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【インタビュー】『ドリームランド』監督、あえて『俺たちに明日はない』を観なかった理由 ─ マーゴット・ロビーから突然のオファーに驚愕

ドリームランド
(C)2018 DREAMLAND NM,LLC

マーゴット・ロビーが脚本に惚れ込み、主演・製作を兼任した映画ドリームランド』が、2021年4月9日(金)より全国公開される。1930年代の西部のアメリカを舞台に、美しき銀行強盗のアリソンと、何も知らない17歳の少年ユージンが、禁断の恋と焦燥感、罪悪感の間で揺らめくドラマを描いたサスペンスフルなドラマだ。

監督のマイルズ・ジョリス=ペイラフィットは、本作が長編2作目ながら、マーゴット・ロビーから直々に指名を受けた。既にロビーとの次回作『Tank Girl(原題)』での再タッグも決定しているから、ロビーは彼の『ドリームランド』での仕事ぶりを大変評価していると見て間違いないだろう。

そんな気鋭監督のマイルズ・ジョリス=ペイラフィットに、THE RIVERが単独インタビュー。『ドリームランド』の製作について、たっぷりと話してくれた。

『ドリームランド』監督
(C)2018 DREAMLAND NM,LLC

『ドリームランド』物語のカギは「ダストボウル」

──はじめまして!調子はどうですか?

いい感じです!この映画が日本で公開されるなんて、僕にとってはとんでもないことです。すっごくワクワクしています!

──『ドリームランド』日本では4月公開です。僕も日本の皆さんがこの映画を観られるのが楽しみです。さて、本作ではアリソン(マーゴット・ロビー)という女性が、ダストボウル(巨大な砂嵐)と共に村にやってきますよね。物語の中で、彼女はダストボウルに守られているようにも感じられましたし、他にも彼女の行動とダストボウルが重なるような展開がありました。これは何かのメタファーなのでしょうか?

そうですね。ダストボウルはアメリカの一部地方で現実にあったものです。アメリカの西部には、例えばラスト・フロンティアのような神話(mythology)もあります。ダストボウルはその現実性を確認するような存在です。資本主義の拡大主義は問題になりうる。何かしらの副作用が起こりうる。それこそがダストボウルという、重大な生態学的災害だったというわけです。

これはアリソンについても同じです。アリソンには犯罪の物語がありますが、これは当時の社会に対する反応が生んだもの。この極端なふたつの存在は、互いに互いを作りあったように感じられるのです。

──ダストボウルに関する描写は、もともと脚本にあったのでしょうか?それとも、監督が加えたものでしょうか?

もともと脚本にありましたが、僕の方で少し追加もしました。脚本を読んだ時に最も興奮したのが、ダストボウルでした。マーゴット・ロビーと仕事ができるというのも、すごく興奮したんですけどね。最初は僕もダストボウルについてほとんど知らなかったので、夢中になってリサーチに没頭しました。このアメリカの有名な史実が今作の物語と重なっていくことに、すごく魅了されましたね。

──赤みがかった激しいダストボウルのシーンの後に、青みがかった夜が訪れる流れがありますが、『マッドマックス 怒りのデスロード』を参考にされましたか?

面白いですね!『マッドマックス』素晴らしいですよね。確かにダストボウルの、ワイドショットの使い方では参考にしました。でも、それよりも参照したのはナショナル・ジオグラフィックのカメラチームの映像です。砂漠で象を撮影しようとしていたらダストボウルに襲われるというやつで、YouTubeでも観られると思います。視界が真っ赤になっているんですよ。太陽光が砂の粒に反射しているから、(周囲の)色が完全に変わる。夜になると、また全く別の色になるようです。砂がどこからやってくるかによって、この色も変化するんです。たとえばケンタッキー州とオクラホマ州では、砂の質が違うので嵐の色も変わるんですよ。ある場所では、真っ黒な雲に見えたり、または灰色の雲に見えるんです。

──ご自身で書かれていない脚本を監督するのは、今作が初めてですよね。脚本のどんなところの映像化が楽しみでしたか?

良い質問ですね。脚本を読んだ時に、こういう映画ってもう長いこと作られてないなぁっていう印象があったんです。映画監督になることの憧れをくれたような映画のことです。たとえば『怒りの葡萄』(1940)ですね。それから、マーゴットの存在です。もともとはマーゴットの企画で、彼女が僕に声をかけてくれたんです。それだけでもヤバいですよね。この映画は、僕が知らないアメリカについての物語なのだと気付いて、その映像化にすごく興味がありました。

Writer

THE RIVER編集部
THE RIVER編集部THE RIVER

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