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『ノマドランド』監督、MCU映画『エターナルズ』でも実写撮影・少人数制作にこだわる ─ マーベル社長、仕事ぶりに感銘

エターナルズ

2021年5月3日、マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)の新作映画エターナルズの本編映像が初めて公開された。本作はアベンジャーズやガーディアンズ・オブ・ギャラクシーに続く、新たなヒーローチームの初登場を描く群像劇。しかし、その全貌は謎に包まれている。

監督・脚本は『ノマドランド』(2020)でアカデミー賞の作品賞・監督賞に輝いたクロエ・ジャオ。いわゆる俳優ではない“素人”をキャストとして起用する、雄大な自然をダイナミックに切り取るなど、『ザ・ライダー』(2017)と『ノマドランド』の2作だけで作風は十分に確立された。初の大作映画&豪華キャストの『エターナルズ』も、わずかな本編映像だけで、少なくとも映像面のこだわりが継承されていることがうかがえる。

Varietyにて、マーベル・スタジオのケヴィン・ファイギ社長は、ジャオ監督の映像スタイルが『エターナルズ』には「そのまま入っている」と明かす。MCU映画といえばCGをふんだんに使用することで知られ、本作も例外ではないが、あくまでもジャオ監督は実写撮影にこだわったのだ。

「彼女(ジャオ)は実際のロケーション、実物を使うことにこだわっていました。たくさんのCGを使う、すさまじいパワーを持つキャラクターが登場する映画ですが、なるべく広いロケーションで撮りたいと。そこから、すぐに映像面の成果に得られましたね。覚えているのは、ディズニーに見せるためのサンプルを編集したら、それが本当に美しかったこと。“撮ったままの映像ですよ、まったくCGが入ってないんです!”って言わなきゃいけなかったほどです。きれいな日没、完璧な波、巨大な崖の縁から立つ霧。本当に感動しました。」

ファイギ社長が『ノマドランド』を観たのは、『エターナルズ』の本撮影が終わった後のことだった。作品に触れたファイギは、「彼女がやりたかったのは単にグリーンスクリーンの世界から外に出ることじゃなかったんだ」とようやく理解したことを認めている。「これこそが彼女のスタイルだったのか、と思いました」

もうひとつ監督が強く求めたのは、『エターナルズ』をあくまでも少人数で撮ること。MCU映画ほどの大作の場合、いつも撮影現場には百人単位のスタッフがいるものだが、ジャオはこれまでと同様の少人数体制で実現できるよう、現場の運営方法を変えてもらったという。結果として、ジャオ監督の周囲にいたのは25人ほど。それぞれのスタッフがチームを率いていたが、各チームはなるべく現場に近づかない形で制作が進んだという。

かくしてジャオ監督の作風を守れる環境が作られた『エターナルズ』だが、ジャオ自身は「素晴らしい熟練者たちが私のやりたいことをサポートしてくれたので、“私のビジョン”だと言うことには気をつけたい」と謙遜する。「見事な才能のチームと、世界有数のアーティストたちがいて、彼らが私に主導権を任せてくれた、ということです」。

『エターナルズ』は宇宙種族・セレスティアルズが人類への遺伝子実験によって作り出した“エターナルズ”の面々を描く、およそ7,000年にわたる一大群像劇。ちなみに監督によれば、映画版の根幹には、生みの親であるコミックライター&アーティストのジャック・カービーの影響があるという。

根底にジャック・カービーの存在があり、彼のイマジネーションや素晴らしい仕事があります。その上にマーベル・スタジオが構築してきたものがあって、さらにその上にMCUファンである私がいるのです。私は、SFやマンガ、ファンタジーといったジャンルのファンでもあるんですよ。こんなに巨大な鍋を使って料理をしたら、ちょっと違った味になるかもしれませんよね?」

これまで多くのフィルムメーカーを迎え、さまざまな映画の可能性を模索してきたMCUだが、ファイギ社長は「クロエ・ジャオは過去最高の例だと思う」と最大級の賛辞を寄せる。「作品だけでなく、彼女自身に物語や背景があり、とてもユニークな世界の見方がある。それこそストーリーテラーに、またフィルムメーカーに求めるものです」。

映画『エターナルズ』は2021年11月5日(金)公開予定

Source: Variety(1, 2

Writer

稲垣 貴俊
稲垣 貴俊Takatoshi Inagaki

「わかりやすいことはそのまま、わかりづらいことはほんの少しだけわかりやすく」を信条に、主に海外映画・ドラマについて執筆しています。外部寄稿に『TENET テネット』『ジョーカー』『シャザム!』『ポラロイド』劇場用プログラム寄稿など。国内の舞台にも携わっています。お問い合わせは inagaki@riverch.jp まで。

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