『BFG ビッグ・フレンドリー・ジャイアント』毒気を抜かれた美しいファンタジー

毒気を抜かれた美しきファンタジー
子どもの心を捉えて離さないファンタジーと、痛烈な皮肉とが共存しているロアルド・ダール作品。『チャーリーとチョコレート工場』が皮肉部分を強調した映画化だとしたら、『BFG ビッグ・フレンドリー・ジャイアント』はファンタジー部分を強調した映画化だ。ひとつひとつのシーンだけを見れば、高いクオリティで非の打ちどころがない。ロアルド・ダールファンは、子どもの頃に夢中になって読んだ世界が目の前に出現していることに興奮するだろう。しかし、残酷だったり痛烈だったりする部分をオブラートに包みすぎてしまったせいで、何を伝えたいのかがボンヤリとしてしまい、凡庸な子ども向けファンタジーになってしまっている感は否めない。BFGを演じていたマーク・ライランスの演技があまりにも素晴らしかっただけに、気弱で優しいだけではなく、”毒気”の部分もしっかりと問いかけるBFGを描いてほしかったという気持ちになる。
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