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『ワイルド・スピード』時系列の入れ替えが起きた理由とは ─ 鍵はハンを求めるファンの声、『ワイスピ』運命変えた感動秘話

©Universal Pictures

『ワイルド・スピード』シリーズは、第3作『ワイルド・スピードX3 TOKYO DRIFT』(2006)にて転換点を迎え、物語がそれまでの舞台であったアメリカから東京に移った。その後『ワイスピ』では、第4作『ワイルド・スピード MAX』(2009)から第6作『ワイルド・スピード EURO MISSION』(2013)までが『TOKYO DRIFT』に繋がる前日譚として描かれるなど、少しばかり複雑な時系列の入れ替えが行われている。

この時系列の逆転が組み込まれた背景や理由には、疑問を抱いたことのある『ワイスピ』ファンも多いはず。時系列の入れ替えはストーリーに深みをもたらすなど、演出の側面から考えても大きな効果を持つが、『ワイスピ』でこれが用いられたのには、最新作『ワイルド・スピード/ジェットブレイク』に繋がることとなる確固たるきっかけと目的があった。

これを語るのは、第3作〜6作を手がけ、『ジェットブレイク』で復帰を果たすジャスティン・リン監督。元々、第3作限りで『ワイスピ』から離れようとしていたというリン監督は、米Entertainment Weeklyのインタビューにて、その決意を一変させた当時の出来事を振り返っている。結果的に、その出来事が時系列の入れ替えを実現させた発端にもなった。

「『TOKYO DRIFT』が終わった後、スタジオ側には“これで終わりです。インディ映画の世界に戻ることにします”と伝えました」。当時をこう振り返るリン監督は、「そのあとしばらく経って、サンフランシスコのパレードに参加したときのことです」と続け、ハン役のサン・カンとの会話を思い起こす。

「当時はまだ付き合っていた妻と、サンと一緒に車で向かっていた途中で、中央カリフォルニアの高速を降りたところにある小さな町のArby’s(レストラン)に立ち寄ったんです。そしたら突然、子どもたちがサンを見つけて、“ハンだ!”と言って、集まってきたんです。その時初めて、影響のようなものを感じました。

これは今でも覚えていますが、ランチを終えて高速を運転していた時、僕は“ハンが死んでしまって残念すぎるよ”と言いました。すると、サンも僕を見て、“彼は死んでいる必要はあるの?”って。それに対して僕は、“これがヴィン(・ディーゼル)に話していた繋がりというものなのか。独自のタイムライン(時系列)や神話を作れるんだ”と思ったんです。」

リン監督が言う“影響”とは、第3作でハンが殺されてしまったことを指す。つまり、第3作での不幸を知ってもなお、ハンは多くのファンによって求められていたということだ。ハンを巡る真相がその後のシリーズで明かされると、復活を求める声も次第に強くなり、ハッシュタグ「#JusticeForHan(ハンに正義を)」を合言葉に、ハンの復活を求める活動が巻き起こるほどに発展していった。

こうしたハンの影響を認識したリン監督は、すぐさま「ユニバーサル(・ピクチャーズ)に電話して、“参加します”と伝えた」という。「これが『ワイスピ4』(MAX)のきっかけです。普段はArby’sには食べにいかないんですけど、何かの理由があったんでしょうね。人生を変えてくれました」。

このような経緯を経て、第4〜6作で復活を遂げたハンは、第9作『ジェットブレイク』で再び姿を見せる。リン監督が語った出来事が無ければ、ハンの物語は第3作で幕を閉じていたかもしれないし、『ジェットブレイク』で実現するファミリーとの再会もなかっただろう。『ワイスピ』20年の歴史は奥が深い。

Source: Entertainment Weekly

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SawadyYOSHINORI SAWADA

THE RIVER編集部。宇宙、アウトドア、ダンスと多趣味ですが、一番はやはり映画。 "Old is New"という言葉の表すような新鮮且つ謙虚な姿勢を心構えに物書きをしています。 宜しくお願い致します。ご連絡はsawada@riverch.jpまで。

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