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J・J・エイブラムス『スター・ウォーズ』新作の監督を断りかけていた ─ 突然のオファーと脚本家起用、怒涛の展開を振り返る

J.J.エイブラムス
Photo by Gage Skidmore https://www.flickr.com/photos/gageskidmore/19679067265/

『スター・ウォーズ エピソード9』として語られてきた、シリーズ最新作『スター・ウォーズ/ライズ・オブ・スカイウォーカー(邦題未定、原題:Star Wars: The Rise of Skywalker)』の“これまで”を、監督のJ・J・エイブラムスが米Fast Companyのロングインタビューにて振り返った。

新3部作の始まりとなった『フォースの覚醒』(2015)を手がけたJ・Jは、創造主ジョージ・ルーカスを除いて、『スター・ウォーズ』で複数回メガホンを取る初めてのフィルムメーカーだ。しかし、彼が『ライズ・オブ・スカイウォーカー』の監督に就任したのは2017年9月のこと。米国公開予定日の2019年12月20日は約2年後に迫っていた

前監督の降板、突然の監督オファー

「本来は僕がやるはずじゃなかった、僕は監督じゃなかったんです。わかりますよね?」

まだタイトルが発表されていなかった当時、『スター・ウォーズ エピソード9』の監督として発表されていたのは、『ジュラシック・ワールド』(2015)のコリン・トレボロウ。しかし脚本をめぐってルーカスフィルムと折り合いがつかなかったコリンは、そのまま企画を離脱している。後任者には『最後のジェダイ』(2017)のライアン・ジョンソン監督も検討されたともいわれるが、最終的にライアンは新3部作を手がけることとなり、J・Jに白羽の矢が立てられたのである。

「(当時)僕は別の仕事をしていて、うまくいけばそちらが次のプロジェクトになるはずでした。そしたらキャシー(キャスリーン)・ケネディから、“本気で、真剣に参加を考えてもらえませんか”と電話があって。始まってしまえば、すべてはあっという間でした。とにかく信じて賭ける、という感じでしたね。だけど実際は、“ノー、やりません”と言いかけていたんですよ。」

J・Jが『エピソード9』を断りかけたのは、彼が『スター・ウォーズ』を愛してやまなかったからだ。「自分が大好きなものに近づきすぎるのは危険だ」と考えている彼は、『フォースの覚醒』について「なんとか新しいキャラクターを登場させ、どうにか物語をしかるべき形で続けることができた」と話している。個人的にも『スター・ウォーズ』への愛情を失うことなく、満足する形で仕事を終えることができたと……。




そんな彼の意志を動かしたのは、妻であり、J・Jの製作会社バッド・ロボット・プロダクションズを共同経営するケイティ・マクグラスだった。

「もう一度、というお話をもらった時、これは危ないぞと思いました。つまり、なぜもう一度やるのかと。どうにか(前作を)完成させたのに、何を考えてるんだって。だから実際に“ノー”と言っていたんですが、ケイティが“やるべきだよ”と言ってくれて。最初、彼女はもう(関係者の)誰かに会ったのかなと思いましたね。だけどそのあと、彼女はいつも正しいことを言うからなぁ、って。ケイティはそう言った時、これは自分たちで始めて、続けてきた物語を終える機会になると思ったんでしょう。」

ところが、こうして再登板を引き受けたJ・Jの前に立ちはだかっていたのは、「脚本はない、しかし公開日は決まっている」という状況だった。前任者コリンの脚本は採用されず、スカイウォーカー・サーガの完結編はJ・Jにまるごと託されたのだ。まさに“助けてJ・J、あなただけが頼りです”状態である。

コリン・トレボロウ前監督、降板当時の報道

共同脚本家クリス・テリオの起用

J・Jが参加した当時、『エピソード9』は「ストーリーはない、キャストは決まってない、デザイナーも美術もまだない」状況だったという。「スタッフがいて、僕らが参加する前のバージョン(コリン・トレボロウ版)のためのものはありましたが、ここからやり直しだったんです」。

タイトなスケジュールで『スター・ウォーズ』を完成させるため、J・Jは「少なくとも、脚本家がもう一人必要だと思いました」と述べる。そこで起用されたのが、『アルゴ』(2012)や『バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生』(2016)を執筆したクリス・テリオだった。

「誰が一緒に書いてくれるのか全然わからなかったので、まずは長年尊敬していた脚本家、クリス・テリオに連絡したんです。僕もよく知っている人ではなかったんですが、“僕と一緒に『スター・ウォーズ』を書いてみたくはないですか?”と聞いたら、絶叫が返ってきましたね。」

J・Jいわく、クリスの「『スター・ウォーズ』を手がけることへの興奮と恐怖が両方入った」絶叫は、彼にひとつの気づきを与えたという。それは、自分自身が『スター・ウォーズ』の新作を手がけることへのプレッシャーをもはや感じていなかったということだ。

「だって(『スター・ウォーズ』の仕事は)もう経験してますからね。だけど、“この世界で遊べるなんて!”という視点は忘れちゃいけないと思いました。もちろん興奮はしていたんですが、めちゃくちゃ大きな仕事を短期間でやらなきゃいけないという思いがとても強かったんですよ。」



そこからJ・Jとクリスは、すぐさま脚本作業に全力を投じていった。「楽しかったけどプレッシャーでしたね。文句を言うわけじゃないですが、直感で決断しなきゃいけないことがいくつもあったので」。J・Jが回想するのは、かつて「LOST」(2004-2010)のパイロット版(2時間)を、わずか12週間で脚本の執筆から完成まで終わらせた際の出来事だ。「あの時も本当に時間がなかったんです。時間がないことのメリットは、考え過ぎる時間がないということですよ」。

しかし、当時手がけた作品が“すべての始まり”だったのに対して、今回は『スター・ウォーズ』の最新作、しかもスカイウォーカー・サーガの完結編だ。自らの生んだ『フォースの覚醒』に続くだけでなく、ライアン・ジョンソン監督の前作『最後のジェダイ』(2018)にも応えつつ、9本の映画からなる物語を終えなければならなかったのである。

「10年前に思いついた巨大なアイデアやイメージはありましたし、『フォースの覚醒』当時にローレンス・カスダン(脚本家)と一緒に考えたアイデアもたくさんありました。だけど今回の作品にとっては(登場させるための)必然性も仕掛けもなくて。与えられた条件自体がとんでもないチャレンジでした。」

2019年4月現在、J・Jは『ライズ・オブ・スカイウォーカー』の編集段階にある。あまりのチャレンジを前に、一度は「歪んだアイデアとムチャクチャな答え、間に合わせと穴埋めで取っ散らかってしまう可能性もある」と考えていたというが、J・Jによれば、初期段階で徹底的にストーリーを作り込み、自問自答を繰り返していったとのこと。すでに作品は満足のいく形に仕上がってきたようだ。

「必要以上に謙遜したり自信を語ったりするわけでもなく、これはすごく特別な作品かもしれない、と思えています。安堵感がありますし、この仕事ができたことに感謝しているんです。何よりも、作品についてそう思えることに興奮していますよ。」

映画『スター・ウォーズ/ライズ・オブ・スカイウォーカー(邦題未定、原題:Star Wars: The Rise of Skywalker)』は2019年12月20日(金)日米同時公開

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Source: Fast Company

Writer

稲垣 貴俊
稲垣 貴俊Takatoshi Inagaki

THE RIVER編集部。わかりやすいことはそのままに、わかりづらいことはほんの少しだけわかりやすくお伝えしたいと思っています。お問い合わせは inagaki@riverch.jp へ。

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