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『ブラックパンサー』でマーベルが深めるダイバーシティ ─ 国際派キャスティング、その手本は『ワイルド・スピード』

© Universal Pictures

ライアン・クーグラー監督の元に数多くの実力派黒人キャストが集結し、公開前から世界的なムーブメントと化している『ブラックパンサー』において、マーベル映画はさらなるダイバーシティを帯びていく。もしもあなたが、『ブラックパンサー』の作品性および登場キャラクターが今後のマーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)に欠かせない重要な存在となる予感がしているなら、どうやら正しいようだ。プロデューサーのネイト・ムーアが語ったところによると、マーベル・スタジオは今後継続的に『ブラックパンサー』のアセットを活用していくつもりのようだ。ScreenRantが伝えた。

「私たちは、誰もが共感できる要素を常に取り入れようと努力していて、それは(人種的に)まんべんないキャスティング起用に限ったことではありません。『ブラックパンサー』こそ大きなポイントで、たくさんの続編を制作したり、キャラクターを他のフランチャイズに投入し続けていきたいものです。面白い織り交ぜ方があると確信していますから。」

MCUといえば、ヒーローとしての活躍はもとより、「マスクの下の素顔」に誰もが共感できるドラマとして絶大な支持を集めている。その本質を突き詰めていけば、世界中の誰もが共感できる多種多様なヒーローをスクリーンにもたらすという表現原理に直面するだろう。アフリカの奥地ワカンダに実は優れた超文明が存在し、欧米諸国をリードするという『ブラックパンサー』の基本設計は、世界中の有色人種(主に黒人)のプライドを賛える歓迎作。もちろん、現行の『アベンジャーズ』映画シリーズにはファルコン/サミュエル・ウィルソンも存在するが、そこにティ・チャラやシュリといったワカンダの精鋭が加わることで、更なるダイバーシティを得ていく。マーベルは、その国際色豊かな配役について『ワイルド・スピード』シリーズを手本にしているようだ。

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「キャスティングについては、人種や性別に関係なく、ベストな役者を選ぶものと考えています。時に(オリジナルの要素に)踏み込むこともあって、『ドクター・ストレンジ』(2017)のエンシェント・ワンは良い学びになりました。ステレオタイプを避けようとすると、後天的な問題が生じてしまうんですね。でも、私たちとしては万人に向けたストーリーを伝えたい。『ワイルド・スピード』シリーズのキャスティングはどこに行っても通用する好例で、世界中の誰もが必ずいずれかのキャラクターに結びつくでしょう。これこそ価値がある。文化的な本質を捉えるのは難しいと思いますが、それでもやる意義があるものです。」

ネイト・ムーアが指摘する『ワイルド・スピード』は、確かにバラエティに富んだキャラクターがチームを彩る。アメリカ出身の白人ヴィン・ディーゼルとポール・ウォーカー、プエルトリコ系のミシェル・ロドリゲスに黒人のタイリースやリュダクリス、イギリスからはジェイソン・ステイサムに韓国系のサン・カン、イスラエルのガル・ガドットらが「ファミリー」として団結する。『ワイルド・スピード』ファンならご存知のように、ストーリー的にも極めて自然な形で、人種的な「ヌケ・モレ」を限りなく排除していると言えよう。

© Universal Pictures
『ワイルド・スピード EURO MISSION』より
©Universal Pictures

『ブラックパンサー』を経て、MCUはより普遍性を増していくだろう。強いて言うなら、MCUにはまだまだアジア系のキャストが少ない。ひとまずは、『ドクター・ストレンジ』出演の中国系俳優ベネディクト・ウォンの活躍に期待するとしよう。

Source:https://screenrant.com/black-panther-sequels-spinoffs/

Writer

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中谷 直登Naoto Nakatani

THE RIVER創設者。代表。運営から記事執筆・取材まで。数多くのハリウッドスターにインタビューを行なっています。お問い合わせは nakatani@riverch.jp まで。

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