『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』製作陣の新たな挑戦 ─ 撮影・編集を同時進行、セットに編集者が常駐するスタイル

『スター・ウォーズ』新3部作の完結編『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け(邦題未定、原題:Star Wars: The Rise of Skywalker)』は、『フォースの覚醒』(2015)を手がけたJ・J・エイブラムス監督によって異例の急ピッチで製作されている作品だ。脚本・監督を務める予定だったコリン・トレボロウが降板し、エイブラムスの就任時点では「ストーリーはない、キャストは決まっていない、デザイナーも美術もない」状態だったのである。
通例ならば、本撮影の終了後に本格始動する編集チームも過酷な状況は同じだった。編集を担当したメリアン・ブランドン氏は、この事態への対応策として、撮影現場で編集作業に取り組むという方法を選んだことを明かしている。英Expressが報じた。
「『ライズ・オブ・スカイウォーカー』の編集はすごく短いスケジュールでした。『フォースの覚醒』の時は、(2014年)5月に撮影が始まって、10月に終わりました。しかも公開は翌年(2015年)のクリスマスだったんです。今回は(2018年)8月まで撮影が始まらなくて、撮影の終了は(2019年)2月でした。
だから、私たち(編集チーム)に与えられていた時間は4ヶ月未満。しかも超大作ですよ。そこで、“セットで編集をやらせてほしい”とJ・Jを説得しました。“そんなのはやったことがないし”と言われましたが、“やりましょう、そしたら撮った映像を引き継げますから”と。」

こうしてメリアン氏は、撮影期間中、つねにセットで作業にあたることとなった。最初は未知の共同作業を心配していたJ・Jも「すぐに慣れた」そう。メリアン氏いわく「僕から3メートル以上離れないでほしい」とまで言われたという。「カメラが3メートル動く時には、私も3メートル動きましたよ。どこでも行きましたね、野外でも、水槽の中でも」。
自身の提案した方法によって、メリアン氏はスタッフとの連携を取ることができただけでなく、キャストとも親しい関係を築くことができた。状況に臨機応変に対応しつつ、平常の関わり方では得られないコミュニケーションを深めていったのだ。
「私は撮影されているものを観察して、その前日に撮られたものを編集していました。すぐ近くに撮影監督がいて、質問することもできましたしね。私の方で必要なショットがあったり、J・Jが新しいショットを撮ると決めたりしたら、(セットの)隅っこで準備をして、グリーンスクリーンのショットなんかを撮っていましたよ。出演者のことを知ることができ、彼らに心地よく過ごしてもらえたことで、全員の仕事をきちんと理解することができたとも思います。」
『スカイウォーカーの夜明け』では、俳優による即興演技も積極的に取り入れられ、従来よりも柔軟に撮影が進められていたことが明らかになっている。そうした作り方が可能になったのは、撮影された映像を一本の映画としてまとめていく、映画編集者の存在が撮影現場にあったからだろう。製作チームの挑戦は、果たしてどのように実を結んでいるのか…!
映画『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け(原題:Star Wars: The Rise of Skywalker)』は2019年12月20日(金)日米同時公開。
Source: Express