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ハリソン・フォードが『ブレードランナー』振り返る ─ 「雨の中、50夜にわたって撮影」「ナレーションは無い方が没頭できる」

ブレードランナー ファイナル・カット
Blade Runner: The Final Cut © 2007 Warner Bros. Entertainment Inc. All rights reserved.

『ブレードランナー』。SF映画の金字塔として、特別な響きを持つ映画だ。リドリー・スコット監督による1982年の傑作映画で、後進に計り知れない影響を与えた。

「あれは特別な経験でした。雨の中、50夜にわたって撮影をした。ほとんどは屋外撮影だった。撮影では少し惨めだったが、なんとか頑張った」と、主人公リック・デッカードを演じたハリソン・フォードは、米Varietyによるロングインタビューにてこの作品を述懐した。初期の劇場公開版ではハリソン・フォードによるナレーションが挿入されていたが、1992年のディレクターズ・カットではこれらが削除された。

「ボイスオーバーがないカットはどれも好きです。脚本段階で見た最初の映画にはナレーションがついていた」と述べるフォードは、「この映画にナレーションは合わないと強く感じた」と反対派。劇場版の頃、ナレーションを追加した背景を次のように語っている。

「私が演じたのは捜査官で、捜査官についての仕事についてをあれこれ話していたのだが、実際にやっているように見えなかった。そこでリドリーと脚本家、プロデューサーと私とで、うちのダイニングテーブルで3週間かけてボイスオーバーにあった情報を取り出し、シーンに落とし込んだんです。

すると映画の最後になって、ワーナー・ブラザースが“これはどういう状況なんだ?さっぱりわからん。説明してくれ”と言い出した。それでボイスオーバーを復活させた。私は6回くらいボイスオーバーをやった。」

スタジオの意向に従ってナレーションを挿入したのだが、製作側は「誰も納得していなかった」とフォードは明かしている。「だから、ようやくボイスオーバーなしの映画がリリースされて良かったと思っている。そっちの方が、観客も物語に没頭できると思いますよ」。

2017年には、続編『ブレードランナー 2049』が登場。オリジナル版があまりにも偉大すぎるが故に賛否が分かれたが、フォードは「2作目の『ブレードランナー』は楽しめた。正直いえば、1作目よりずっと楽しかった」と満足げだ。「雨も降っていなかったし、ずっと夜ということもなかったから」。

撮影時には、共演のライアン・ゴズリングの顔面を誤ってパンチしてしまうというアクシデントも。フォードが距離を見誤ってしまったのだ。「すぐに謝りました。殴ってしまったのは、もうどうしようもなかった。彼は本当にハンサムだった。殴られたのにハンサムだった」。

『ブレードランナー』は今なお振り返って語る価値のある映画だ。以前にもフォードは、劇中のデッカードがレプリカントだったのか、それとも人間だったのかという永遠の議題について、「私はずっと彼がレプリカントだと知っていました。ただ、それに抗いたい思いもあった。レプリカントは自分自身を人間だと信じたいもの。少なくとも、彼はそうでした」と見解を加えている。一方、『ブレードランナー 2049』で脚本を務めたハンプトン・ファンチャーは「彼はレプリカントではない」としつつ「どっちなのかを私たちは知るべきではない」と、その曖昧さを尊重している

Source:Variety

Writer

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中谷 直登Naoto Nakatani

THE RIVER創設者。代表。運営から企画制作・執筆・取材まで。数多くのハリウッドスターにインタビューを行なっています。お問い合わせは nakatani@riverch.jp まで。

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