【考察】続編のまえに『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』をきちんと復習!キーワードは“家族愛”

ついに2017年5月12日に『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス』の公開が控えています。
洒脱なSF世界観、要所要所に折り込まれた懐かしの音楽たち。マーベル・シネマティック・ユニバースでも特に評判の高かった作品の続編ということでかなり注目が高まっているはず。まずは予告をご覧ください。
[youtube https://www.youtube.com/watch?v=duGqrYw4usE]
すっかり可愛くなったグルートもといベイビー・グルート。そしてあのヨンドゥがメンバーたちと肩を並べている? そしてシークバーが右端に到達するギリギリのところで
「テメエ誰なんだよ」
「お前の父さんだよ、ピーター」
というやり取りが交わされこのトレイラーは終わります。おお、なんかスター・ウォーズっぽい……! トレイラーの最後ということもあり、やはりこの部分が一番気になりますね。
それぞれのキャラクターの団結力を目の当たりにするだけで何となく楽しい、テンションの上がる『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』。続編ということもありそれぞれの関係性もさらに発展して、より強い結束力と胸の躍るようなチームプレイを見せてくれることでしょう。その一方で、このシリーズは“家族”というテーマを丁寧に描いているエンターテイメントなのかもしれません。
この記事では前作において家族愛が描かれているポイント、それに関連して続編への伏線らしき言動をご紹介していきたいと思います。
【注意】
この記事には、映画『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』のネタバレが含まれています。
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母親の不在
『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』は銀河の平和の危機を救うという大きな課題を抱える映画ですが、最初のシークエンスもまた非常に重要なのではないでしょうか。病床に伏せる母と幼いピーター少年。「私が死んだら開けて」という子どもにはあまりに残酷な言葉と共に贈られる小さな包み。その刹那病状が悪化する母親は「手を握って欲しい」と懇願するのですがピーター少年はそれを頑なに拒み、そのまま彼女は息を引き取ってしまいます。
このような幼少期の母親の喪失が丁寧に提示されてからようやく宇宙空間を飛び回るスター・ロード(ピーター)が映し出されます。ピーターの大前提として「母親が不在であること」という事実があることが分かります。
不在を否定し続けるピーター
しかし彼は母を失った事実を意識的にあるいは無意識的に受け入れようとしていません。
まず注目したいのは脱獄のシーン。収監された時からSONYのウォークマンを没収されていることに強い憤りをあらわにしていたピーターですが彼は間際の間際になって脱獄失敗のリスクを冒してまでウォークマンを取り返そうとします。母から譲り受けたであろう(曲のラインナップからもほぼ間違いないでしょう)テープ「最強ミックス(Awesome MIX) vol.1 」への強い執着がうかがえます。
ここまでは正直、亡き母の形見でもあるわけですから当然かもしれません。しかし、その次のシークエンスで“母の死の否定”が決定的になります。ミラノ号でロケットが小さなプレゼント包みを発見したとき、虫の居所が悪かったピーターは「触るな」と激高します。そうです、死に際に貰ったあのプレゼントです。
ピーターはずっと大事にこれを保管していたわけです。つまり彼は「包みを開けなければ母は死んだことにはならない」という対偶の解釈をとるわけです。
混じり合う愛の対象
クライマックスではインフィニティ・ストーンを素手で握ってめちゃめちゃ危険な状態に陥るピーターにガモーラが手を差し出します。この彼女の姿と脳裏に焼き付いた死に際の母親の姿がピーターには重なって見えます。身体に大きな負担をかけ、意識朦朧とした状態で見えるこの幻視は無意識の領域に眠っていた母性への欲求のあらわれではないでしょうか。
ピーターはしっかりと彼女の手を握り、チーム全員でインフィニティ・ストーンの並々ならぬ高エネルギーに耐えることに成功します。そして開けられなかった包みを開封し、「最強ミックス vol.2 」を手にします。
一見するとピーターは母の不在、喪失を乗り越え成長したかのようでもあります。しかし、母への愛情とガモーラへの異性愛が混ざり合い、グラデーションになっているとは考えられないでしょうか。
「最強ミックス vol.2 」の1曲目である“Ain’t No High Mountain Enough”が流れはじめた直後にヒロインであるガモーラがフレームの中に現れます。彼女は恋の歌を聴いて微笑み、次第にその笑みは満面に広まり、恥ずかしそうに身体を揺らします。ピーターもさりげなく微笑みます(クリス・プラット、大味のギャグだけじゃなくてこんな綿毛みたいに繊細な演技も出来るんですね。恐れ入りました)。
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