ディズニー、『デッドプール』製作を継続する意向 ─ さらなるR指定作品の可能性も示す

ウォルト・ディズニー・カンパニーは、20世紀フォックスとの事業統合後も『デッドプール』シリーズの製作を継続する意向のようだ。2019年2月5日(米国時間)に開かれた第1四半期の株主報告会にて、同社CEOのボブ・アイガー氏が明らかにした。
20世紀フォックスとの統合、『デッドプール』シリーズの今後について質問を受けた際、アイガー氏は「コンテンツの本質に大きな影響を与えることなく、フォックスの財産を存在させられると考えています」と述べた。
「たとえば、R指定の『デッドプール』がマーベルファンから確かな人気を得ていることはわかっています。そういうものは今後も続けていきますし、それ以上の余地があるかもしれません。」
2019年2月現在、マーベル・スタジオを傘下に収めるウォルト・ディズニー・カンパニーは21世紀フォックス(同社の映画部門が「20世紀フォックス」)との事業統合を進行中。統合は2019年前半の完了予定で、フォックスが有していた「X-MEN」「ファンタスティック・フォー」の映像化権はマーベルへ戻される。アイガー氏は以前、統合後の新体制について、マーベル・スタジオが映画版『X-MEN』などの指揮を執る方針であることを明らかにしていた。
ただし映画ファンの間では、R指定ゆえの激しい描写を魅力とする『デッドプール』シリーズを“ファミリー向け”のディズニー傘下でも継続できるのかという懸念もあった。ライアン・レイノルズら『デッドプール』チームは新作の企画に着手しているものの、作品の製作にゴーサインを出すのはディズニーなのである。ただし現状、アイガー氏は幸いにも『デッドプール』を現状の方針で継続させる方針のようだ。
なおアイガー氏によると、ディズニーはフォックスの作品群や活動について「敬意を払いつつ、慎重にブランド化し、観客が混乱しない形を生み出していく」とのこと。これがR指定作品のための新ブランドを設立するという意味なのか、たとえば『デッドプール』がマーベル・シネマティック・ユニバースから独立するという意味なのか、単純に観客が混乱しないためのわかりやすいプロモーションを心がけるという意味なのか、その真意は不明。既存のブランドから『デッドプール』が独立することをアイガー氏が明言したわけではないということに留意しておきたい。
いずれにせよ、ディズニーがフォックスとの統合を経てR指定作品の製作・発表に踏み出すのだとすれば、これはディズニーというブランドのイメージを刷新することにとどまらず、文化的にもある程度の意義がある動きだといえるだろう。「ディズニー」と一口で語られることの多いウォルト・ディズニー・カンパニーだが、その内部にあるウォルト・ディズニー・ピクチャーズやピクサー、ルーカスフィルム、マーベル・スタジオというスタジオは、それぞれ大きく異なる思想と方針を有している。その豊かな土壌がさらに活かされることにもつながるにちがいない。
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