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キャメロン監督「もう『ターミネーター』みたいな銃フェチはいかがなものか」 ─ 銃乱射事件で苦慮、『アバター:WoW』でも銃撃戦をカット

ターミネーター2
©TriStar pictures Photographer: Zade Rosenthal 写真:ゼータイメージ

『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』は3時間12分と長尺の作品となったが、それでもとあるシークエンスを10分間削っていたという。ジェームズ・キャメロン監督には、とある事情からカットすべきと判断した部分があったようだ。

Esquire Middle Eastのインタビューで、キャメロンは『ウェイ・オブ・ウォーター』で銃撃戦シークエンスを10分間カットしたと話している。主な理由は、アメリカで銃乱射事件が横行したこと。キャメロンは、もう「銃への執着」に関心がなくなったという。

もっとも、『ウェイ・オブ・ウォーター』から銃撃戦が完全になくなったわけではない。ナヴィ族は弓矢や槍など原始的な武器で戦うが、元海兵である主人公のジェイク・サリーは機関銃を携行する。敵のスカイ・ピープルも銃火器を多用し、映画のクライマックスでは大規模な銃撃戦もある。

銃を扱うアクションシーンを10分も縮めたことについて、キャメロン監督は「醜いものを取り除いて、光と闇のバランスを見出したかった」と説明。「もちろん、葛藤は必要です。暴力もアクションも、見方によっては同じものです。これはすべてのアクション映画監督が抱えるジレンマであり、かく言う私もアクション映画監督なのです」。

銃事件に辟易したキャメロン監督は、ガンアクションへの考え方が大きく変わったそうだ。監督と言えば『ターミネーター』シリーズに知られるように、演出の中で銃を中心的に見せる手法も得意とする。例えば『ターミネーター2』(1991)では、アーノルド・シュワルツェネッガーが演じるT-800にとって、ショットガンはまるで身体の一部だ。バイクを運転しながら片手でショットガンをリロードしたり、薔薇の花束の中からショットガンを取り出したりするシーンは、アクション映画史上屈指の名場面として記憶されている。

しかし監督は、「自分の過去作を振り返ってみると、ああいう映画をまたやりたいかどうかわからない」と話す。「今の世の中を考えると、30年以上前にやった『ターミネーター』シリーズみたいに、銃をフェティッシュ化するのは、もういかがなものかと思う。現実社会で銃がどういうことになっているかを考えると、胃が痛むよ」。

キャメロンが暮らすニュージーランドでは2020年5月、銃乱射事件を受けてアサルトライフルの販売や所持を全面禁止した。キャメロンは「ニュージーランドに住んで幸せです」と話している。

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Source:Esquire Middle East

Writer

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中谷 直登Naoto Nakatani

THE RIVER創設者。代表。運営から記事執筆・取材まで。数多くのハリウッドスターにインタビューを行なっています。お問い合わせは nakatani@riverch.jp まで。

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