【ネタバレ】「ファルコン&ウィンター・ソルジャー」最終話ラストの仕掛け、別案も検討されていた ─ バッキー・バーンズの現在地、脚本家が語る

この記事には、「ファルコン&ウィンター・ソルジャー」第6話『世界はひとつ、人はひとつ』のネタバレが含まれています。

バッキーはまだ「ウィンター・ソルジャー」なのか
「ファルコン&ウィンター・ソルジャー」は『アベンジャーズ/エンドゲーム』(2019)後の世界を舞台に、ファルコン/サム・ウィルソンとウィンター・ソルジャー/バッキー・バーンズの新たな冒険を描いた。一時はスティーブ・ロジャースから託された盾を引き受けられなかったサムだが、政府が隠していた黒人超人兵士の存在や、2代目キャプテン・アメリカに就任したジョン・ウォーカーの暴走、そして自らの能力と役目を前に、その意志を少しずつ変えていくことになる。
最終話『世界はひとつ、人はひとつ』で、サムはキャプテン・アメリカの盾を使い、ワカンダの技術で開発されたスーツをまとって、ついに公の場で「キャプテン・アメリカ」であることを宣言する。かくしてサムは、超人血清を打つことなく、キャプテン・アメリカの名を背負うことになったのだ。シリーズのタイトルは、最終話のラストにおいて「キャプテン・アメリカ&ウィンター・ソルジャー」に変更される。
しかし、バッキーはまだ“暗殺者”ウィンター・ソルジャーのままなのか。新しいタイトルカードを目にしたファンの間で、このような疑問が生まれていたのも事実だった。米The Hollywood Reporterにて、脚本家のマルコム・スペルマンはこの謎に応答。ワカンダで名付けられた新たな名称、ホワイトウルフの名を取って「キャプテン・アメリカ&ホワイトウルフ」とするアイデアがあったことを認めている。
「編集段階では(ホワイトウルフという)名前になっていたのを見ていて、すごく感動しました。“ウィンター・ソルジャー”のままになったのは、元のタイトルを残しておいたほうがいいとマーベル側が判断したためです。ですから、バッキーの今後やこれまでに関係があるものとは思いません。元のタイトルから離れすぎるとインパクトがなくなってしまう、と考えたのでしょう。[中略]『キャプテン・アメリカ&ホワイトウルフ』でもいいけれど、それでは変化が多すぎて、考えることも増えすぎてしまい、エモーショナルな締めくくりにならないかもしれません。」
スペルマンは「これは僕の推測です」「実際のところはわからない」として、変更の真意は認識していないと述べている。作品の最終編集権は、スペルマンでなくマーベル・スタジオ側にあったということだろう。この決定にスペルマンは驚いたというが、結果的には「僕も気に入っています」と話した。

バッキー・バーンズがヒーローになるとき
改めて、冒頭の疑問に戻ることにしよう。「バッキー・バーンズは今でもウィンター・ソルジャーなのか」という問いの答えは“ノー”である。スペルマンは、バッキーがウィンター・ソルジャーを克服したと考えたからこそ、「ファルコン&ホワイトウルフ」というタイトルを検討していたのだ。
シリーズを通して、バッキーは過去の克服に苦しんできた。ヒドラに洗脳されていたとはいえ、殺人と暴力の記憶は生々しく残っている。そこで彼はスティーブと同じノートを使い、セラピーを受けながら、過去の精算に取り組んできたのである。スペルマンは、第1話時点でのバッキーを「自分の考えがまったく揺らいでいない状態」と振り返る。そんなバッキーを、償いの道へと正しく進ませようと考えたというのだ。
「物語が始まった時点で、バッキーは“俺は殺した人間を全部覚えている。だからそれも自分なんだ、今でもウィンター・ソルジャーは存在する”という考えています。しかし、ウィンター・ソルジャーがわずかにでも残っているとしたら恐ろしいこと。それが彼のアイデンティティです。トラウマをたくさん抱え、どの時代においても自分を普通の人間だと思えていない。そこで、彼が汚名をすすぐまでの物語を用意しました。それは、たとえ正当な復讐でも罪滅ぼしにはならない、罪を償うことにはならないのだと学ぶことです。」

バッキーは第1話『新たなる世界秩序』で、親しい老人・ヨリの息子を自分が殺していたことを悟り、最終話ではその真実を打ち明ける。ただしスペルマンは、バッキーが自分の罪を告白したことよりも、彼がバンから人質を救い出し、そのうちの一人から感謝されたことのほうが大切だと述べた。
「あの時、バッキーは初めてヒーローになった。シリーズの最後に、彼はウィンター・ソルジャーを脱却して生まれ直しているんです。そして、新しい家族と出会った。それは思わぬことに、ルイジアナで暮らす黒人の一家です。彼は初めてヒーローであることを経験し、今では自由になりました。これからは素晴らしい存在になれると思います。」
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Sources: The Hollywood Reporter, ComicBook.com