キー・ホイ・クァン、『エブエブ』までは健康保険も切れるほどギリギリだった

キー・ホイ・クァンは、実は『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』出演直前までは経済的にギリギリだったそうだ。トーク番組「レイト×2ショー with ジェームズ・コーデン」出演時のエピソードを米Varietyが報じている。
第95回アカデミー賞では作品賞を含む10部門11ノミネートされた『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』。日本でもとうとう公開を迎え、全国に「エブエブ」旋風を巻き起こしている最中だ。個性溢れるキャラクターの中でも、主人公エブリン(ミシェル・ヨー)の夫ウェイモンドを演じるクァンは、温厚で柔和な人柄と、たまに見せるクールな表情、そして快活なアクションと変幻自在な魅力をマルチバースの中で放っている。しかし、クァンは本作出演前は俳優としてのオファーがなく、非常に厳しい状況にあったと語っている。
「健康保険が切れそうになっていたので、エージェントに“何か仕事をもらえませんか?”と電話をかけました。何でもよかったんです、ただ最小限の必要条件を満たせる仕事が必要でした。そうすれば翌年の健康保険を受給できますから。でも、1つも仕事は得られませんでした。案の定、2021年がやってきて私の健康保険は切れてしまったんです。」
『インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説』(1984)『グーニーズ』(1985)で子役俳優として大活躍したものの、その後ヒット作には恵まれず、武術指導など制作サイドで映画に携わってきたクァン。しかし、映画産業全体が苦境に立たされたパンデミック下ではクァンも例外ではなかった。健康保険が切れてしまうという事実が、彼の切実な状況を物語っている。
崖っぷちとも言えるクァンを救ったのは他でもない、監督デュオのダニエル・シャイナートとダニエル・クワン、通称ザ・ダニエルズだ。子役時代のクァンを覚えていたザ・ダニエルズが『エブエブ』の出演を打診してくれたことは、ゴールデングローブ賞受賞時のスピーチでも明かされている。
それでも、クァンは『エブエブ』起用後にプロデューサーに電話をかけて「僕なんかが出ていいんでしょうか?」と確認したそうだ。どうしてそんなことを聞くのかと尋ねられたクァンは、こう答えたという。「だって、誰も僕なんて起用したがらないからです」。
その後も全米映画批評家協会賞、全米映画俳優組合賞などで次々受賞を続けているクァンの演技を高く評価し、直々に「ロキ」シーズン2への出演を電話でオファーしたのがマーベル社長のケヴィン・ファイギだ。その他、アンソニー&ジョー・ルッソ監督による新作ディストピアSF映画『エレクトリック・ステイト(原題:The Electric State)』にも出演しており、快進撃を続けている。
『インディ・ジョーンズ』ショートラウンド役のスピンオフや、『グーニーズ』の続編を熱望する少年のような一面も見せているクァン。スーパーヒーローから等身大の男性像まで、クァンはこれからも次々とキャリアを更新していくことだろう。
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Source:Variety