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【ネタバレ】『アベンジャーズ/エンドゲーム』最大のクライマックスはいかにして生まれたか ─ 脚本はスポーツを参考に執筆、削除シーンも多数

アベンジャーズ/エンドゲーム
MARVEL/PLANET PHOTOS 写真:ゼータイメージ

クライマックスの削除シーンとは

『アベンジャーズ/エンドゲーム』のクライマックスから削除されたシーンのひとつが、大勢のヒーローが塹壕のような場所に集まり、サノスを相手に戦う方法について言葉を交わす場面だ。The New York Timesにて、脚本家のマルクス&マクフィーリーはその概要を明かしている。

マクフィーリー「ある理由で塹壕に入るシーンがあったんです。戦闘が3分ほど中断されて、18人で“これからどうする?”と。それで“俺はこうする”、“私はこうする”と言う。このシーンについては何度も話し合ったんですが、非常に嘘っぽくて心地悪かった。大勢が一言ずつ喋っていて、自然な会話にならなかったんです。」

マルクス「しかも決戦の途中に、彼らがしっかりと話し合える場所が必要になるわけで。これは第一次世界大戦を丁寧に描くような場面じゃないんだぞ、と。」

米国のポッドキャスト「Happy Sad Confused」ではジョー・ルッソ監督が、クライマックスでは登場人物のアクションシーンをいくつかカットしたことも明かしている。

「もっと見せ場が多かったんですよ。戦闘シーンは過剰になりがちなので、特に必要な要素に絞り込んでいきました。編集室で作業を始めると、(シーンの)構造を維持できていないと思うことがあります。その時にはよりよい構造や見せ方を探すんですが、(クライマックスでは)いくつかの見せ場が他の場面に比べてうまくいっていなかった。そこに“バトルシーン疲れ”の原因があったんです。」

女性ヒーローのチームアップも慎重に検討されていた

ジョー監督によれば、クライマックスには「ロケットとグルートの再タッグや、アントマンとワスプの再タッグもあった」とのこと。それらをカットした理由については「再会を延々と見せているように思えてきた」からだとも語られている。「これから新作が作られるキャラクターのタッグは、また別の機会にも見ることができますから」

また米The Los Angeles Timesでは、脚本家のマクフィーリーが、スコット・ラング/アントマンとホープ・ヴァン・ダイン/ワスプの再会を丁寧に描けなかった理由を語っている。いわく「ラングの存在があらゆる意味で物語の推進力になっているから」。時間的余裕がなかったため、シーン全体や映画の流れを重視し、泣く泣く最小限のやり取りにとどめられたようだ。ちなみに彼は「スティーブとバッキーの再会も良いシーンになったんでしょうけど」と漏らしてもいる。

消えたクラグリン

トニー・スターク/アイアンマン役のロバート・ダウニー・Jr.は、『インフィニティ・ウォー』『エンドゲーム』に携わったキャスト&スタッフの集合写真をInstagramに投稿している。注目すべきは2枚目に、『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』クラグリン姿のショーン・ガンが映っていることだ。ショーンはロケット・ラクーンのモーションキャプチャーも担当しているが、本作のクレジットには「クラグリン」とも記されている。

この写真が撮影されたのは、周囲の出演者のメイクなどから察するに、おそらく『エンドゲーム』クライマックスの撮影現場だろう。本編にクラグリンの姿はなかったように思われるが、出番をカットされたということか……。

 
 
 
 
 
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Infinity war / Endgame cast and crew assembled … #TeamStark #thankyou Where’s #waldo ? It takes a village … (📸 @chuckzlotnick ) #flashback #throwback #tbt

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ちなみに脚本家のマルクスは、脚本段階では「マイケル・ダグラスとミシェル・ファイファーにスーツを着せようと考えていたこともありました」と明かしている。こちらはアイデア止まりで実現しなかったが、理由は「呼び戻したキャラクターを全員描くのは不可能だし、ただのお祭りになっちゃうと思った」から。物語の骨格を定めつつ、戦闘シーンとして適切な内容とテンポに仕上げ、かつ充実したファンサービスに仕上げなければならない……。本作のクライマックスが、いかに緻密なバランス感覚で作られていたかがうかがえるというものだ。

映画『アベンジャーズ/エンドゲーム』は2019年4月26日(金)より全国公開中

『アベンジャーズ/エンドゲーム』公式サイト:https://marvel.disney.co.jp/movie/avengers-endgame.html

Sources: HSC, Fandango, The New York Times, The Los Angeles Times, Comicbook.com

 

Writer

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稲垣 貴俊Takatoshi Inagaki

「わかりやすいことはそのまま、わかりづらいことはほんの少しだけわかりやすく」を信条に、主に海外映画・ドラマについて執筆しています。THE RIVERほかウェブ媒体、劇場用プログラム、雑誌などに寄稿。国内の舞台にも携わっています。お問い合わせは inagaki@riverch.jp まで。

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