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『イコライザー』アントワーン・フークア監督、傑作戯曲『熱いトタン屋根の猫』を映画化 ─ 新境地開拓なるか、歴史的上演の再現に挑む

アントワーン・フークア
Photo by Nicogenin https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Antoine_Fuqua.jpg Remixed by THE RIVER

『イコライザー』シリーズや『トレーニング デイ』(2001)などで知られる映画監督アントワーン・フークアが、劇作家テネシー・ウィリアムズの傑作戯曲『熱いトタン屋根の猫』の映画化作品で監督・製作を務めることがわかった。米Varietyが報じている。

『熱いトタン屋根の猫』は、『欲望という名の電車』『ガラスの動物園』などで知られるテネシー・ウィリアムズが1955年に発表し、ピュリッツァー賞に輝いた代表作のひとつ。1958年にはエリザベス・テイラー&ポール・ニューマン出演で映画化されており、今回は2度目の映画化となる。

舞台はアメリカ南部の農園。大富豪の当主ビッグ・ダディは癌と診断され余命わずか、しかし本人は自分の病状を知らない。元フットボール選手の次男・ブリックは同性愛者で、恋人のスキッパーが命を絶った悲しみから酒に溺れている。ブリックと妻・マギーの夫婦関係は破綻していたが、マギーは愛情を取り戻そうとしていた。そんな中、長男のグーパーと妻のメイが実家に戻ってきた。二人はビッグ・ダディの遺産を狙っていたのである。物語の主役となるのはブリックで、自分の過去や性的指向からくる抑圧、妻や父親との関係性に葛藤していく。

今回の映画版は、初めて黒人キャストのみで上演された2008年のブロードウェイ版に基づくもの。当時の上演はデビー・アレンによる新演出のもと、テレンス・ハワード、ジェームズ・アール・ジョーンズ、アニカ・ノニ・ローズ、フィリシア・ラシャドらが出演、19週間の公演が完売する大ヒットとなった。のちにロンドンのウエストエンドでも上演され、ローレンス・オリヴィエ賞の最優秀リバイバル賞を獲得している。

映画化にあたっては、2008年版のプロデューサーであるステファン・C・バード&アリア・ジョーンズ=ハーヴェイがフークアとともに製作を担当。「舞台版の要素に新たなストーリーラインを融合させる」と発表されている。これまでアクション映画の印象が強いフークア監督だけに、本作は新境地の開拓となることだろう。

発表にあたり、フークアは「歴史的上演を映画化できることを光栄に思い、また楽しみにしています」とコメント。ステファン&アリアは「傑作戯曲の画期的かつ鮮やかな上演を映画という形で再現したい。テネシー・ウィリアムズの古典的名作を、新たな形で蘇らせられることに興奮しています」との声明を発表した。

Source: Variety

Writer

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稲垣 貴俊Takatoshi Inagaki

「わかりやすいことはそのまま、わかりづらいことはほんの少しだけわかりやすく」を信条に、主に海外映画・ドラマについて執筆しています。THE RIVERほかウェブ媒体、劇場用プログラム、雑誌などに寄稿。国内の舞台にも携わっています。お問い合わせは inagaki@riverch.jp まで。

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