『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』ゴジラ・モスラ・ラドン・キングギドラ、造形秘話特集 ─ 良いデザインは「シルエットが基本」

ハリウッド版『ゴジラ』シリーズの第2作、映画『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』は、早くも“本物の怪獣映画ファン”として大きな信頼が寄せられているマイケル・ドハティ監督による渾身の一作だ。その撮影現場ではマイケル監督が、本作に登場するゴジラ・モスラ・ラドン・キングギドラという4体の造形について熱く語っていたという。
本記事では、マイケル監督が2018年12月に来日した際に語っていた“造形へのこだわり”とあわせて、『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』における怪獣造形のポイントを徹底的に押さえていきたい。

優れた造形の基本は「シルエット」
『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』を手がけるにあたって、マイケル監督は東宝製作の怪獣映画に大きな敬意を払っている。鳴き声については「声を聴いただけで、どの怪獣なのかが分かるようにすべき」との思いから、東宝版を大切にしたアップデートを心がけたというのだ。もちろん見た目についても、オリジナル版の造形に敬意を払ったデザインを目指したようである。
「鳴き声と同じで、オリジナル版の怪獣のシルエットがとても重要でした。いかなる場合も、怪獣の優れたデザインの基本はシルエットです。鳴き声だけで怪獣の区別がつくのと同じように、シルエットだけで区別がつかなくてはいけません。とにかく怪獣のそれぞれに固有の形を用意するため、シルエットから作業を始めました。」
ゴジラ
この“シルエット主義”が顕著に表れているのが、我らが怪獣王ゴジラの造形であろう。前作『GODZILLA ゴジラ』(2014)でギャレス・エドワーズ監督が生んだ造形を踏襲しつつ、本作では初代『ゴジラ』(1954)の背びれを採用。マイケル監督「ゴジラの背びれは王冠のようなものなので、大きく、美しい方がいいと思った」と語っている。ちなみに前作と比較すると、足も少しだけ大きくなっているのだそうだ。

キングギドラ
マイケル監督はキングギドラをデザインするため、過去にキングギドラが登場する作品の映像をすべて研究し、デザインの共通要素を見出していったという。「2本の尻尾と3つの頭がないキングギドラなんてありえません。適切なサイズのツノと、とても特別な形状をした翼もなくてはいけません」。
「(キングギドラは)いわゆる西洋のドラゴンとは違います。そこで最初の段階から、西洋のドラゴンよりも東洋の龍に近づけるよう指示を出しました。『ゲーム・オブ・スローンズ』(2011-)のドラゴンみたいにはしたくなかったんです。」
ちなみに『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』のキングギドラは、3つの頭部がそれぞれ異なる個性をもっているのが特徴。監督いわく、中央の頭が一番賢く、左右の頭は弟分のような存在でそれほど賢くはないとか。撮影現場では、3つの頭部をそれぞれ3人の俳優がモーションキャプチャーで演じていたという。
ラドン
『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』に登場する4体の怪獣のうち、マイケル監督が一番好きなのはラドンなのだそう。本作のラドンは火山で冬眠しているところを発見されるという設定だ。ラドンは火山の中で進化を遂げてきた設定のため、皮膚は炎に強く、色も赤みを帯びている。
「ラドンには2本のツノに独特の形状の翼、それから鎧のような胸板が必要ですよね。東宝から(造形について)非常に具体的な要求があったのも良かったです。そのすべてに心から同意できましたから。」

モスラ
マイケル監督が「一番大きな挑戦だった」と語るのがモスラの造形だ。キングギドラと同じく過去の作品をすべて確認したほか、監督は蛾の研究にも取り組んだという。
- <
- 1
- 2