の幕を閉じた。「アントマンとワスプは帰ってくる?(Ant-Man and the Wasp will return?)」という、掟破りの「?」が付いたフレーズも意味深だ。しかし監督によると、これにはさほど大きな意味はないらしい。

「ちょっと遊んでみました。『007』から僕はこういうものが大好きなんです、“ジェームズ・ボンドは『ユア・アイズ・オンリー』で帰ってくる”みたいなのがね。だから最後にクエスチョンマークを付けたくなったんです。この映画らしいアイデアだと思って。」

映画『アントマン&ワスプ』は2018年8月31日(金)より全国ロードショー

『アントマン&ワスプ』公式サイト:https://marvel.disney.co.jp/movie/antman-wasp.html

Sources: Comicbook.comEmpire, Huffpost

Writer

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稲垣 貴俊Takatoshi Inagaki

「わかりやすいことはそのまま、わかりづらいことはほんの少しだけわかりやすく」を信条に、主に海外映画・ドラマについて執筆しています。THE RIVERほかウェブ媒体、劇場用プログラム、雑誌などに寄稿。国内の舞台にも携わっています。お問い合わせは inagaki@riverch.jp まで。

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