デヴィッド・クローネンバーグ最新作、監督の予告通り途中退場者が続出 ─ カンヌ映画祭でお披露目、7分間のスタンディングオベーションも

『ヴィデオドローム 』(1983)『ザ・フライ』(1986)『クラッシュ』(1996)など作品を発表する度に映画界の度肝を抜いてきた鬼才、デヴィッド・クローネンバーグ監督が再び衝撃作を世に放ったようだ。最新作『Crimes of the Future(原題)』が、第75回カンヌ国際映画祭にてお披露目となり、そのプレミアの最中に退場者が続出したという。
『マップ・トゥ・ザ・スターズ』(2014)ぶりとなるクローネンバーグ監督最新作は、人類が人工的な環境に適応することを学んでいる近未来を舞台にした物語。『ヒストリー・オブ・バイオレンス』(2005)や『イースタン・プロミス』、『危険なメソッド』(2011)につづくクローネンバーグとのコラボレーションとなるヴィゴ・モーテンセンは、自分の体に本来は存在し得ない臓器を作り出すことに成功したパフォーマンス・アーティスト、ソウル・テンサー役を演じている。
これまでに米国公開されてきた特報映像や予告編では、“ボディ・ホラーのマエストロ”であるクローネンバーグによる強烈な人体実験の描写が容赦なく映し出されていた。クローネンバーグの監督作品に馴染み深い方であれば、そのような目を覆いたくなる描写は平常運転とも言えそうだが、もしかしたらこれまで以上に過激な内容になっているのかもしれない。
ところでクローネンバーグは、「映画が始まって5分以内には退席者が現れると思います」と事前に予告していたが、それは現実と化したようだ。米IGNでは、カンヌ国際映画祭での初上映の際、“グロテスクで暴力的な描写に耐えられず、何人かの観客が劇場を後にした”と報告されている。それも監督の予告通り、最初の5分間で退席した人がほとんどだったそうだ。
一方、米The New York Timesのレポーターであるカイル・ブキャナンいわく、カンヌ国際映画祭では、映画の雰囲気が合わなかったり、スケジュール上の都合だったりなどを理由に劇場を後にする人はごく普通にいるとも主張。それでも“15人の退場者を確認した”とのことだが、それぞれタイミングも異なり、必ずしも過激な場面での退席ではなかったようだ。
なお、退場者は続出したものの、上映後には“7分間にわたるスタンディングオベーション”が巻き起こったという。米レビューサイト「Rotten Tomatoes」では、“90%”のクリティック・スコアを記録しており(本記事時点)、批評家から高い支持を得ていることがうかがえる。
映画『Crimes of the Future(原題)』は、2022年6月3日より米国公開。
Source: Variety , The New York Times , IGN