ジェラルド・バトラー「映画館のありがたさ、無くなってみて気づく」 ─ 『グリーンランド』とコロナ禍

無数の隕石によって地球が崩壊の危機に陥るディザスターアクション大作『グリーンランド─地球最後の2日間─』が日本公開となった。
突如現れた彗星の破片が隕石となり地球に衝突。各国の大都市が破壊され、更なる巨大隕石による世界崩壊まで残り48時間。刻一刻とタイムリミットが迫る中、政府に選ばれた人々の避難が始まる。しかし、人々はパニックに陥り、やがて世界は無法地帯と化していく……。
主人公を演じるのは、これまで『ジオストーム』(2017)でも地球崩壊の危機で戦ったジェラルド・バトラー。『エンド・オブ』シリーズでは最強シークレットサービス、大統領絶対守るマンことマイク・バニングとしてたくましいアクションを見せたが、本作で演じるのは、パニックに翻弄される「普通の父親」だ。
そんなジェラルド・バトラーのオフィシャル・インタビューがTHE RIVERに到着している。
『グリーンランド』ジェラルド・バトラー オフィシャルインタビュー
── 映画『グリーンランド─地球最後の2日間─』のような災害が起こった時にどんな状況になるか、リサーチはしましたか?
もちろん。リック(ローマン・ウォー監督)ほどではないですが。僕らはたっぷりと話し合いをし、その中では、実際に起きたらどうなるかについて、意見が分かれることもありました。
最初の案では、彗星はひとつでした。でも、いくつかあったほうがアクションも増えるから、そうしたのです。そうすることで、大きなひとつの出来事をひたすら待つという映画にならなくてすみました。次々に何かが起こり、そこでドラマが出てきて、災害の影響を描くことができます。その時社会がどうなるのかも。
この映画で見ることの多くがパンデミックで実際に起こったのは奇妙ですよね。こういう状況は、人の悪いところと良いところを露呈するものですね。

── 今作も含め、あなたは映画の中で大変な状況を何度も乗り越えてきていますが、それは今年、実際に起きた出来事に対処する上で役に立ちましたか?
撮影現場で、「これが実際に起こったらどうだろう?」というのは、もちろんよく考えることでした。でも、今年は本当にそれが起こってしまいました。そして「自分は映画で自分が演じたキャラクターのようにふるまえるのか?」と考えることになりましたね(笑)。
映画でヒーローを演じる時、観客がそこからインスピレーションを得て、彼らの人生でそれを使うことを願います。自分自身を向上するなり、正しいことをやるなり。今回は自分がそうする立場になったわけです。それでも、自分は精神的にも感情的にも、今の事態に対応する準備が結構できていたと思います。
この状況は辛かったけれども、メディアに踊らされて深刻な恐怖に陥るというようなことはありませんでした。世間が煽る恐怖は、ウィルスそのものよりも怖かったりしますよね。
── コロナの恐怖がまだある中、人はこの映画を見たいと感じると思いますか?
人はそう感じてくれると、僕はすでに知っています。僕はコロナ前にこの映画を観客と一緒に見て、その時も観客はすごく気に入ってくれました。そして最近もまた観客と一緒に見たら、パンデミックを経験したからか、人はもっと共感してくれて、映画の中で起こっていることをもっと理解してくれたようでした。パンデミック前には架空の話だったことが、今では実際に起こったことに似ていると感じるんですよ。
だけど、これがエスケープ映画であることに変わりはありません。彗星が地球にぶつかる話で、それは本当には起こらないのです。だから見終わって、「今の世の中も大変だけど、この映画で起こったことよりはマシだ」と思うんです。少なくとも今の世の中は人口の9割が死ぬという状況ではないですからね。

── 俳優という職業では、きっと、グリーンランドに行かせてもらえる人のリストには入りませんよね?そこに入れてもらえるためのスキルを、あなたは何か持っていますか?
ちょうどこのテーマで映画を作ろうと思っていたんです、というのはダメですかね?だから自分はここに入るべきなんです、と。それでダメと言われたら、もうほかの手はないですね(笑)。
- <
- 1
- 2