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『スター・ウォーズ』より『パワーレンジャー』だ! ─ 「悪魔城ドラキュラ」製作者、「帝国軍の何が悪なのか?」と疑問

スター・ウォーズ
©THE RIVER

突然だが、あなたは『パワーレンジャー(もしくはスーパー戦隊シリーズ)』『スター・ウォーズ』、どちらが好きだろうか?

両シリーズ共1970年代に誕生し、現在進行系で新作が制作されている世界的な長寿コンテンツ。作品と共に育ち、今なお憧れを抱き続ける大人たちも多いだろう。

スター・ウォーズ
©Twentieth Century-Fox Film Corporation Photographer: John Jay 写真:ゼータ イメージ

どちらも長い歴史の中で様々な変遷を辿り、新たな解釈を取り入れた映画化を行っている。その度に新たなファンが生まれ、古くからのファンは時に複雑な思いに至ることもあった。こういった点で、『パワーレンジャー』も『スター・ウォーズ』も、似た者同士なのかもしれない。

(c)2017 Lions Gate TM

帝国軍はなぜ悪なの?

「『スター・ウォーズ』より『パワーレンジャー』の方が良い!」と主張するのは、『ジャッジ・ドレッド』(2012)やNetflixアニメ「悪魔城ドラキュラ -キャッスルヴァニア-」プロデューサーのアディ・シャンカルだ。アニメやゲーム文化で育ち、作品に強いこだわりを持つアディは、「スター・ウォーズは、パワーレンジャーほどイケてないと本当に思う」との持論を、米Comicbook.comのインタビューで展開している。

「パワーレンジャーは善と悪の話じゃない。そんなことないし、これまでも決してなかった。どちらか一方のレンズを通じて語られるストーリーなんです。実際に描かれているのはグレーの濃淡(=善悪の曖昧なバランス)。登場人物が力を合わせて、この濃淡に打ち勝とうという話なんです。だからパワーレンジャーは素晴らしい。

スター・ウォーズは善と悪の話でしょう。僕ね、帝国軍の連中の何が悪いのかがサッパリ分からないんですよ。今でも分からないですね。あいつら、朝起きて同じ制服を着て、反乱軍に殺されるでしょう。理由は同じ服を着ているから?意味がわからない。確かに、惑星をぶっ飛ばしたりはしましたよ。でも、それだって個人の憎悪によるしょうもない理由でしょう。そういう意味で、パワーレンジャーの方がスター・ウォーズよりよっぽどイケてますよ。」

アディが主張するように、『スター・ウォーズ』シリーズに一貫したテーマはジェダイ対シス、反乱軍対帝国軍、レジスタンス対ファースト・オーダーといった善と悪の物語。しかし、確かに帝国軍やファースト・オーダーの下級兵らに確立した思想はなく、あくまで組織内の責務や出世レースのために任務を遂行しているに過ぎない。

「いやぁ、スター・ウォーズって本当に酷いなって思うんですよ。あれは酷いシリーズですよ。価値として酷い。スター・ウォーズから何を学べばいいんですか? “俺たちは反乱軍だ、同じ制服姿の連中をぶっ飛ばそうぜ”って?それって善と悪なんですか?何が酷いって、あの世界における本当の悪者って、ごくごくわずかしかいないことですよ。悪の存在は物語を通じて分かるんだけど、でも悪にも悪なりの物の見方があるじゃないですか。悪から見た世界ってものがあって…。でも、その悪の視点を分かろうとしないなら、あなたも自分が悪じゃないと言い切れますか?

スター・ウォーズ ストーム・トルーパー
©THE RIVER

賛成?反対?

筆者は、『スター・ウォーズ』はダース・ベイダーなどヴィラン側のレンズを通じて「悪の視点」を描こうと試みていると考えているので、アディの主張を全面的に支持することはできない。近年作におけるカイロ・レンやスノークにおいても同様で、続く『エピソード9』や派生作品で彼らの心理状況が明かされると思われるし、制服姿のいち兵士の葛藤を代弁したフィンのようなキャラクターも忘れるわけにはいかないだろう。

なお筆者は、実際にこのアディ・シャンカル氏にお会いし、インタビュー取材でお話させていただいた事がある。ロックスター、もしくはゲーム・キャラクターのような鋲付きのレザージャケットとグローブ姿で現れたアディは、筆者がこれまでインタビューさせて頂いた業界人のなかでも最も寡黙で、ぽつり、ぽつりと話すタイプだった。ポップカルチャーについては、褒め言葉としての「筋金入りのオタク」の称号が相応しい。アディが肩入れしたのはパワーレンジャーだが、それもそのはず、2015年にはパワーレンジャーを描く自主制作の短編映画『POWER/RANGERS UNAUTHORIZED』をプロデュースしているのだ。

香港育ちのアディは、幼少期に『吸血鬼ハンター”D”』や『北斗の拳』、『AKIRA』や『宇宙海賊キャプテンハーロック』など日本のアニメを観て育つ。その好みが友人に理解されず、好きなアニメのイラストを描いて周囲にプレゼン、そのころより「絵は文字よりも語る」感覚を得ていく。一緒にゲームをできる友人も少なかったため、『ファイナルファンタジー』や『ダーククラウド』、『ワイルドアームズ』『スターオーシャン』といった1人でも楽しめるRPGゲームに没頭した。『トランスフォーマー』よりも圧倒的に『機動戦士ガンダム』を好み、愛用のiPhoneケースはドラえもん。自身が手がけたNetflixアニメ「悪魔城ドラキュラ -キャッスルヴァニア-」の原作ゲームシリーズは全作やり込み済み。自身は『ガッチャマン』の映画化を熱望、タツノコプロには売り込みのメールを何度も送っているほどの情熱を燃やしている。

「悪魔城ドラキュラ ーキャッスルヴァニアー」取材時のアディ・シャンカル。©THE RIVER

『スター・ウォーズ』の帝国軍は無価値だろうか?「ごくごくわずか」の悪者である司令塔に振り回され、統一的価値観のもとで独裁主義に傾向するナチズムを描いているのではないか?もしも再びアディにお会いできれば、改めて論議に挑んでみたい。

その日は、そう遠くないのかもしれない。アディが手がけたアニメ「悪魔城ドラキュラ -キャッスルヴァニア-」は美麗なビジュアルと原作に忠実な物語が人気を博し、早くもシーズン2の制作が決定。『アサシン・クリード』アニメ版企画にも携わるなど、今後も精力的な活躍が期待を集める人物の1人なのだ。

Source:Comicbook.com

Writer

中谷 直登
中谷 直登Naoto Nakatani

THE RIVER編集長。ライター、メディアの運営や映画などのプロモーション企画を行っています。お問い合わせは nakatani@riverch.jp まで。

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