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【ネタバレ】『アベンジャーズ/エンドゲーム』最大のクライマックスはいかにして生まれたか ─ 脚本はスポーツを参考に執筆、削除シーンも多数

アベンジャーズ/エンドゲーム
MARVEL/PLANET PHOTOS 写真:ゼータイメージ

「アベンジャーズ、アッセンブル!」

前作『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』(2018)の結末で塵と消えてしまった仲間たち、そして生命の半分を取り戻すため、本作でヒーローたちは過去に戻り、6つのインフィニティ・ストーンを回収することとなる。無事に任務は成功し、ブルース・バナー/ハルクが指を鳴らすことによって目的は達されるが、事態は一筋縄ではいかなかった。時代を超えて交錯するネビュラの記憶から、サノスはアベンジャーズの計画を察知。ストーンを一気にかき集め、そして自分の邪魔をするヒーローを一網打尽にすべく、時を超えて地球に現れるのである。

一転して最大の窮地に立たされるヒーローたちだったが、そこに無数のポータルが出現し、消えてしまったヒーローたちが帰ってくる。「左から失礼」、ティ・チャラ/ブラックパンサーに続いてサム・ウィルソン/ファルコンが空を飛び、ドクター・ストレンジ、ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー、ピーター・パーカー/スパイダーマンが次々に帰ってくるのだ。荒地と化したアベンジャーズ本部にて、迫るサノス軍を前にヒーローの大軍が並び立ち、スティーブ・ロジャース/キャプテン・アメリカが号令を発する。「アベンジャーズ、アッセンブル!」。

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アベンジャーズ/エンドゲーム
©Walt Disney Studios / Supplied by LMK 写真:ゼータ イメージ

クライマックスはいかにして生まれたか

まぎれもなくマーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)史上最大の戦闘シーンとなった『アベンジャーズ/エンドゲーム』のクライマックスについて、脚本家のマルクスは「数えきれないほど書き直しました」と米Fandangoで語っている。たとえバトルシーンとはいえ、脚本に必要なのはシーンの骨組みだ。マクフィーリーはその基礎部分をこう説明している。

「まずはシーンの背骨を作るわけです。[中略]自分たちに言い聞かせたのは、とにかく彼らが全員帰ってくること、それが勝利の第一波になること、そしてサノスに反撃すること。もちろん必要な再会シーンはたっぷりと見せています。トニー・スタークとピーター・パーカーの再会は特に重要ですから。だけどすぐに戦場に戻して、彼らはサノスに勝てるのかどうかという構造を貫いています。」

かつてない戦闘シーンを描くため、脚本家コンビが参考にしたのはアメリカンフットボール。本編を思い出せば、その意味はすぐに理解できることだろう。

マクフィーリー「ヒーローが敵の大軍をくぐり抜けながら、必死でガントレットをゴールのラインまでパスしていく。結局、ラインは破壊されてしまうわけですが、そうなったあとは誰がストーンを手にするかという争奪戦なんです。」

マルクス「序盤に出てきたアントマンのバンを、第三幕でもう一度使えると気づいた時はうれしかったですね。サノスが全部を破壊し、(タイムトラベルの)マシンだけが残っていたという展開は書きたくなかったんですが、あのバンが残っているのは良いと思ったんです。」

ところで、このクライマックスのバトルシーンは完成版よりも遥かに長い場面になる予定だった。米The New York Timesにマルクスが語ったところによれば、この戦闘シーンそのものがひとつのストーリーとして三幕構成を有していたというのだ。脚本に執筆され、そして実際に撮影された場面が編集段階でいくつも削除されていたのである。

Writer

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稲垣 貴俊Takatoshi Inagaki

「わかりやすいことはそのまま、わかりづらいことはほんの少しだけわかりやすく」を信条に、主に海外映画・ドラマについて執筆しています。THE RIVERほかウェブ媒体、劇場用プログラム、雑誌などに寄稿。国内の舞台にも携わっています。お問い合わせは inagaki@riverch.jp まで。

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