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マーベル『エターナルズ』と『ノマドランド』、テーマの共通点がある ─ キーワードは「アウトサイダー」

エターナルズ
(c)Marvel Studios 2021

マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)の新作映画『エターナルズ』は、『ノマドランド』(2020)でアカデミー賞に輝いたクロエ・ジャオ監督が手がける初めてのヒーロー映画。マーベル・スタジオは『ノマドランド』以前、『ザ・ライダー』(2017)ののちにジャオ監督を抜擢しており、インディペンデント作品からの驚くべき飛躍を実現させた。

プロデューサーのネイト・ムーアは、『エターナルズ』と『ノマドランド』にはテーマとしての共通点があると指摘している。英Empireにて、ムーアはこう述べたのだ。

クロエの関心は、新たな世界をさまようアウトサイダー(よそ者)の物語を描くことにあります。『ノマドランド』と『エターナルズ』は、そうしたDNAを共有しているのです。同じ見かけではありませんが、テーマには通じ合うところがある。」

『エターナルズ』が描くのは、アベンジャーズの誕生よりもはるか昔から地球に存在し、7000年もの間、人類を見守ってきた最古のヒーローチーム・エターナルズだ。サノスによって人口の半分が消滅した際、彼らは問題に介入することを許されなかった。しかし人類の復活によって巨大なエネルギーが生まれ、新たな脅威が地球に迫る。

長年にわたり地球上に存在しながら、人類の危機には介入できなかったエターナルズは、いわば先住民のような立ち位置でありながら“よそ者”という属性を持つことになる。ジャオ監督は『ザ・ライダー』『ノマドランド』で西部劇映画の現代化を試みてきたともいわれるが、こうした目線に立てば、『エターナルズ』もその流れを汲むであろうことがうかがえる。あらかじめ監督の過去作を見ておけば、きっと『エターナルズ』をより楽しめるはずだ。

なお、ジャオ監督は『エターナルズ』を撮るにあたり、なるべく少人数のチームによるロケ撮影にもこだわっていた。インディペンデント時代のテーマとスタイルを、マーベル映画という超大作にも発展させた本作は、その試み自体がすでに野心的だろう。プロデューサーであるムーアは、賞レースでの活躍にもわずかな期待をにじませる。「この映画は我々にとってまったく新しいもの。“アカデミー賞監督が放つ…”なんて、過去のマーベル映画にはなかったフレーズですから」

映画『エターナルズ』は2021年11月5日(金)全国公開。

Source: Empire

Writer

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稲垣 貴俊Takatoshi Inagaki

「わかりやすいことはそのまま、わかりづらいことはほんの少しだけわかりやすく」を信条に、主に海外映画・ドラマについて執筆しています。THE RIVERほかウェブ媒体、劇場用プログラム、雑誌などに寄稿。国内の舞台にも携わっています。お問い合わせは inagaki@riverch.jp まで。