【ネタバレ】『デッドプール2』ライアン・レイノルズ、まさかの一人二役演じていた ― 「予算の都合でしかたなく」

映画『デッドプール2』(2018)には多くのサプライズが仕掛けられている。ストーリー上のサプライズもあれば、豪華スターのカメオ出演をはじめとしたメタなサプライズもたくさん用意されているのだ。なかには、サプライズの中にサプライズが隠されているようなものも……。
本記事では、そんな“サプライズのマトリョーシカ”をひとつご紹介することにしよう。主演・脚本・製作を兼任するライアン・レイノルズが、なんとまさかの一人二役を演じていたというエピソードである。
この記事には、映画『デッドプール2』のネタバレが含まれています。すでに作品を鑑賞された方向けの内容となりますのでご注意下さい。なお、このページをSNSにてシェア頂く際は、記事内容に触れないようお願い致します。
ジャガーノート、ライアン・レイノルズが声優を担当
『デッドプール2』でウェイド・ウィルソン/デッドプール以外にライアン・レイノルズが演じているキャラクター、それは“サプライズ”での登場となったジャガーノートだ。少年ラッセル/ファイヤー・フィストによって解放されたあとデッドプールを真っ二つにし、ラッセルの復讐に力を貸す恐ろしい役回りだが、ライアンはこのキャラクターの声優を担当。脚本家のレット・リースによれば、表情のモーション・キャプチャーも務めていたという(ちなみにジャガーノートの俳優クレジットは「本人(AS HIMSELF)」だった)。
そもそもコミック「X-MEN」シリーズの有名キャラクターであるジャガーノートが映画に登場するのは、2006年『X-MEN:ファイナル ディシジョン』以来(ヴィニー・ジョーンズが演じていた)。『デッドプール2』のプロモーションでは存在が伏せられていただけに、ファンにとっては登場そのものがひとつのサプライズだったのだ。本作ではプロフェッサーXとの兄弟関係にも言及されるなど、コミックの読者に対する細やかな目配せがなされていた。
英Empire誌のポッドキャストでは、ライアンがジャガーノートの声を務めることになった経緯を明かしている。端的にいえば、理由は予算不足だったのだ……。
「『デッドプール2』はほとんどのヒーロー映画よりも低予算で作られています。すべての映画がそうであるように、僕たちも予算通り、時間通りにやろうと思ったんですが…それにしてもギリギリでした。だからジャガーノートの声優を用意できなかった。あの声は僕なんです。一時的に声を録ったものを、あとからブルックリン・ブロウラー(編注:プロレスラー)みたいな声に加工しました。音量を上げて、低音を強くして、リバーブを効かせてね。好きでそうしたんじゃなくて、とにかく予算が余ってなかった。」
とはいえジャガーノートを登場させることは、ライアンや脚本家チームが初期段階から決めていたことだったという。レット・リースは米CBR.comのインタビューにて「(ジャガーノートは)今まで正しく扱われてこなかった」とまで述べているのだ。
「僕たちはずっとCGのジャガーノートを見たいと思っていて、やっとそれが実現しました。物語の第三幕(クライマックス)では、デッドプールや友人たち、小さなファイヤー・フィストとの間でサイズのバランスを取る必要がありましたし、同時にフェアな戦闘を描きたくて。[中略]コロッサスと戦わせる機会も作りましたが、第三幕で巨大な怪物が激突するのは悪くないと思ったんですよ。」
デヴィッド・リーチ監督によれば、ジャガーノートの動きは一部を除いてモーション・キャプチャーではなくCGアニメーションで一から描かれていたそう。スタントパーソンがジャガーノートを演じることはあったが、基本的にはCG制作の参考として使用されるにとどまったという。ただし、コロッサスとの戦闘シーンに限ってはモーション・キャプチャーが使用された。
「身長170センチのスタントパーソンに190センチ以上の男性と戦ってもらい、大きさの比率を正確につかもうとしました。モーション・キャプチャーで格闘を撮りましたが、それもアニメーターに参考として使用してもらうものでしたね。Framestore(VFX制作会社)が素晴らしいアニメーションを作ってくれて完成したんです。」
またデヴィッド監督は、ジャガーノートの存在をプロモーションで明かさなかった理由も語っている。
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