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『デッドプール3』予定通りの公開は「非現実的」 ─ 脚本家ストライキまもなく終結も

デッドプール2
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マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)の映画公開スケジュールは、再び大きな変化を迫られることになりそうだ。最新作『マーベルズ』(2023年11月10日公開)に続く『デッドプール3(原題)』を予定通りに公開することは、すでに「非現実的」と見られている

言わずもがな、背景にあるのは全米脚本家組合(WGA)と全米映画俳優組合(SAG-AFTRA)によるWストライキだ。まだSAG-AFTRAがストに突入する以前の2023年6月、マーベル・スタジオは公開スケジュールを大幅に変更。この時、撮影に入っていた『デッドプール3』は公開予定を約5ヶ月繰り上げ、2024年5月3日の米国公開予定と告知された。

しかしその後、SAG-AFTRAのスト突入によって本作は撮影を中断。監督のショーン・レヴィによれば、5月下旬の撮影開始から、撮影が中断された7月中旬までの約3週間半で、全編のちょうど半分を撮り終えていたという。すなわちSAG-AFTRAのストが終結し、撮影が再開されたあとも、約1ヶ月は本撮影が行われる見込みだ。

また、本作の撮影はストのため脚本家不在のまま実施されていたため、脚本を改稿しての再撮影・追加撮影が発生することもほぼ避けられない。まもなくWGAのストは終結するものの、あと8ヶ月のうちにSAG-AFTRAのストが終わり、本撮影を再開・終了し、さらにCG作業を含むポストプロダクションまで完了することは極めて困難だろう。

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Deadlineによると、映画の広報・宣伝に携わる匿名の人物は、現時点で発表されている2024年の公開スケジュールをそのまま遂行することは「非現実的」だと述べている。MCU以外にも、『ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART TWO』や『ビートルジュース2(原題)』『グラディエーター2(原題)』はいずれも2024年公開予定だが、どれも本撮影が終了していないのだ。

再びMCUに話題を戻せば、『デッドプール3』のスケジュールが現実的でないのに対し、『キャプテン・アメリカ:ブレイブ・ニュー・ワールド(原題)』を2024年7月26日に米国公開する計画はまだ実現性が高い。こちらはスト前に撮影を終えているため、再撮影以外のプロセスを先行して進めておけるからだ。一方、2024年12月20日に公開延期となった『サンダーボルツ(原題)』は撮影が始まってさえいないため、再びスケジュールを調整しないかぎり、タイトな進行となることはほぼ確実だ。

マーベル・スタジオはWストライキの影響を受け、テレビシリーズの配信延期を一部決定している。2023年秋配信予定だった「アイアンハート(原題)」は無期延期となり、冬配信予定だった「アガサ:ダークホールド・ダイアリーズ(原題)」(旧原題「アガサ:カヴン・オブ・カオス」)は2024年秋へと繰り下げられた。

不幸中の幸いというべきか、デッドプールのMCU合流作となる『デッドプール3』は、おそらく他作品との重要なリンクは少ないと見られている。すなわち、公開スケジュールが再び変動するにせよ、MCUの全体計画に影響を及ぼすことはないと考えられるのだ。しかしながら、2つのストライキがすでに甚大な影響をもたらしていることは事実。今後、マーベル・スタジオはプランの立て直しを余儀なくされる。

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Source: Deadline

Writer

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稲垣 貴俊Takatoshi Inagaki

「わかりやすいことはそのまま、わかりづらいことはほんの少しだけわかりやすく」を信条に、主に海外映画・ドラマについて執筆しています。THE RIVERほかウェブ媒体、劇場用プログラム、雑誌などに寄稿。国内の舞台にも携わっています。お問い合わせは inagaki@riverch.jp まで。

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