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『スター・ウォーズ』ボバ・フェットのスピンオフ映画が製作中止に ― ドラマ「ザ・マンダロリアン」に集中の方針

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『スター・ウォーズ』シリーズの人気キャラクター、ボバ・フェットを主人公とするスピンオフ映画が製作中止となっていたことがわかった。ジャーナリストのエリック・ウェバー氏による速報ののち、米DeadlineVarietyが報じている。

ボバ・フェットは『エピソード5/帝国の逆襲』(1980)、『エピソード6/ジェダイの帰還』(1983)に登場し、ファンからの支持を獲得したキャラクター。『エピソード2/クローンの攻撃』(2002)では幼少期のボバと父ジャンゴのエピソードが描かれた。

ボバ・フェット、スピンオフ企画の紆余曲折

これまでルーカスフィルムは、ボバ・フェットのスピンオフ映画を製作しようと取り組みを続けてきた。2014年に本企画は初めて始動しており、監督にリブート版『ファンタスティック・フォー』(2015)のジョシュ・トランク、脚本に「X-MEN」シリーズのサイモン・キンバーグが起用されたのである。しかし公式発表の直前にジョシュ監督はプロジェクトを降板し、その後の状況は不明となってしまった。

再びボバ・フェットを主人公とする映画の話題が持ち上がったのは、『ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー』(2018)の米国公開直前にあたる2018年5月下旬のことだった。脚本・監督に『LOGAN/ローガン』(2016)などのジェームズ・マンゴールド監督が就任し、再び企画が前進しはじめたというのだ。
ところが、その約1ヶ月後には早くも企画に暗雲が立ち込めてきた。2018年6月下旬、『ハン・ソロ』の米国興行収入がディズニーの期待に及ばなかったことを受けて、ルーカスフィルムが『スター・ウォーズ』スピンオフ映画の企画を保留するとの報道が流れたのである。ボバ・フェットの企画は健在とも伝えられたが、マンゴールド監督も企画への関与を否定していた。

スター・ウォーズ
Photo by Roger Schultz https://www.flickr.com/photos/elaws/3775264842

製作中止、そして「ザ・マンダロリアン」へ

このたび、映画『ブラックパンサー』(2018)の上映イベントにて、ジャーナリストのエリック・ウェバー氏がルーカスフィルムのキャスリーン・ケネディ社長を直撃。「ボバ・フェットの映画は完全に終了、ドラマ『ザ・マンダロリアン』に完全集中」との方針を聞き出したのである。

その後、この情報に追随したのがハリウッドの大手メディアだった。Deadlineはボバ・フェットのスピンオフ企画が現在進められていないこと、マンゴールド監督が企画に携わっていないことを確認しているほか、同じくVarietyも本企画が進行していないことを伝えている。2014年に始動したボバ・フェットのスピンオフ映画は、4年を経て中止に至ったとみてよさそうだ。

 

現在ルーカスフィルムは、2019年にディズニーが開始するストリーミング・サービスの目玉コンテンツとして、『スター・ウォーズ』初の実写ドラマシリーズ「ザ・マンダロリアン(邦題未定、原題:The Mandalorian)」を進行中。「ジャンゴとボバ・フェットの物語の後、新たな戦士がスター・ウォーズ・ユニバースに現れる」として、帝国軍の崩壊後、ファースト・オーダーの誕生以前を舞台に、銀河のはずれを生きる孤独なガンマンを描くストーリーになるようだ。
ちなみにマンダロリアンとは、惑星マンダロアの戦闘民族のこと。厳しい戒律に、ジェットパックや火炎放射器など多彩な武器と特徴的な装甲服で知られ、賞金稼ぎのジャンゴ&ボバ・フェットもマンダロリアンの装甲服と武器を使用しているのだ。

本作で脚本・製作総指揮を務めるのは、『アイアンマン』(2008)や『ジャングル・ブック』(2016)の監督などで知られるジョン・ファヴロー。監督にはアニメ「スター・ウォーズ/クローン・ウォーズ」「スター・ウォーズ 反乱者たち」のデイブ・フィローニ、「Marvel ジェシカ・ジョーンズ」のデボラ・チョウ、『DOPE ドープ!!』(2015)のリック・ファミュイワ、『ジュワシック・ワールド/炎の王国』(2018)クレア役の女優ブライス・ダラス・ハワード、そして『マイティ・ソー/バトルロイヤル』(2017)のタイカ・ワイティティといった個性豊かなメンバーが起用された。

残念ながらボバ・フェットのスピンオフ映画は中止となったが、ボバ・フェット本人でこそないものの、マンダロリアンを描く新たな物語が遠からず始まろうとしている。孤独なガンマンはどんな旅を繰り広げ、『スター・ウォーズ』ファンにどんな思いを抱かせてくれるのか……。いずれ来たる配信開始を楽しみにしておこう。

Sources: Erick Weber, Deadline, Variety

Writer

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稲垣 貴俊Takatoshi Inagaki

「わかりやすいことはそのまま、わかりづらいことはほんの少しだけわかりやすく」を信条に、主に海外映画・ドラマについて執筆しています。THE RIVERほかウェブ媒体、劇場用プログラム、雑誌などに寄稿。国内の舞台にも携わっています。お問い合わせは inagaki@riverch.jp まで。