クリス・ロック、次回アカデミー賞授賞式の司会者オファーを辞退 ─ 本人がコメディ・ショーにて認める

第94回アカデミー賞授賞式でウィル・スミスに平手打ちを受けたクリス・ロックが、2023年の第95回アカデミー賞授賞式の司会オファーを受けていたことがわかった。クリスはこれを公に認め、打診を断ったことも明らかにしている。
米Arizona Republicによると、クリスは2022年8月28日(現地時間)に開催された自身のコメディ・ショーの中で、次回授賞式の司会者としてオファーを受けたこと、これを断ったことを明言した。前回の授賞式にはプレゼンターとして参加していたクリスだが、2005年(第77回)・2016年(第88回)の授賞式で司会を務めたことがある。実現すれば司会者として3度目の出演だった。
クリスはステージ上で、O・J・シンプソンの元妻ニコール・ブラウンが殺害される直前にレストランを訪れていたことになぞらえて、授賞式に再度登壇することを「(ニコールに)もう一度レストランに行けというようなもの」と言及。また、ウィルが『ALI/アリ』(2001)でモハメド・アリを演じていたことを踏まえて、「彼は僕よりも大きい。僕とウィル・スミスの対戦をネバダ州は認めないでしょう」とも口にしたという。クリスが授賞式がらみの内容に触れたのはごくわずかで、観客の要望に応じたものだということだ。
なお、クリスが第95回授賞式の司会者として検討されていることは、2022年6月の時点で米Deadlineが報じていた。当時、すでにクリスは「非公式的なオファーを断った」と伝えられている。
それにしてもクリスの中で一貫しているのは、本件に対するコメディアンとしての態度だ。もともと騒動の発端は、クリスが授賞式の壇上にて、ウィルの妻であるジェイダ・ピンケット・スミスに「『G.I.ジェーン2』で見られるのが楽しみ」とジョークを述べたこと。ジェイダが脱毛症ゆえに頭髪を刈っていることと、坊主頭の女性が戦う『G.I.ジェーン』を重ね合わせたジョークだが、ウィルはこれに激昂してクリスを平手打ちしたのだ。もっとも今回の振る舞いを鑑みても、授賞式以来、クリスが(その是非はあれど)不謹慎なユーモアを厭わないスタンスをあくまでも徹底していることがわかる。おそらくはスタンダップ・コメディアンという仕事の矜持であろう。
なお、本国ではウィルの暴力を許さない見方が強く、ウィルは自主的に謝罪文を発表したのちに映画芸術科学アカデミーを退会。理事会側はこれを受け入れ、10年間の賞への出入りや参加資格を剥奪する処分を下した。アカデミー側は騒動直後に「いかなる暴力も容認しない」「スミス氏の行動を強く非難する」との声明も発表している。
Source: Arizona Republic, Deadline(1, 2)