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クリス・エヴァンス、盟友セバスチャン・スタンのトランプ役に「驚かなかった、彼は本当に勇敢だから」

Chris Ross https://www.flickr.com/photos/chrisroth1/52904257388/ | Harald Krichel https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Sebastian_Stan-64508.jpg | Remixed by THE RIVER

マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)でキャプテン・アメリカ/スティーブ・ロジャース役を演じたクリス・エヴァンスは、劇中と同じく、親友バッキー・バーンズ役のセバスチャン・スタンの理解者であるようだ。

思想的にリベラルのエヴァンスは、ハリウッドにおいても激しいタイプの“反ドナルド・トランプ派”。しかし、伝記映画『アプレンティス:ドナルド・トランプの創り方』で盟友スタンがトランプ役を演じたことには「驚かなかった」という。

Vanity Fairのインタビューにて、エヴァンスは「セバスチャンはいつも、本当に勇敢なんです。とても大胆なことをする」と語っている。

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「トランプの映画をやると話題になったとき、“いったい誰がこの役を引き受けるんだろう?”と思ったのを覚えています。たくさんのしがらみがあることはわかっていたから。セバスチャンがやると聞いたときは、それほど驚かなかったですね。」

アプレンティス:ドナルド・トランプの創り方
© 2024 APPRENTICE PRODUCTIONS ONTARIO INC. / PROFILE PRODUCTIONS 2 APS / TAILORED FILMS LTD. All Rights Reserved.

MCUでブレイクした数々の役者たちのなかでも、スタンは特に挑戦的な役柄を選びつづけてきた。『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』(2016)の翌年に出演したのは、『アイ,トーニャ 史上最大のスキャンダル』(2017)。演じたのは、実在のフィギュアスケート選手トーニャ・ハーディングの暴力夫ジェフ・ギルーリーだった。

その後もスタンは、バッキー役とは異なるさまざまな──ときにシリアス、ときに心優しく、ときにはサイコパス的な──キャラクターを演じ、爪痕を残してきた。特徴は、決して主張が強くないこと。どんなにアクの強い役柄を演じていても、物語や演出、共演者の演技をスポンジのように吸収する柔軟性と細やかさがある。

トランプ役を演じたときも、そのことは変わらなかった。スタンは「彼(トランプ)は人間性を失っていく。それがこの映画で起きることの本質で、俳優としては、そこに人間らしさを見出し、共感しようと試みるのみです」と言っている。そのアプローチが、アカデミー賞の主演男優賞ノミネートという成果につながった。

アプレンティス:ドナルド・トランプの創り方
© 2024 APPRENTICE PRODUCTIONS ONTARIO INC. / PROFILE PRODUCTIONS 2 APS / TAILORED FILMS LTD. All Rights Reserved.

オスカー像は逃したが、業界内での評判はうなぎのぼりだ。名優ジェーン・フォンダは、全米映画俳優組合賞で生涯功労賞に輝いた際、スピーチのなかでスタンを称えた。「演じる役の行動を憎みながらも、トラウマを抱えた人物を理解し、共感しなければいけません。『アプレンティス』のセバスチャン・スタンのように」と。スタンはこの出来事を、「オスカーを受賞するよりも嬉しいかも。彼女が僕を知ってくれているなんて」と喜んだ。

ちなみに、ジェシカ・チャステインは『355』(2022)の撮影現場で、スタンからトランプ役のオファーを受けていることを直接聞かされたという。

「彼は本当に思慮深く、考えすぎてしまうくらい。それでストレスを抱えることもある」とチャステインは言う。悩めるスタンに、オファーを引き受けるよう助言した。「彼は嫌われ者を演じることを厭いません。スタジオの幹部には複雑で暗い部分のある役を嫌がる人もいますが、彼はそうじゃない。昔ながらの映画スターでは満足できない人です」。

その後、実際のトランプは『アプレンティス』に激怒し、SNSでは関係者を激しく批判。一時は公開中止に追い込もうと動いたともいわれている。

もっともスタンは、「きっと彼は映画を何回も観ているはず」と言い切った。役づくりのために一日中トランプのスピーチを聞き、リサーチに励んだ彼がいうのだから説得力が違う。「彼はナルシストですから。気に入ったところもあるはずですよ、たとえばルックスとかね」と笑顔を浮かべた。

Source: Vanity Fair

Writer

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稲垣 貴俊Takatoshi Inagaki

「わかりやすいことはそのまま、わかりづらいことはほんの少しだけわかりやすく」を信条に、主に海外映画・ドラマについて執筆しています。THE RIVERほかウェブ媒体、劇場用プログラム、雑誌などに寄稿。国内の舞台にも携わっています。お問い合わせは inagaki@riverch.jp まで。

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