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【低評価アメコミ映画を再考②】脱力系?『フラッシュ・ゴードン』を再評価すべき4つの理由 ─ 現代アメコミ映画との比較の観点から

等身大のヒーロー像を描くのはサム・ライミ版スパイダーマン以降の流行りですが、等身大どころかほとんど一般人なのがフラッシュ・ゴードンの面白いところではないでしょうか。

② カッコよすぎるオープニング

これは観ていただければわかると思います。冒頭のミン皇帝による地球滅亡の悪巧みからのオープニングシークエンスはアメコミ映画史に残る素晴らしいものです。例のクイーンによる主題歌のイントロをバックにタイトルロゴがドーンと飛び出してきたかと思うと(ここは少しスター・ウォーズの影響を感じさせます)、スタッフクレジットの合間に実写とコミックのイメージが交互に挿入される一連の演出は大変カッコいい!なによりちゃんとコミック風になっているのが最高です。ぜひ、確認してみてください。

③ コミックのイメージを愚直に映像化

いまのアメコミ映画の主流は「コミックの現代風再解釈」でしょう。たとえばMCU作品ならキャプテン・アメリカを”戦争モノ”、マイティ・ソーを”神話モノ”として、原作のエッセンスはそのままに各ジャンルの映画の文法に則った現代風の再解釈をしているのが特徴になっています。DCEU作品はコミックを映画のスクリーン上で動かすことを念頭に置いているイメージで、プロデューサーのザック・スナイダーの洗練された映像センスをここに混ぜ込むことで新しいコミック解釈を提示しています。

一方の『フラッシュ・ゴードン』はアメリカンコミックのイメージを愚直なまでにそのまま映像化しています。あえて映画的な解釈を入れることを回避しているようにすら見えます。結果、赤と金と銀で構成された大変悪趣味な世界観が完成してしまいましたが、ある意味いちど目にしたら忘れられない強烈な個性を放っています。しかも製作費は当時としても大規模なものとなっており、とてもセットとは思えない広大な空間がスクリーン中に広がります。ミン皇帝が登場する広場や、ゴードンが囚われる森のセットはどこまでも奥まで広がっていて、実物にしか出せない迫力を生み出しているのです。特に長回しでカメラが横移動するとその広さがわかります。まるで屋外で撮っているかのような、アナログならではの質量をずっしり感じます。

衣装もなかなか不思議です。主人公はゲイ風のぴったりしたTシャツを着ているし、悪役はつり目でハゲのコスプレをしたおじさんです。学芸会にしか見えませんが、この妙なチープさがコミックの雰囲気をそのまま伝えているように感じませんか?いまこのデザインで映画を作ったら確実に顰蹙を買いますが、1980年という時代だからこそ許容された大ざっぱさが『フラッシュ・ゴードン』を特別な(そしてちょっぴりノスタルジックな)作品にしているのだと思います。

④ ポップミュージック×アメコミ

最近のアメコミ(というよりは大作系のSF/アクション)映画の流行りの一つに「懐メロ」の使用があります。言うまでもなく『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』(2014)がこのブームの火付け役ですが、これに続けと言わんばかりに『スーサイド・スクワッド』(2016)ではクイーンのボヘミアン・ラプソディーが大々的に使用されました。『スター・トレック BEYOND』(2016)や『キングコング:髑髏島の巨神』(2017)でも「懐メロ」が作品の世界観を構築する上で重要な役割を果たしていました。

私はこうしたジャンルの映画におけるポップミュージックの使用(正確にいうと「懐メロ」ではありませんが)の原点を『フラッシュ・ゴードン』に見出したら面白いんじゃないかと考えています。『フラッシュ・ゴードン』では劇中の楽曲を人気ロックバンドのクイーンが担当しています。特に主題歌の「フラッシュのテーマ」は映画そのものより知名度があり、たびたびCM等でも使用されています。最初から作品と音楽がしっかり結び付けられているのです。映画の評価自体、楽曲の完成度の高さによってかなり引き上げられていると言えます。もともとアメコミとポップミュージックの相性はかなり良いとは思うのですが、その実力をはっきり示したのが『フラッシュ・ゴードン』なのではないでしょうか。

以上、『フラッシュ・ゴードン』を

  1. 最初から最後まで”凡人”のフラッシュ
  2. カッコよすぎるオープニング
  3. コミックのイメージを愚直に映像化
  4. ポップミュージック×アメコミ

の4点から再評価してみました。この映画は他にもたくさん見どころがあります。ハイセンスなザーコフ博士の洗脳シーンや、マックス・フォン・シドーやティモシー・ダルトンなどヨーロッパの豪華俳優陣たちの演技(無駄遣い)、それから子どもの視点を無視して好き勝手やってるお色気シーンの数々など、面白いポイントを挙げたらキリがないんじゃないかと思います。

Writer

トガワ イッペー
トガワ イッペー

和洋様々なジャンルの映画を鑑賞しています。とくにMCUやDCEUなどアメコミ映画が大好き。ライター名は「ウルトラQ」のキャラクターからとりました。「ウルトラQ」は万城目君だけじゃないんです。

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