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ドラマ「ブラックリスト」シーズン8、裏話大放出 ─ プロデューサーのロングインタビュー全文

ブラックリスト
(c) 2020, 2021 Sony Pictures Television, Inc. and Open 4 Business Productions LLC. All Rights Reserved.

シーズン7、驚きのアニメ化の裏側

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──シーズン7の終わり方についてなのですが、コミックやアニメファンとしても素晴らしかったと思います。キャストのメッセージもよかったです。コミック調の吹き出しの演出や、アニメのエリザベスの最初のセリフ「I’ll be transformed(日本語訳:「私は変わる」)」など、あのアイデアはどう生まれたのですか?

あのエピソードは2020年3月に撮影する予定になっていました。半分まで撮影が済んでいたのですが、そこでパンデミックになって中断してしまいました。みなさんと同じように、どうやってこのシーズンを完結させようかと検討しました。その時点では第19話で、本来全部で22話あり、エンディングに向けた最後の3話分の脚本も書き上がっている状態だったんです。撮影が完了していたのは18話まででしたが、残念ながらシーズンを終えられる内容ではありませんでした。これではシーズンが終えられない、という状況だったんです。そして、(第19話は)半分まで撮影が終わっていて、少し調整すれば良い終わりになりそうでした。さて、どうやってこのエピソードを完成すればいいか―。

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私がいつも思っていたことなんですが、このドラマはグラフィック・ノベルのようなところがあります。別世界の話ですし、登場する犯罪者たちもグラフィック・ノベルに出てきそうですよね。なので、アニメにするというのはそこまで突拍子もないアイデアだったわけでもないんです。どうすれば、空いた穴を埋められるかと考えたときに、運がいいことに私の義兄がいろいろなアクション大作でプリビズ(CG映像によるイメージ設計)を制作する会社をやっていたんです。なんと、スケジュールと予算内で、どう仕上げればいいかが分かりますよ、と。私はアニメーションについては専門外だったので、アニメ化なんて相当時間がかかるんじゃないかと思っていました。本当に間に合うんだろうかと。でも、こういうタイプのアニメ制作なら彼も慣れっこで、彼の会社でも実績があったので、素早く仕上げてくれました。おかげで、物語の続きを進められたというわけです。みなさんに気に入っていただけるものが出来て、本当に嬉しく思います。

クリエイティブ上で最も難しかったところは、アニメと実写が交じったシーンをどうつなげるかということでした。エリザベス・キーンがアニメ世界に登場したシーンを書き直して、彼女の感情的な変化を繋げようとしました。レディントンや祖父についての知らせを聞いての一変が、実写からアニメへの切り替わりと重なるんです。視覚的な変化も出したかったので、とてもうまくいったと思います。時間や予算、制作スケジュールの制約もあって、アニメなんてやったこともなかったことを考えると、素晴らしい成功でした。

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制作はすべてリモートで行われたのですが、役者たちも雑音が入らないようにクローゼットに籠もってセリフを読んでいるんですよ。ひとりで演技をするわけですから、リアクションも取れない。それでも、素晴らしい仕事をしてくれたと思います。やり直しや追加をお願いしたことはほとんどありませんでした。それぞれ別の環境で作業しながらも、とてもスムーズにできたと思います。(録音用の)マイクを送って、アプリからアップロードしてもらいました。パンデミックのさなか、それぞれの自宅から作ったんです。エディターも自宅で編集作業でした。想像していたより、ずっとうまく事が運んだと思います。個人的には、もっとアニメのエピソードをやりたいくらいですよ!

──「ブラックリスト」はあなたのキャリアの中でも最も長く続いた作品の一つになりました。本作について、これまでで最も満足していることはなんですか?

こんなに成功したシリーズで仕事ができて、私はとてもラッキーだと思います。とんでもない才能の脚本家や役者たちとも一緒に仕事をすることができました。私は「ブラックリスト」に携わるすべてのキャストのファン。当然ですが、ジェームズ・スペイダーのような素晴らしい役者とご一緒できるのは、当初からずっと歓びでした。これは忘れられないんですが、パイロット版で監督がスペイダーに、彼がエリザベス・キーンと初めて会って話すところを、ゆっくり話すように演出されていたことがあります。自分にまつわるすべては嘘で、自分は犯罪者で、自分の言うことは信じるな、というところですね。シリアスな場面でしたが、そこから自虐的で気のいい面を見せて、かと思えばまたシリアスに戻る。これを一瞬でやるんですよね。カメラにも3~4分は抜かれていたと思います。これを見て、彼はすごい役者だと実感しました。こりゃあ賞も取るだろうし、賞賛もされるはずだと。それくらい驚異的でした。

それから、脚本家たちとの仕事も、実にやりがいがありました。特にジョン・ボーケンキャンプですね。ネブラスカ出身の彼とは、このドラマで初めて出会いました。今まで誰かと一緒に書くということはなかったので、素晴らしい経験になりました。彼や他の脚本家たちとずっと仕事ができたことは、個人的にもとても刺激を受けました。ドラマシリーズで脚本を書くのは、これだから好きなんです。映画で執筆したことはありませんが、部屋で1人きりで書いているイメージがあります。でもドラマでは他の脚本家たちと毎日一緒に過ごすんですね。一緒に座って、ストーリーのアイデアをあれこれ話し合う。私が「ブラックリスト」でご一緒したような才能ある脚本家たちと一緒にいられたことは、何よりの歓びです。

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──エリザベス・キーン役のメーガン・ブーンは、このドラマ以前には「LAW & ORDER:LA」に出ていて、「ブラックリスト」が始まった頃は新進気鋭の俳優でした。彼女をキャスティングした理由はなんですか?

まさにその通りで、パイロット版に向けてキャスティングをしていた頃、一番最初にキャスティングが決まったのが彼女でした。ジェームズ・スペイダーの起用よりずっと前のことでした。彼女がセリフ読みに現れたときのことは、昨日のことのように覚えています。エリザベス・キーンは当時、若くて理想主義者で、注目の若手女優だったメーガンと重なるところもありました。一方で、「犯罪者のように考えろ」というセリフもあったように、彼女はこのキャラクターと共にダークな道を進むことになるということは、オーディションの時から我々は分かっていたわけです。彼女なら、若さやフレッシュさ、無垢なところもありながら、ダークな部分を引き出す能力も持っていると、私は最初から強いフィーリングがありました。ダークな演技は今後求められると思っていましたし、パイロット版でも必要なものでしたから。ペンをジェームズの首に刺すシーンのようにね。オーディションに参加した他の候補者たちの中でも、彼女は群を抜いていました。若さやフレッシュさを出せる方はたくさんいましたが、ダークさも持ち合わせていたのは彼女くらいだったんです。

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THE RIVER編集部THE RIVER

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