新『スーパーマン』予告編、なぜいきなりボロボロで登場するのか? ─ ジェームズ・ガンがひたすら打ち出す「人の優しさ」

新たなDCユニバースは、いきなり四面楚歌の場面から始まる。新生DC劇場映画第1弾『スーパーマン』初となる予告編映像で、最強ヒーローのスーパーマンは氷雪地帯に投げ打たれ、満身創痍で弱りきっている。彼はスーパーパワーを持つ愛犬のクリプトを呼び寄せ、“家”まで連れて行ってくれと頼む(ここで言及された家とはカンザスの自宅ではなく、“孤独の要塞”であることが主演デヴィッド・コレンスウェットによって示唆されている)。
「冒頭に、ボロボロになったスーパーマンが登場します。それが私たちの国です」。監督・脚本のジェームズ・ガンは、本国で行われたQ&Aイベントでそう語ったと米Varietyは報告している。ガンは本作の題材について、人間性、あるいはその性善であると強調している。
「僕は人間の善意を信じていますし、この国のほとんどの人は、そのイデオロギーや政治思想さえ違えど、善人になるために尽くしていると信じています。相手からどう見えようとも、相手がどうであろうとも。本作は、そういったことを描いています。人間の基本的な優しさが、カッコ悪いことと見なされたり、より暗い声や、より大きな声によって非難に晒されることもあり得るということを描く映画です。」
あたらしいスーパーマンは、アメリカ国民に寄り添うヒーローとして投影されるようで、それはコスチュームデザインにも現れている。今回のコスチュームでは赤いパンツが再現されているのだが、この滑稽とも捉えられかねない部分には“人に恐れられたくない”というスーパーマンの思いが込められていると、ガンは説明していた。「彼はエイリアンだし、凄まじい力を持っている。目からビームを撃つこともできる。信じられないほど力強い。ややもすれば恐ろしいと言われるかもしれないような個性があって、それでも人々に好かれたいと思っている。希望やポジティブさの象徴になりたいと願っているんです。だからプロレスラーのような格好をするんです」。
スーパーマンは傷ついた状態で登場し、予告編の中頃には街の人々から憎しみと共に罵られ、モノをぶつけられる様子まで描かれている。それでもガンは、“人の優しさ”を描くと伝える。クリプトン星からやってきたスーパーマンは、移民の象徴として語られることもある。そんな彼が、自分を嫌う“国”のために、満身創痍になって戦う理由とは。その果てでガンが伝えたい、“人の優しさ”とは。
「僕たちがやっていることの本質を見ていただくのが楽しみです。僕たちみんなが溜め込んできた、個人的な秘密のようなものです」と、ガンは話している。「はじめから道徳的な場所にあることにも、とても手応えを感じています。クオリティの面でも、これをファシズム的なパワー・ファンタジーのようにしなかったという面についても、うまくやれたと全員が感じています」。
映画『スーパーマン(原題)』は2025年7月11日に米国公開予定。
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Source:Variety