『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー』、『ターミネーター2』から大きな影響受けていた ─ 「90年代映画のようにしたかった」と監督

マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)映画『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー』は、故チャドウィック・ボーズマンへの敬意を込めた、とても静かで、厳粛で、またスリリングな一作だ。同時に、MCUらしい胸躍るアクションがたっぷりのスーパーヒーロー映画である。
監督・脚本のライアン・クーグラーは、本作を手がけるにあたり、さまざまな90年代映画に影響を受けたことを明かしている。米/Filmにて、クーグラーは「(本作を)90年代映画のように感じられる作品にしたいと時折話していました」と語った。
ズバリその心は、アクション大作らしいスペクタクルと、観る者の心にふれる人間ドラマを両立させること。「ワクワクするアクション映画でありつつ、喪失が人間を変えてしまうことを描いた映画だと思ってほしかった」というクーグラーは、「90年代のジェームズ・キャメロンやスティーブン・スピルバーグのような大スケールのアクションに、『マルコムX』(1992)や『コンタクト』(1997)を融合し、自分たちなりの『ジュラシック・パーク』(1993)や『ターミネーター2』(1991)にしたい」との狙いがあったことを認めている。
なかでもクーグラーが特に思い入れを抱いていたのは、ジェームズ・キャメロン監督による『ターミネーター2』だ。米Colliderのインタビューでは、本作で初登場するネイモアや、彼が率いる王国タロカンとワカンダの衝突に、同作からヒントを得た部分があったと語る。監督はネイモアを、あくまでも「ヴィラン」ではなく「敵対者(antagonist)」として捉えているのだ。
「(ネイモアは)主人公たちと衝突することになりますが、両者が同じものを求めているところが面白いと思うんです。彼らは別の人間であり、背景も違うから、それぞれ違った形で同じものを求める。だからお互いに衝突し、危険があらわになる。そういう構造の映画が好きなんですよ。
この映画は『ターミネーター2』から大きな影響を受けていますが、T-1000とT-800は、どちらもジョン・コナーを求めていますよね。ただし、T-1000は彼を殺そうとしているけれども、T-800は彼を守りたい。[中略]彼らを見ていると両者の背景がわかってきて、ふたりが衝突する時には彼らのことを信じられる。ネイモアをそういう存在にしたいと思いました。」
そのほか、クーグラー監督がタイトルを挙げているのは、同じくジェームズ・キャメロン監督の『アビス』(1989)と『エイリアン2』(1986)。これらは80年代の作品だが、監督は「どちらもリアルさを感じますし、また誠実さを感じる映画です。とてもシリアスで、非常に深い哲学や人間関係が描かれています」と述べた。
映画『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー』は2022年11月11日(金)より全国公開中。