Menu
(0)

Search

【予習・解説】『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー』のネイモアとは?海底文化タロカンって何だ?

ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー
© 2022 MARVEL.

マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー』では、女王のラモンダ、シュリ、エムバク、オコエ、ドーラ・ミラージュたちが、ティ・チャラ王の死後、世界の権力者たちの介入から国を守るために戦う。隠された海の帝国の王ネイモアの脅威が迫るとき、ワカンダの人々はナキアやエヴェレット・ロスの助けを借りながら、団結してワカンダ王国の新しい道を切り開かなければならなくなる。

ファンの間で注目されているのは、初めて実写登場するネイモアの存在だ。1939年のマーベル・コミックス第1号で「サブ=マリナー」として初登場したネイモアは、マーベル・キャラクターの中でも最古のキャラクターのひとりに数えられる存在として、その後の長年の間に、ヒーロー役とヴィラン役のどちらも担ってきた。

ネイモアの驚異と、謎多きタロカンの新たな事実

監督のライアン・クーグラーは本作のネイモアについて、次のように解説する。「今回のストーリーでは、彼は隠れた海底文化タロカンの王です。タロカンは、コミックブックでアトランティスの世界として描かれていたものを私たちなりのバージョンとして再想像した世界です。彼がそこに現れたという事実だけでも、ワカンダ人たちが思っていたほどワカンダが安全ではないことを示していますし、ネイモアはラモンダとシュリにある提案をするのです」。

ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー
©Marvel Studios 2022

最新鋭のテクノロジーを持ち、極度に厳重な警戒態勢を敷いているワカンダ人であってさえ、ネイモアや彼の率いる帝国のことをまったく知らなかった。「外の世界で起こっている出来事のせいで隠れることを余儀なくされた社会、この発想はマーベル・シネマティック・ユニバースが『ブラックパンサー』で描いたあの世界と実に深く関連づいています」と語るのはプロデューサーのネイト・ムーアだ。「ライアン(クーグラー)は、そのようなことを巧みにまとめ上げる方法を知り尽くしたフィルムメイカーです。ネイモアの懸念がラモンダやシュリの心にも強く響く理由は、彼女たちの王国にも共通点があるからなのです。ただし、だからと言って、彼女たちが彼の示す解決方法に賛成というわけではありません」。

タロカンを作り上げるにあたって、クーグラーや製作チームは、コミックブックのアトランティスの世界をこの映画のために想像し直したこの土地を、現実的な場所と感じられるよう描くことを重要視した。「それは1作目から引き継がれている考え方で、あの当時私たちはワカンダをリアルな場所だと感じられるように描きました。実際にそこに行けそうな、訪問できそうな場所としてね」と、クーグラーは言う。「『ブラックパンサー』のときのワカンダのような感覚を得るためには、まずタロカンの歴史を創作することが必要だということを、私たちはとても早い段階に気づいていました」。

ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー
Tenoch Huerta as Namor in Marvel Studios’ Black Panther: Wakanda Forever. Photo courtesy of Marvel Studios. © 2022 MARVEL.

『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー』に登場するネイモアは、海の帝国に隠れて外世界と隔絶した古代マヤ社会を受け継ぐ海底文明タロカンの王だ。この架空の世界は、もしもリアルな社会が他の人種や文化と隔絶した海底で長い年月をかけて変化し進化することを余儀なくされたとしたら、きっとこうなっているのではないかという発想を反映させて創作された。

古代メソアメリカン文明に見られるリッチな歴史や複数の文化をインスピレーション源としたフィルムメイカーたちは、プロダクションデザインから衣装やストーリーテリングに至るまでのあらゆる創作上の決定を思いやりと志向性のある形で行なうため、コンサルタントらと密接に話し合いながら仕事を進めている。キャラクターや街のデザインは、彼らのルーツを示しているだけでなく、海洋という環境が彼らの文化や生活の核となっているという事実も指し示すものになった。タロカニル(タロカン人)は『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー』独自の架空の存在だ。

『ブラックパンサー』の仕事でアカデミー賞に輝いたプロダクション・デザイナーのハンナ・ビークラーによると、タロカンの世界を創り上げるまでほぼ2年を要したという。「私たちは製作の初期段階から作業を始めています」とビークラーは話す。「それはどこに位置するのか?彼らはどうやってそこにたどり着いたのか?どうやって生き延びたのか?私たちはこの海底都市を、現代的でありながらも、建物は彼ら独自のもののように描きたいと考えました。とてもミステリアスで刺激的でゴージャスな世界です」。

ビークラーの感覚によると、この海底帝国のほとんどは石造りで、今なお存在感がありながらもクラシックな感覚を与えてくれるマヤ文明へのオマージュとして、マヤの建築や色使いやイコノグラフィが根底に流れている。400ページにも及ぶこの海底国のガイドを作り上げたビークラーは、「ワカンダに初めて足を踏み入れたときと同じことを、また一からやり直すような感覚でしたね」と語っている。

ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー
© 2022 MARVEL.

この海底文明の衣装をデザインするにあたって、カーターは真実味のある様相を注入するため、歴史家たちと共に作業を開始した。本質的にこの映画で描かれているこの世界は、歴史上のマヤの文化に実在したであろう様々な事物を出発点に置いて作られた。

「この地下文化は何千年も海底で生き残り続けているという設定は、私たちに多くの自由を与えてくれました」と語るカーターは、深海の要素をタロカンの見た目に組み込むため、海洋の専門家たちから助言を受けながら仕事を進めている。「ネイモアの衣装には彼が尊重する伝統と王としての彼の地位を反映させました。彼のヘッド・ドレスや手織りのケープを作る際には、たくさんのケルプ(海藻)を使いました。そこに貝殻やビーズを加えています。彼の様相を見ていると、まるで彼が時間を旅してきた人物であるかのような気分になるはずですよ」。

『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー』は2022年11月11日、全国公開。ネイモアたちが棲むタロカンの景観や衣装デザイン、文化や歴史の描写にも注目だ。ワカンダのそれらと比較すれば、興味深い違いを見つけられるかもしれない。

あわせて読みたい

Writer

アバター画像
THE RIVER編集部THE RIVER

THE RIVER編集部スタッフが選りすぐりの情報をお届けします。お問い合わせは info@theriver.jp まで。

Ranking

Daily

Weekly

Monthly