『ボヘミアン・ラプソディ』主演ラミ・マレック、降板監督との確執語る ─ 「楽しい経験では全くなかった」

映画『ボヘミアン・ラプソディ』でフレディ・マーキュリー役を演じたラミ・マレックが、製作途中に降板したブライアン・シンガー監督との確執について語った。
2019年2月1日(現地時間)、米カリフォルニア州にて開催されたサンタバーバラ国際映画祭に登場したマレックは、米The Hollywood Reporterの記者が司会を務めたトークイベントにてシンガー監督について言及。『ボヘミアン・ラプソディ』のアカデミー賞作品賞ノミネートが発表された直後に伝えられた、シンガー監督による未成年への新たな性的暴行疑惑についてもコメントしている。
「まったく楽しいものではなかった」
『ボヘミアン・ラプソディ』でのシンガー監督との仕事について尋ねられると、フレディ・マーキュリーやクイーンを話題の中心にしたいとの思いから、マレックは多くを語ろうとはしなかったそう。しかし「ブライアンとの経験は楽しいものではまったくありませんでした。今のところお話しできるのはこれだけです」と述べたとのことだ。監督の性的暴行疑惑が伝えられる中、マレックは被害者に思いを馳せ、このようにも語っている。
「慰めを求めている方のために言えば、ブライアン・シンガーは解雇されたのです。ブライアン・シンガーはクビになった。誰かが予想できたことではなかったと思いますが、僕はそうなるべきだと思っていましたし、そうなったんです。」
『ボヘミアン・ラプソディ』からシンガーが解雇されたのは2017年12月のこと。理由はシンガーが撮影現場に現れなくなったからだとも、出演者やスタッフがシンガーの振る舞いに耐えきれなくなったからだとも、主演のラミ・マレックとシンガーが衝突を繰り返したからだとも伝えられてきた。時期を同じくしてシンガーの性的暴行疑惑が伝えられたことから、そちらが本当の解雇理由であるとの説も浮上していたのである。
第76回ゴールデングローブ賞で『ボヘミアン・ラプソディ』が作品賞・主演男優賞(ドラマ部門)を受賞した際、マレックやプロデューサーのグレアム・キング氏はシンガーについて一切言及しなかった。のちにキング氏は、シンガー側の説明である「家族の急病」という理由に即する形で降板劇を振り返っている。しかしマレックによる「僕は解雇されるべきだと思っていた」とのコメントは、家族の急病だけが降板の理由でないことを示唆しているだろう。
トークの中でマレックは、ハリウッドで継続的に告発されている性的暴行の被害者に寄り添う言葉を繰り返して発している。
「僕の聞いた出来事、また世間に存在しているような出来事を経験しなければならなかった方々のことを思います。とても恐ろしいことですし、そういう出来事が起こっていることに注目すべきなのです。彼らが経験してきたことや、それがいかにつらかったかを、僕はきちんと理解しています。#MeTooの時代に、今でもそういう出来事が続いているのは恐ろしいことです。」
「それぞれの経験を語ることに抵抗を感じてほしくないんです。全員の声に耳が傾けられるべきであること、ブライアンとの出来事を話したい人は誰でもその声を聞いてもらえるべきだということを、ここで僕はお話ししているんですよ。」
『ボヘミアン・ラプソディ』は第91回アカデミー賞で作品賞・主演男優賞・編集賞・音響編集賞・録音賞の5部門にノミネートされている。ノミネートの発表後に判明したシンガー監督の新たな疑惑が結果に影響を及ぼすかどうかは不明だが、ゴールデングローブ賞に続いての作品賞受賞は難しくなったとの予測もなされている状況だ。なお20世紀フォックスとの契約により、シンガーは作品完成前にプロジェクトを解雇されたにもかかわらず、報酬として4,000万ドルを受け取るといわれている。
映画『ボヘミアン・ラプソディ』は全国の映画館にて公開中。
Source: THR