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『ファンタスティック・ビーストと黒い魔法使いの誕生』原作者J・K・ローリング、ジェイコブの展開を全面変更していた

ファンタスティック・ビーストと黒い魔法使いの誕生
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「ハリー・ポッター」魔法ワールドの新シリーズ『ファンタスティック・ビースト』の主要キャラクター、ジェイコブ・コワルスキーは、主人公のニュートやティナ、クイニーとは異なり、魔法使いではない「ノー・マジ」の人物だ。実は、シリーズの脚本を執筆する『ハリー・ポッター』の原作者J・K・ローリングは、『ファンタスティック・ビーストと黒い魔法使いの誕生』にあたって、ジェイコブの物語を当初の構想から全面的に変更していたという。

Colliderのインタビューにて、ジェイコブ役のダン・フォグラーは、撮影現場でのローリングとのやり取りを明かしている。

「彼女はすごく脚本にこだわる人なので、みんなが脚本をもらうところから始まります。[中略]それから彼女と一緒に座って、話をするんですよ。前作の時には、(シリーズ全体の)ジェイコブの物語をほぼすべて教えてもらいました。でも今回の作品が始まる時に挨拶したら、“あっ、全部変えました”と言われて。ちょっと待ってくださいよ、と。今では、これからの展開をまったく知りたくないですね。サプライズじゃなきゃいけないんだと思ってて。次回作の内容は少しだけ、本当に知っておくべきことだけ知ってます。」

すなわち『ファンタスティック・ビーストと黒い魔法使いの誕生』で描かれたジェイコブのストーリーは、ローリングが前作『ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅』(2016)を執筆しているさなかに構想していたものとはまるで違うということである。ちなみにニュート役のエディ・レッドメインによれば、ローリングはそれぞれの出演者に対して、演じるキャラクターに関する情報の断片を少しずつ伝えているそうだ。

ファンタスティック・ビーストと黒い魔法使いの誕生 ファンナイト
©THE RIVER

一方でデヴィッド・イェーツ監督をはじめとした製作チームは、フォグラーいわく「不思議なことに、彼らは脚本に対してとってもルーズ」だという。『ハリー・ポッター』シリーズとは異なり、小説ではなくオリジナル脚本を映画化する『ファンタスティック・ビースト』シリーズは、それゆえ作品の展開が未知数であることが大きな特徴だ。さらに作り手たちは、俳優の自由な演技から作品の幅を広げようと試みているようである。

撮影現場では僕たちの演じたいように演じさせてくれて、即興演技もやらせてくれる。全編にわたって、たくさんの即興演技が取り入れられています。そんなふうに信頼してもらえるのは素晴らしいことですね。」

脚本に並々ならぬこだわりを持つローリングも、俳優の演技に刺激を受けて作品を変化させることがあるようだ。

「即興でもなんでも、誰かのやることを彼女は新たなキャラクターへ派生させることがあるんです。ちょっとした例ですが、前作で、ジェイコブがアパートに帰ってくるシーンを初めてリハーサルしている最中に、デヴィッドに“ジェイコブが奥に向かって『おばあちゃん、ごめん』って言ったら、そこにおばあちゃんの写真が置いてあるのはどうですか?面白くないですか?”と言ったんです。僕の頭の中には、おばあちゃんのカツラを被った僕のイメージがあったんですが、彼らはそうじゃなかった。二人のかわいらしい女性と僕の顔を組み合わせて、新しいキャラクターを作っちゃったんです。バカな思いつきの即興演技から仕事をしてくれたんですよね。」

全5部作となる予定の『ファンタスティック・ビースト』シリーズは、『魔法使いの旅』、そして『黒い魔法使いの誕生』を経て、もしかするとローリング自身も想像していない地点を目指して転がり続けているのかもしれない。ジェイコブをはじめ、登場人物たちの物語はこれからどこへ向かっていくのか…?

映画『ファンタスティック・ビーストと黒い魔法使いの誕生』は、2018年11月23日(金・祝)より公開中

『ファンタスティック・ビーストと黒い魔法使いの誕生』公式サイト:http://wwws.warnerbros.co.jp/fantasticbeasts/

Source: Collider(1, 2

Writer

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稲垣 貴俊Takatoshi Inagaki

「わかりやすいことはそのまま、わかりづらいことはほんの少しだけわかりやすく」を信条に、主に海外映画・ドラマについて執筆しています。THE RIVERほかウェブ媒体、劇場用プログラム、雑誌などに寄稿。国内の舞台にも携わっています。お問い合わせは inagaki@riverch.jp まで。