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『アイアンマン』監督ジョン・ファヴロー、巨匠たちのマーベル映画批判に反応 ─ コッポラ監督、『スパイダーマン:スパイダーバース』は高評価だった

ジョン・ファヴロー
Photo by Anna Hanks https://www.flickr.com/photos/annaustin/15199252120/ Remixed by THE RIVER

アイアンマン』(2008)『アイアンマン2』(2010)の監督を務め、その後もハッピー・ホーガン役やプロデューサーとしてマーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)に携わってきた映画監督・俳優のジョン・ファヴローが、マーティン・スコセッシやフランシス・フォード・コッポラなど巨匠監督によるマーベル映画へのコメントに反応した。

スコセッシがマーベル映画について「あれは映画じゃない」「最も近いのは、良くできたテーマパーク」「人間が他者の感情や心に訴えかけようとする映画ではありません」と英国メディアで述べたことを皮切りに、海外メディアでは、巨匠監督によるマーベル映画への辛辣なコメントが連日伝えられている。『ゴッドファーザー』3部作や『地獄の黙示録』(1979)などで知られるコッポラは、マーベル映画を「浅ましい」と言い、スコセッシのコメントを支持する姿勢を示した。

これらの発言については、すでに『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』シリーズのジェームズ・ガン監督、アイアンマン役のロバート・ダウニー・Jr.、ニック・フューリー役のサミュエル・L・ジャクソン、バッキー・バーンズ役のセバスチャン・スタン、ジェーン・フォスター役のナタリー・ポートマンらが相次いでコメントを発表。このたび、MCUの最重要人物のひとりであるファヴローが、米CNBCのインタビューで新たに反応した形だ。

彼ら2人(スコセッシ、コッポラ)は僕にとってのヒーローであり、彼らには自分の意見を語る権利があります。もしも彼らが道を開いてくれなければ、僕がこの仕事をすることはなかったでしょう。彼らはインスピレーションの源泉でもあります。僕も『スウィンガーズ』(1996、ファヴロー脚本・出演)まで遡れば、マーティンを参照しましたし、彼と一緒にお仕事をしたこともあります。僕からすれば、彼らは言いたい意見をなんでも言っていいんですよ。」

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マーベル映画の関係者側は、これまで巨匠たちへの敬意を払う姿勢を貫いており、ファヴロー監督のコメントもその例に漏れるものではない。それにしても、スコセッシの発言を皮切りに、マーベル映画への否定的な意見が次々に飛び出してきたことは、ともすればスコセッシ本人にとっても予想外だったのではないだろうか。スコセッシが、ヒーロー映画の台頭で劇場公開作品の多様性が失われている(と彼自身は理解している)ことに警鐘を鳴らした一方、その後の批判がスコセッシとは異なる論点で行われているところにも注意したい。

たとえばコッポラの場合、マーベル映画の作品性を批判することに主眼があり、新たにマーベル映画にコメントした『麦の穂をゆらす風』(2006)『わたしはダニエル、ブレイク』(2016)のケン・ローチ監督もまた別の基準で批判を展開しているのだ。英Sky Newsにて、ローチ監督はマーベル映画を「退屈」と言い、「ハンバーガーのようなもので、商品として作られています。コミュニケーションについて描いたり、イマジネーションを共有したりするものではない」「大企業に利益をもたらす商品であり、[中略]映画(cinema)という芸術には無関係」だと語っている。

ともあれ、事態をなおさらややこしくしているのは、もはやマーベル映画に批判的なコメントを繰り出している巨匠たちが、「マーベル映画」「ヒーロー映画」というジャンルを正確に把握していない可能性さえあることだ。『スパイダーマン:スパイダーバース』(2018)のピーター・ラムジー監督によると、コッポラ監督は『スパイダーバース』を鑑賞し、その出来栄えに賛辞を述べ、その発明やアニメーションを高く評価していたというのである。

スコセッシの発言以降、巨匠監督によるマーベル映画への批判が続いているが、こうした事態の背景には、彼らが実際にマーベル映画を個別に観ていないにもかかわらず、またジャンルを正確に把握していないにもかかわらず、こうした発言が繰り返されてしまうという状況があるように思われる。巨匠たちにマーベル映画へのコメントを求める現地メディアの思惑も、そこでは少なからぬ影響を与えていることだろう。

改めてスコセッシのコメントに立ち返ってみましょう

Sources: CNBC, Sky News, Variety, Peter Ramsey

Writer

稲垣 貴俊
稲垣 貴俊Takatoshi Inagaki

「わかりやすいことはそのまま、わかりづらいことはほんの少しだけわかりやすく」を信条に、主に海外映画・ドラマについて執筆しています。THE RIVERほかウェブ媒体、劇場用プログラム、雑誌などに寄稿。国内の舞台にも携わっています。お問い合わせは inagaki@riverch.jp まで。

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