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クリス・エヴァンス、キャプテン・アメリカ役のオファーを2度断っていた ─ マーベル側も最初は躊躇、役柄への葛藤を振り返る

アベンジャーズ/エンドゲーム
MARVEL/PLANET PHOTOS 写真:ゼータイメージ

マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)にてスティーブ・ロジャース/キャプテン・アメリカ役を演じているクリス・エヴァンスは、かつて役柄のオファーを2度にわたって断っていた。

The Hollywood Reporterのロングインタビューでは、エヴァンスがキャプテン・アメリカ役に就任するまでの経緯、そして当時の心境が、エヴァンス本人や関係者の証言から紐解かれている。

シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ
『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』©Marvel Studios 写真:ゼータ イメージ

マーベル、エヴァンスの起用をためらっていた

キャプテン・アメリカ役のキャスティング作業が始まったのは2010年前半のこと。エヴァンスが役柄を射止めるまでには紆余曲折あり、かつてはマーベル・スタジオもエヴァンスの起用に消極的だったという。当初の候補者リストにエヴァンスの名前が入っていなかったのは、エヴァンスが『ファンタスティック・フォー』シリーズでヒューマン・トーチ役を演じていたためだった。

マーベル・スタジオのケヴィン・ファイギ社長は、エヴァンスの起用を決意した理由をこう語っている。

「(最初は)“エヴァンスはあの役柄を演じてるし、候補者を探し続けましょう”と言っていました。そのあと最初のリストに戻ってきたころに、クリスの名前が再び出てきたんです。その時、パトリック・スチュワートはジャン・リュック=ピカード(スター・トレック)とチャールズ・エグゼビア(X-MEN)だし、ハリソン・フォードはハン・ソロ(スター・ウォーズ)とインディ・ジョーンズを演じてるよな、と思って。(役柄の重複は)誰も気にしないんじゃないかと。」

Kevin Feige / ケヴィン・ファイギ
ケヴィン・ファイギ Photo by Gage Skidmore https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Kevin_Feige_(28556369381).jpg

ところが出演オファーを受けたエヴァンス本人は「ちょっとしたパニックになった」と明かしている。大作映画のプロモーションでインタビューなどに登場するたび、当時の彼は「まるで裁かれているよう」だと感じ、「自分が何者なのか見失いかけていた」というのだ。少年時代はアニメーターになるのが夢だったというエヴァンスは、自分は仕事を間違えたのではないかと考え始めていた。

したがって、エヴァンスはキャプテン・アメリカ役のオファーを魅力的に感じながらも、出演を断ることを決意。当初、マーベルがエヴァンスに提示したのは映画9本の出演契約。エヴァンスが一度断るとスタジオは6本の契約を再提示してきたというが、彼は再びオファーを断っている。その後、招待を受けてスタジオを訪れたエヴァンスは、作品のアートや衣裳を見せてもらったというが、それでも意志を変える気はなかった。

もっとも、エヴァンスがかたくなに首を縦に振らない一方で、マーベルもエヴァンスの獲得に必死だった。いっこうに折れないマーベルを相手に、エヴァンスは親友や恩師との話し合いを重ね、さらにはアイアンマン役のロバート・ダウニー・Jr.から激励の電話を受けて、ようやくオファーを引き受けているのだ。当時、エヴァンスは大人になって初めてセラピーに駆け込んだという。

キャプテン・アメリカには「闇がない」?

実際のところ、エヴァンスは出演を引き受けるまで、キャプテン・アメリカのコミックを一度も読んだことがなかったそう。「もしも読んでいたら、引き受けるのをさらにためらったかも」とエヴァンスは語っている。第二次世界大戦のさなか、日本による真珠湾攻撃の直前に生まれたキャプテン・アメリカは、かつてのアメリカが抱いていた正義と理想を体現する、いうなれば現代に蘇らせることが非常に難しいヒーローだったのだ。

スティーブ・ロジャース/キャプテン・アメリカについて、当時のエヴァンスは「まったく闇のない」キャラクターだと考えていたという。「観客が見たがる人物にするにはどうすればいいのかなって。ジョークは言わないし、ウルヴァリンじゃないし、バットマンみたいに両親が死んでいるわけでもないですから」

『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』キャプテン・アメリカ(クリス・エヴァンス)
© Walt Disney Studios Motion Pictures 写真:ゼータイメージ

Writer

稲垣 貴俊
稲垣 貴俊Takatoshi Inagaki

「わかりやすいことはそのまま、わかりづらいことはほんの少しだけわかりやすく」を信条に、主に海外映画・ドラマについて執筆しています。THE RIVERほかウェブ媒体、劇場用プログラム、雑誌などに寄稿。国内の舞台にも携わっています。お問い合わせは inagaki@riverch.jp まで。

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