Menu
(0)

Search

ディズニー、X-MEN『ニュー・ミュータンツ』や『ジョジョ・ラビット』に感心せず ─ 20世紀フォックス買収後はじめての壁、米報道

米ディズニーとフォックスの事業統合

ウォルト・ディズニー・カンパニーによる20世紀フォックスの買収が行われてから、両社には最初の壁が立ちはだかっているようだ。米Varietyは、20世紀フォックスによる『X-MEN』シリーズ最後の作品『ニュー・ミュータンツ(原題:New Mutants)』や、タイカ・ワイティティ監督最新作ジョジョ・ラビットにディズニー幹部が感心していないとの情報を伝えている。

両社の抱えるトラブルを象徴する出来事は、2019年8月6日(米国時間)に開催されたディズニーによる投資家向けの報告会で、ボブ・アイガーCEOが、『X-MEN: ダーク・フェニックス』やデイヴ・バウティスタ主演のアクションコメディ『Stuber(原題)』など、フォックス作品の興行面の不調を訴えたことだ。アイガー氏は「フォックスの成績は以前の数字を下回るものであり、買収時に我々が望んだものを下回るもの」と発言。とあるプロデューサーは、「こんな公開処刑は見たことがない」と述べたという。

すでにアイガー氏は、ウォルト・ディズニー・スタジオズのアラン・ホーン会長らに対し、今後も多数控えているフォックスの企画について「戦略を立て直し、ディズニーやピクサー、マーベル、ルーカスフィルムを成功に導いたのと同等の規律・基準を設ける」よう求めたという。この煽りを最初に受けたのが『ニュー・ミュータンツ』だ。ディズニー側は『X-MEN』初のホラー映画となる本作の出来栄えに感心しておらず、興行面でも限界があると考えているという。

現在、ディズニーはフォックス作品のうち、特に興行的成功が見込めるプロジェクトを優先しているとのこと。『アバター』(2009)続編シリーズは米国公開日まで決定しているほか、アイガー氏は『猿の惑星』シリーズの継続も明言済み。マーベル・シネマティック・ユニバースへの合流で、成功がほぼ保証されている『X-MEN』『ファンタスティック・フォー』のリブート企画にも前向きだ。『デッドプール』シリーズについても、R指定の継続かPG指定への変更かが検討されているというが、なんらかの形で継続されることはほぼ間違いない。

しかしながら、買収後のフォックス作品の不調についてディズニーの責任を問う専門家もいる。「ディズニーがフォックスを買収していなければ、通常通りの進行だっただろう」と語るのは興収アナリストのジェフ・ボック氏だ。事業統合後、フォックスの幹部・社員が相次いで一時解雇(レイオフ)され、『X-MEN: ダーク・フェニックス』のマーケティング・チームもその対象だった。その後、ディズニーは『ダーク・フェニックス』の宣伝に積極的に投資せず、むしろコストを抑える方針を採用して製作陣を苛立たせたというのだ。ジェフ氏は、興行的に成功しなかった作品群について「この状況でうまくいく道はなかった」と述べる。

ところで、『マイティ・ソー バトルロイヤル』(2017)を成功に導き、次回作『マイティ・ソー/ラブ&サンダー(原題:Thor: Love and Thunder)』への登板も決まっているタイカ・ワイティティ監督の『ジョジョ・ラビット』が感心されていないのはなぜだろうか。Varietyは、タイカ監督が「反ヘイト風刺劇」と言い切ってナチス・ドイツを皮肉る本作でさえ「家族向けの映画づくりに慣れたディズニーのお偉いさんには、ちょっとばかり先進的すぎる」のだと“皮肉って”いる。とある幹部は、試写の最中に“ディズニーのファン向きじゃない”と不快感を声に出して訴えたのだとか。

もっとも『ジョジョ・ラビット』は、20世紀フォックスにおいても最も作家性の強い、インディーズ映画の世界から直結した印象すらある「FOXサーチライト・ピクチャーズ」レーベルの作品だ。同作はすでに業界内で高い評価を得ており、大手映画祭から熱い視線を注がれているほか、今年度の映画賞でも大きな成果が期待されている。ディズニーが真にすぐれた作品を受け入れ、広く発表する寛容なスタジオとなるのか、それともファミリー・フレンドリーなイメージを守ったまま先へ進むのか。『ジョジョ・ラビット』は、その最初のリトマス紙として機能することになるのかもしれない。

あわせて読みたい

Source: Variety

Writer

稲垣 貴俊
稲垣 貴俊Takatoshi Inagaki

「わかりやすいことはそのまま、わかりづらいことはほんの少しだけわかりやすく」を信条に、主に海外映画・ドラマについて執筆しています。THE RIVERほかウェブ媒体、劇場用プログラム、雑誌などに寄稿。国内の舞台にも携わっています。お問い合わせは inagaki@riverch.jp まで。

ドゥーム・パトロール シーズン1

しくじりヒーロー奮闘記「ドゥーム・パトロール」、奇抜すぎる世界観ながら愛されるワケ ─ トラウマと向き合う者たち、DCドラマの新境地

スモール・アックス

ジョン・ボイエガ、レティーシャ・ライト出演、魂の人間ドラマ「スモール・アックス」 ─ 歴史を動かした「小さな斧」たちの闘志とは?

ファンタスティック・ビーストとダンブルドアの秘密

【予告編考察】『ファンタスティック・ビーストとダンブルドアの秘密』鍵を握るキャラ、決戦の行方、秘密を徹底予想 ─ 『ハリポタ』との繋がりに迫る

ファンタスティック・ビーストとダンブルドアの秘密

これを読めば『ファンタビ』最新作の準備は万端、『ファンタスティック・ビーストとダンブルドアの秘密』を観る前にシリーズ前2作をおさらいしよう

ヴェノム レット・ゼア・ビー・カーネイジ

【考察】『ヴェノム:レット・ゼア・ビー・カーネイジ』クレタスの独房の壁、スパイダーマンやモービウスを示唆?360度動画とブルーレイ映像特典から考える

「ザ・ネバーズ<シーズン1>パート1」

「ザ・ネバーズ<シーズン1>パート1」能力者バトルを描く『X-MEN』の系譜継いだSFアクション ─ HBOの新たな自信作、魅力を大解剖

ドゥーム・パトロール

【ご招待】DCドラマ「ドゥーム・パトロール 」THE RIVER独占オンライン試写会に100名様 ─ はみ出し者たちの新ヒーロー・チーム活躍のアクションドラマ、当選者には特別プレゼントも

ガンパウダー・ミルクシェイク

【レビュー】『ガンパウダー ・ミルクシェイク』両極端MIX、カッコよくてカワイくてヤバイが混ざった刺激的な一杯

Ranking

Daily

Weekly

Monthly