マーベル野心作『エターナルズ』は『アベンジャーズ/エンドゲーム』超えを目指す ─ 監督にマンガのルーツ、「東洋と西洋の融合を進めたい」

マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)には、次回作『ブラック・ウィドウ』に続いて、新たなる野心作『エターナルズ(原題:Eternals)』が控えている。『アベンジャーズ/エンドゲーム』(2019)後の世界を主な舞台に、7,000年もの時間を視野に収める本作は、古代から地球でひっそりと暮らしてきた異星人であるエターナルズが、人類最古の敵・ディヴィアンツと戦うべく立ち上がる物語だ。
監督に起用されたのは、『ザ・ライダー』(2017)がカンヌ映画祭で高く評価されたクロエ・ジャオ。サーチライト・ピクチャーズ製作による最新作『Nomadland(原題)』の映画賞での健闘が期待される俊英が、早くもMCU作品に抜擢されたのである。
米The Hollywood Reporterでは、製作陣が『アベンジャーズ/エンドゲーム』超えを目指して『エターナルズ』に臨んだことが明かされている。ジャオ監督は「どれくらい『エンドゲーム』より先に進めるか、どれくらい大きな作品にできるか」を自問していたというのだ。「だって私は、この映画をただの監督として作っているわけではありませんから。ひとりのファンとして作っているんですよ」。
マーベル・スタジオのケヴィン・ファイギ社長は、ジャオ監督のビジュアル面の提案が印象に残っていると語る。コミックファン以外にはあまり知られていないキャラクターを登場させるにあたり、監督は説得力のあるアイデアを持ち込んだそうだ。「最初の提案から魅力的でした。この映画を作ろうと決めた理由のひとつが、彼女の考えてくれたビジョンだったんです」とはファイギ社長の談。ジャオ監督は「私の中にある、とても強烈なマンガのルーツを『エターナルズ』には取り入れました。東洋と西洋の融合をさらに推し進めたいと思います」とも話した。
『エターナルズ』の先進性は、アンジェリーナ・ジョリーやサルマ・ハエック、ジェンマ・チャン、ローレン・リドロフ、マ・ドンソク、ブライアン・タイリー・ヘンリーら、さまざまなバックボーンとアイデンティティを有する俳優陣が、同じく多様性に富んだキャラクターを演じるところにもある。ファイギ社長いわく、LGBTQを描くことは「物語に本来備わっているもの」であり、「エターナルズを構成する、あらゆる側面のひとつ」。その仕上がりについては「とてもうまくいっていると思います。将来的には、このレベルの多様性が話題にならなくなるといいですね」と述べた。
こうした方針はジャオ監督も同様だ。出演者やキャラクターの設定については「現実の世界を反映したかった。同時に、はみ出し者たちの集まりのようにも見せたかったんです。男らしい人たちばかりにはしたくなかった」と話したうえで、「映画が終わる頃には、“この人はあの人種で、あの人はこの国籍で…”みたいなことを考えてほしくない」とも強調しているのである。「家族なんだ、と思ってほしいですね。それぞれが何の象徴なのかではなく、個人の集まりとして見てもらいたい」。
ちなみに、ジャオ監督にとって本作は初めての大作映画となる。製作費は大幅に跳ね上がっているものの、創作は『ザ・ライダー』『Nomadland』と変わらない感覚で進められているそう。従来と同じスタイルで、「自分が撮りたいように撮っている」というのだ。「夢みたいですよ。まだ不安もありますが、現実にはなっていません。マーベルがリスクを選び、新しいものを作りたがっていることを幸せに思います」。
映画『エターナルズ(原題:Eternals)』は2021年2月12日に米国公開予定。
Source: The Hollywood Reporter