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ゾンビ映画『バタリアン』葬儀屋アーニー役のドン・カルファが76歳で死去

自分の中で強く思い出に残る映画、その映画に出演していた俳優、特に作品の中で際立って印象的な役柄を演じていた人物が、ある日この世を去ったという話を聞くと、なにか心に小さな穴が空いたような気分になる。

もちろん、実際には話したこともないし会ったこともない、遠いどこかにいる誰かであり、ぼくはそれらの人々をスクリーンの中でしか、あるいはTVモニターの中でしか観たことがない。けれどもそんな誰かの死に、すごく大きな喪失感のようなものを(それは家族や親類のような身近にいる人々の死とはまったく別ものだが)感じることがある。

ダン・オバノンの監督したホラー映画『バタリアン』(The Return of the Living Dead)。この作品はゾンビ映画の記念碑とも言えるジョージ・A・ロメロの『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』(Night of the Living Dead)のパロディ作品なのだが、本作品で葬儀屋のアーニー・カルテンブルンナー(Ernie Kaltenbrunner)役を演じていたドン・カルファ(Don Calfa)が、2016年12月1日、カリフォルニア州パームスプリングスにある自宅よりあの世へと旅立った。76歳、誕生日の2日前のことだった。

Don Calfa
https://www.youtube.com/watch?v=icCLnBEl1PQ

カルファはTVドラマや映画で40年以上ものキャリアを持つ俳優だったが、元々は美術の世界を志していたという。

スティーヴン・スピルバーグの『1941』、テイ・ガーネットの『郵便配達は二度ベルを鳴らす』(The Postman Always Rings Twice)、ピーター・ハイアムズの『プレシディオの男たち』(The Presidio)、バリー・レヴィンソンの『バグジー』(Bugsy)、そういえば『ネクロノミカン 禁断の異端書』(H.P. Lovecraft’s: Necronomicon)なんかにも出演していた。

けれど、やはりドン・カルファといえば『バタリアン』だ。

『バタリアン』の序盤、ヘッドフォンで音楽を聞きながら、パイプを咥えて死体を処理しているシーンが実に印象的だった。彼は本作でとても重要な役柄であり、後半、足に怪我を負ってしまいはするが、ゾンビ映画で最後まで“生き残る役”を演じている。まあ最後はお決まりで……という物語ではあるが。

Don Calfa
http://filmes.film-cine.com/a-volta-dos-mortos-vivos-m6098

ちなみに死体処理のシーンで、あの時いったい何を聴いているのかと言えば、ジョン・レノンのアルバム『マインド・ゲームス』(Mind Games)だそうである。

彼はずいぶん晩年までコンヴェンションなどに参加して、ファンの前に姿を見せていたようであるが、残念ながらついにあの世に旅立ってしまった。まあ、人間としてはそれが当たり前のことなのだけれど、当たり前のことだとわかっていても、映画鑑賞を糧のようにして生きている者にとって、映画俳優の死というものは、やはりなんだか、心に小さな穴が空くのである。

というわけで、さようなら、そしてありがとう、ドン・カルファ、また、いつかどこかで。

では、最後に『バタリアン』の予告編を。

source: http://variety.com/2016/film/obituaries-people-news/don-calfa-dead-return-living-dead-actor-dies-1201932202/

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MujinaMujina Tsukishiro

普段はあまり摂取しないコーヒーとドーナツを、無駄に欲してしまう今日この頃。You know, this is - excuse me - a damn fine cup of coffee.

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