「『シャザム!』は明るく笑える」DC映画、独自路線切り開く ─ バットマンやジョーカー単独映画はダークさ維持か

最近のDC映画は、以前言われていたほど「ダーク」でもなく、むしろどんどん明るくなっている?『ジャスティス・リーグ』(2017)以降顕著なこの流れを裏付けるような発言が、『アクアマン』(2019)『シャザム!』(2019)プロデューサーのピーター・サフランから聞こえてきた。
独自路線ひた走るDC
ピーター・サフランによる言葉に触れる前に、現在のDC映画シリーズの環境について少しだけおさらいしておこう。
かつて『ダークナイト』3部作のダークなトーンで高い評価を得たDCコミックス/ワーナー・ブラザースは、それに追随するかのような映画シリーズを展開。ところが、これらは必ずしも成功を収めたわけではなかった。
2018年1月にはDC映画ユニバースを指揮する重役を人事交代、新たにウォルター・ハマダ氏が就任した。同氏は『アクアマン』にエグゼクティブ・プロデューサーとして参画、過去のシリーズ作品とのつながりを極力抑えた独立路線と快活な作風が功を奏し、シリーズ史上2位の大ヒットを記録した。

米ワーナー・ブラザース社長のトビー・エメリックはマーベル・シネマティック・ユニバースとの差別化を強調するように、「ユニバースの世界観共有には、あまり焦点を当てないようになっています」とコメント。『シャザム!』はコメディ要素を全面に押し出した作風で、現在のDC映画が進める「独立路線」を象徴するような一作だ。
それぞれの映画に固有のトーンを
ここで、『シャザム!』プロデューサーのピーター・サフラン氏の発言が意義深く聞こえてくる。「DCも、僕たちと同じ考えだと思います。つまり、それぞれの映画にはそれぞれのキャラクター独自のトーンがあるべきということ。」ピーター氏は、米IGNに次のように語る。
「『シャザム!』は楽しいキャラクターで、”願いは叶う”がテーマ。楽しくて笑えるので、映画もそうしたトーンになっています。『アクアマン』はファンタジー的なトーンでしたよね。『ワンダーウーマン』にも彼女ならではのトーンがありました。きっとDCは、それぞれの映画に固有のトーンがあるべきだと気付いたはずですよ。」

もちろん、観客の好みは千差万別で、ダークでシリアスな作品に魅了されたファンも多いだろう。『ジャスティス・リーグ』ではバットマンがジョークを発していたが、この変化に戸惑ったファンも少なくない。
ここで懸念されてくるのが、ホアキン・フェニックス主演で2019年10月米国公開予定の『ジョーカー』単独映画や、『ザ・バットマン』単独映画だ。いくら明るいトーンが上手く行っているからって、バットマンやジョーカーの映画までライトにされてしまうというのはちょっと…。心配は要らない。
「それでね、バットマンやジョーカーといったキャラクターがいるでしょう。彼らにピッタリなのはダークなトーンですよ。こういうのが観たいんでしょう。」
厳密に言えば、ピーター氏は『ジョーカー』と『ザ・バットマン』にプロデューサーとしてクレジットされているわけではない。それでも、各作品ごとのトーンに(他のシリーズ関連作に遠慮することなく)思いっきり振り切るという現在のDC映画の方針は、『アクアマン』や『シャザム!』を観れば明らかだ。
『ジョーカー』や『ザ・バットマン』がお披露目された際には、全く独自のダークな世界観でファンを魅了してくれるはず。徹底的にお願いします!
Source:HeroicHollywood,IGN