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『ダンケルク』上映時間は1時間47分!クリストファー・ノーラン作品史上2番目の短さ

クリストファー・ノーラン監督の最新作『ダンケルク』の上映時間が判明した。長尺作品を数多く手がけるノーラン監督による初めての戦争映画、しかも陸・海・空という3つの視点を組み合わせて戦場を描くという仕掛けのため、今回もかなり長時間の映画になることを予想していた人は多いことだろう。

しかしハリウッド・レポーター誌によると、『ダンケルク』の上映時間はなんと1時間47分だという。ノーラン監督の前作『インターステラー』(2014年)の2時間49分に比べると、実に62分も短いのだ。洋画・邦画ともに話題作が長尺になる傾向にあって、かなり意外な数字である。

『ダンケルク』よりも短いクリストファー・ノーラン作品は

ではここで、あえてノーラン監督のフィルモグラフィーを振り返ってみよう。冒頭に述べた通り、ノーランがこれまで手がけた作品はやや長尺であることが多い。おなじみの『ダークナイト』3部作は『バットマン・ビギンズ』(2005年)が2時間21分、『ダークナイト』(2008年)が2時間32分、そして『ダークナイト・ライジング』(2012年)にいたっては2時間45分だ。また『インセプション』(2010年)は2時間28分である。

しかしながらキャリアの初期に手がけたサスペンス/スリラー映画である『メメント』(2000年)は1時間53分、『インソムニア』(2002年)は1時間58分、『プレステージ』(2006年)は2時間8分と短めに仕上げている。ここで気づくのは、それでも『ダンケルク』の1時間47分より長いということだ。

すなわち結論として、ノーランの監督作品で『ダンケルク』よりも短いのは、長編デビュー作の『フォロウィング』(1999年)の1時間10分のみということになる。いささか極端すぎやしないか……という気もするが、こうしてみると『ダンケルク』はノーラン史上2番目に短い映画なのである。

しかしこうして振り返ってみると、「どうやら」というべきか「やはり」というべきか、ノーランが作品で描こうとしているテーマのスケールと上映時間は比例関係にあるようにも思われる。たとえば“宇宙と時間”、“正義と悪と倫理”、“夢と現実”といった哲学的な要素をはらんだ映画群は、どうしてもテーマを十分に描くのに時間がかかるということだろうか。一方でキャリアの初期に手がけてきたサスペンス/スリラー映画は、近作に通底する部分こそあれ、ストーリーやテーマにはどこか「一点突破」のような印象もある。そして初期の作品は、何よりもその「一点突破」こそが魅力ではなかったか……。

この見立てが正しいとすれば、もしかするとノーランは『ダンケルク』で(作品のスケールやルックスとは裏腹に)初期の作品にも近い「一点突破」を試みているのかもしれない。そういえば“戦場”という限定された舞台設定も近作に比較するとかなり狭いだろう。

果たしてクリストファー・ノーランは、『ダンケルク』でどんな世界と主題と映像を観客に見せてくれるのだろうか。いずれにせよ1時間47分、おそらくエンドクレジットを除けば約1時間半という時間で、きっと極限まで濃度と密度を高めた映画体験をもたらしてくれるはずだ。

映画『ダンケルク』は2017年9月9日公開

Source: http://www.hollywoodreporter.com/heat-vision/dunkirk-is-christopher-nolans-shortest-film-directorial-debut-1015366
©2017 Warner Bros. All Rights Reserved.

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中谷 直登Naoto Nakatani

THE RIVER創設者。代表。運営から記事執筆・取材まで。数多くのハリウッドスターにインタビューを行なっています。お問い合わせは nakatani@riverch.jp まで。

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