スティーヴン・スピルバーグ、新作ドラマをAmazonで製作 ― ハビエル・バルデム主演、『シンドラーのリスト』脚本家を起用

『ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書』(3月30日公開)、『レディ・プレイヤー1』(4月20日公開)と新作映画の日本公開を連続で控える巨匠スティーヴン・スピルバーグが、米アマゾン・スタジオにて新作ドラマを手がけることがわかった。
タイトルは『コルテス(原題:Cortes)』で、16世紀にメキシコのアステカ帝国を征服したスペインのコンキスタドール、エルナン・コルテスを描くストーリー。全4話のミニシリーズで、Amazonプライム会員を対象に配信される。
本作でタイトルロールのエルナン・コルテスを演じるのは、『ノーカントリー』(2007)や『007 スカイフォール』(2013)などのハビエル・バルデム。現代の文明や社会に大きな影響を与えたとされる偉大な人物にして、現実には残虐な殺戮者でもあったとされるコルテスを演じることには「俳優として、これ以上の挑戦はありません」とコメントしており、長年興味を抱いてきたプロジェクトとあって、すでに気合十分のようだ。
また特筆すべきは、本作の脚本に関する興味深い成り立ちだ。シリーズの脚本を執筆するのは『シンドラーのリスト』(1993)や『ミッション:インポッシブル』(1996)のスティーブン・ザイリアンだが、このシナリオは『ローマの休日』(1953)や『ジョニーは戦場へ行った』(1971)などの名脚本家ダルトン・トランボの未映画化脚本を基にしたものだという。1960年代、トランボはエルナン・コルテスとアステカ帝国を描いた長編脚本『モクテスマ(原題:Montezuma)』を完成させていたが、これが実際に映画化されることはなかったのだ。
なお、本企画はもともとスピルバーグが2014年に長編映画として構想していたもので、のちにテレビシリーズとして製作される方針へと変更されている。映画として企画された当時はスピルバーグが自らメガホンを取る意向だったようだが、本作ではバルデムやザイリアンらとともに製作総指揮(エグゼクティブ・プロデューサー)としての参加となった。
したがって、『コルテス』で実際にエピソード監督を務めるのは別のクリエイターになりそうだ。脚本のザイリアンは、ドラマ『ナイト・オブ・キリング 失われた記憶』(2016)で脚本・監督を兼任して非常に高く評価されただけに、ショーランナーとしての登板もありうるだろう。
スピルバーグは昨今隆盛を極めつつあるHuluやNetflixなどの映像配信サービスについて、各サービスのオリジナル映画作品は「アカデミー賞にふさわしくない」と述べるなど、映画を発表するプラットフォームとしては否定的に捉えているようだ。しかしNetflixではオリジナル・ドキュメンタリー作品『伝説の映画監督 ハリウッドと第二次世界大戦』(2017)の製作総指揮を務め、Amazonでは本作を手がけるなど、テレビ作品を製作・発表する上では積極的に活用している。今後、スピルバーグ自身が監督を担当する作品が配信される日はやってくるのだろうか……?
Sources: Deadline, Variety
Eyecatch Image: [左]Photo by Gage Skidmore [右]Photo by David Torcivia Remixed by THE RIVER