2部作構想の『DUNE/デューン』、前編は「最初の半分まで」 ─ 後編、草案は執筆済み

『メッセージ』(2016)『ブレードランナー 2049』(2017)などで知られるドゥニ・ヴィルヌーヴ監督が、同名の名作SF小説を現代に蘇らせる映画『DUNE/デューン 砂の惑星』。再映画化で焦点となるのは、不毛の砂漠都市を舞台とした巨編が、いかにして、どこまでの範囲で描かれるのかということ。1984年に公開されたデヴィッド・リンチ版では、原作での物語こそ網羅されていたが、1作に無理やり収められ、細部まで描かれきれていなかった印象だ。
こうした中、2部作構成で企画されているヴィルヌーヴ版『デューン』の前編で描かれる物語が、原作小説の「前半」までであることが判明した。これを証言するのは、脚本を務めるエリック・ロスだ。米Colliderのインタビューに登場したロスは、『デューン』前編で描かれる内容について「(小説の)確実に最初の半分までは」と返答。「いつ書き始めたかは覚えていないので、半分より少し先まで脚色したかもしれないです」と話している。「映画を観ましたけど、ほぼ最初の半分です」。
原作小説の半分というと、砂の惑星アラキスで覇権を握っていたアトレイデス家を、宿敵ハルコンネン家が急襲した後、数少ない生存者の主人公ポールと母親ジェシカが砂漠で彷徨うあたりだろうか。原作ではこの後、ポールらが砂漠の民フレーメンと出会い、訓練を経た後に、復讐劇を見せていく。
また、ロスによれば、後編の草案も執筆済みなのだとか。原作者フランク・ハーバートの遺産管理人に対して「後半部分で何ができるのかを示すためにトリートメント(物語の要約)を書いた」とロスは事情を話す。「願わくば、『デューン』がすごく気に入られて、後編を観たいと思っていただけると良いです」とロス。「ドゥニも素晴らしく描いてくれるでしょう」と自身を滲ませている。
企画こそ2部作で構想されているものの、実際に後編が製作されるかどうかは、ロスの言うように前編のパフォーマンス次第。加えてコロナ禍の影響により、実現可能性にも変化が生じている。2020年12月、配給を担当する米ワーナー・ブラザースは、『デューン』を含めた2021年公開予定の映画17作を劇場&配信で同時リリースする事を前触れもなく発表。これを受けて、ヴィルヌーヴ監督は2部作の企画を「ワーナー・ブラザースが台無しにしてしまったかもしれない」と興行成績への影響を懸念してもいた。この後、「シリーズの可能性を守るため、従来通りの劇場公開を守るという噂」も報じられたが、内情は今も謎に包まれている。
もっとも、2部作でなければ、ヴィルヌーヴ監督による『デューン』は完結しないことになるため、実現を願うばかりだ。
映画『DUNE/デューン 砂の惑星』は、2021年10月1日米公開予定。
Source: Collider