スピルバーグ、過去作の改変「二度とやらない」 ─ 銃をトランシーバーに置換の『E.T.』特別版を後悔「最悪なバージョンになった」

『ペンタゴン・ペーパーズ 最高機密文書』『レディー・プレイヤー1』といった最新作を続々と送り届ける巨匠スティーブン・スピルバーグは、なおも先に進み続ける。とある理由から、過去を振り返ることに痛い失敗を経験しているのだ。
その失敗とは、2002年に劇場公開された『E.T. 20周年アニバーサリー特別版』をめぐるもの。これは、言わずもがな1982年の傑作『E.T.』の20周年を記念し、一部に変更・修正やシーンの追加を行っていたものだ。世相に合わせてセリフやシーン描写が調整されており、例えば警官が抱く銃をトランシーバーに差し替えるなどの変更が見られていた。
最新技術を用いれば、こうした過去の作品に、当時表現できなかったものを加えることもできる。その代表例とされるのが『スター・ウォーズ』クラシック三部作だろう。もっとも、『E.T』にしても『スター・ウォーズ』にしても、過去の名作の改変には批判もつきものなわけで…。
「トラブルになってしまったことがあったんです。」スティーブン・スピルバーグは、インタビューで「『スター・ウォーズ』のように過去作をやり直すことは?」と尋ねられると、『E.T.』特別版でファンがあげた批判の声からの学びを語っている。
「E.T.を再リリースしたとき、5つのシーンでE.T.をパペットからデジタル・パペットに差し替えたのと、FBI捜査官がバンを追いかけるシーンでは銃をトランシーバーに差し替えたんです。ジョージが『新たなる希望』にデジタル編集していたのをきっかけに、ユニバーサルがマーケティングとして観客を取り戻すための施策を打ちたいということでやった訳ですが、これは最悪なバージョンのE.T.になってしまいました。
当時はまだ今みたいにソーシャル・メディアもそう無かったけど、不満の声が出るわ出るわで。銃を取り上げてトランシーバーを持たせたりして、みんなの子供の頃の思い出を壊してくれるなと。これが勉強となって、もう過去作に手を加えるのはこれで最後にしようと決めたんです。済んだことなのですから。もう過去には戻らないし、変更や編集が加わる際には、私がコントロールを取ることにしました。」
数え切れぬほどの名作を世に送り出してきたスピルバーグだが、つまり『ジョーズ』(1975)なども、いわゆる「特別編」の可能性は今後一切考えられないということである。
もっとも、スピルバーグが過去を振り返らないのはこのためだけではない。引き続き多忙を極めるスピルバーグは、ハリソン・フォード主演の『インディ・ジョーンズ』第5作、およびブロードウェイの大ヒットミュージカルの映画版『ウエスト・サイド物語』リメイクの準備も進めているほか、主演にハビエル・バルデムを起用して全4話のAmazon配信ドラマを手がけることもわかっている。
スピルバーグ最新作『ペンタゴン・ペーパーズ 最高機密文書』は2018年3月30日より公開中。続いて『レディ・プレイヤー1』が4月20日より公開となる。御年71歳、まだまだ止まらない。
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