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【ネタバレ】『アベンジャーズ/エンドゲーム』ブラック・ウィドウとホークアイ、なぜ◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯ならなかったのか ─ ルッソ監督と脚本家が経緯を明かす

アベンジャーズ/エンドゲーム
©Walt Disney Studios / Supplied by LMK 写真:ゼータ イメージ

惑星ヴォーミアの悲劇

『アベンジャーズ/エンドゲーム』で、前作『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』(2018)での“指パッチン”を生き残ったヒーローたちは量子の世界を通って過去へと旅をする。失われた半分の生命を取り戻すため、インフィニティ・ストーンを求めて、サノスがストーンを手に入れる以前の各地を訪れるのだ。

ナターシャとクリントが向かったのは、2014年のヴォーミア。前作『インフィニティ・ウォー』で、サノスはソウル・ストーンと引き換えに、この場所で娘ガモーラの命を奪っていた。ソウル・ストーンを手に入れるには、自分が愛するものを差し出さねばならないのである。番人レッドスカルは、サノスやガモーラの時と同じように、ナターシャとクリントにもそう語りかけるのだった。

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番人の言葉を信じないクリントをよそに、ナターシャはそれが真実であることを悟る。サノスはガモーラとヴォーミアにやってきて、一人で帰っていったのだ。二人はしばらくののち、ひとつの結論に達した。お互いに、自分が命を絶つと決めたのである。相手を死なせないがため、二人はしばし争うが、クリントは矢を放ってナターシャを吹き飛ばすと崖から飛んだ。ところがナターシャは後ろからクリントに飛びついたため、二人は崖からぶら下がる。とっさにクリントは岩場に矢を打ち込むが、それでも二人の体重を支えるにはぎりぎりだった。クリントは懸命に訴えるが、ナターシャはクリントの手を離すと、そのまま真っ逆さまに落ちていく……。

ナターシャとクリント、二人の過去

ここに至るまで、ナターシャとクリントには一筋縄ではいかない、そして決して多くが描かれていない過去がある。ナターシャ・ロマノフ/ブラック・ウィドウは、ロシアにてマインド・コントロールに等しい訓練を受け、冷酷な暗殺者として活動を続けていた。『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』(2015)でその詳細は示唆され、また本人の口からわずかに語られたのみだが、壮絶な歴史は想像するに余りあるものだ。

一方のクリントは、そんなナターシャとはS.H.I.E.L.D.において早くからの友人、親しい仲だった。『アベンジャーズ』でクリントが洗脳された際にナターシャは即座に反応しているし、『エンドゲーム』でヴォーミアへと向かう宇宙船の中では、クリントとナターシャは「ブダペストからこんなところまで」と笑い合っている。しかし『インフィニティ・ウォー』の“指パッチン”で家族を失ったクリントは、世にはびこる悪人が今も生きていることを許せず、怒りのままにメキシコや東京で残虐な殺戮行為を続けていたのだ。ナターシャはクリントの行方を追い、彼を再びチームへと呼び戻したのである。それでもクリントの心中には、自分の犯した罪への後悔が残っていた。

そんな二人が、ヴォーミアで自分を犠牲にすると決めたことには理由がある。中国・贵圈のインタビューで、ジョー・ルッソ監督は「二人とも死に急いでいるんです」と語った。「二人にとって、ここで自分が死ぬことは英雄的な行動ですらある。罰を受けることとも、悪いこととも思っていません」

Writer

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稲垣 貴俊Takatoshi Inagaki

「わかりやすいことはそのまま、わかりづらいことはほんの少しだけわかりやすく」を信条に、主に海外映画・ドラマについて執筆しています。THE RIVERほかウェブ媒体、劇場用プログラム、雑誌などに寄稿。国内の舞台にも携わっています。お問い合わせは inagaki@riverch.jp まで。

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