『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス』ジェームズ・ガン監督、『デッドプール』とのリンクを企んでいた!スタン・リー出演シーン秘話
マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)作品、いやマーベル・コミック原作の映画をよく観ている者にとって、伝説のコミック原作者&編集者であるスタン・リーのカメオ出演は“お楽しみ”のひとつだろう。いつも突然登場しては、わずかな出番でおいしい所を持っていくため、「今回はどうやって出るのかな?」「え、出てないの?」など、ファンの間では観賞前後に必ず話題に上がるポイントである。
もちろんMCU最新作『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス』にもスタン・リーの登場シーンは含まれている。しかし今回ばかりは、これまでのカメオ出演シーンとはワケが違った。マーベル映画を追いかけてきた者ほど、コミックを読んだ者ほど驚愕する事実が明かされたのである。今回はそのスタン・リー出演シーンに隠された秘話をご紹介しよう。
【注意】
この記事には、映画『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス』のネタバレが含まれています。
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ファンの“仮説”が真実になるとき
これまでマーベル映画を追いかけてきたファンにとって、『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス』最大のサプライズは、映画の中盤で明らかになる“スタン・リーがウォッチャーだった”という真実だろう。もっとも、これは一部のファンの間で「もしかして」と語られていたことでもあった。いわば『リミックス』で、ファンの仮説は真実になってしまったのである。
もちろんジェームズ・ガン監督は、ファンが“スタン・リー=ウォッチャー説”を唱えていることを知っていた。
「とても愉快で興味深かったのは、ファンのみんながスタン・リーはウォッチャーだと考えていたことだよ。すべてのカメオ出演シーンに、彼はウォッチャー役で出てるんだって言うのさ。だからMCUとしても、スタン・リーはウォッチャーか、ウォッチャーのために働いてるヤツだってことにすれば面白いと思ったんだ」
またマーベル・スタジオのケヴィン・ファイギ社長も、このアイデアを面白がったようだ。
「(スタン・リーがウォッチャーだというのは)面白いと思ってたよ。明らかに、スタンはすべての映画のリアリティからかけ離れているからね。[中略]製作の終わり頃に、彼が“あの時はFedExの配達員だった”って言うシーンを入れたんだ。みんな“待ってくれよ、映画に出てくる彼はみんな同一人物だったのか?”って本気で思うだろ。それは愉快だなと思ってね」
ところが“あの時はFedExの配達員だった”というセリフは、ファンの間で思わぬ議論を呼ぶことになった。なぜなら『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス』は2014年の物語だが、スタンが配達員をしていた『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』は2016年の作品だからである。これについて、ガン監督は素直に自身の間違いを認めている。
「わかってる、間違えちゃったんだよ。[中略]やらかしたのさ、考えてなかったんだ。でも、きっとスタンは何回もFedExの配達員になっていたんだと思うね」
とはいえ『シビル・ウォー』では、劇中の出来事が2016年に起きたものだとは明言されていない。MCU作品は公開年と作品の時系列がほぼ一致しているというのが定説だが、果たしてこれは“ミス”と呼べるものだろうか……?
ジェームズ・ガン監督、『デッドプール』とのリンクを企んでいた
また『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス』では、スタン・リーの出演シーンは複数のパターンが撮影されていたようだ。ファイギ社長によると、ポストクレジット・シーンの最後に登場する場面もそのうちのひとつだという。
「いつもジェームズはスタンにあれこれ言いつけて、いろいろ試してもらうんだ。あるとき彼が、ウォッチャーたちには立ち去らないように伝えたんだ。そしたら彼らが去っていっちゃってね、スタンが後ろから呼んだんだよ。それがとっても愉快で、映画の一番最後に使ったんだ」
ちなみに撮影の途中、ガン監督はある無謀なセリフをスタンに頼んでいたという。
「スタンとの撮影日は、いろんなカメオをいろんな方法でやってもらったんだ。中には“あの時はストリップのDJをしてた”ってセリフもあったよ。彼が『デッドプール』でやってたことさ。MCUと(20世紀)フォックスがちょっとだけリンクして、面白いだろうなって思ったんだよ」
もちろん(大人の事情もあったのかもしれない)、このセリフが『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス』に使われることはなかった。確かにこのセリフがOKになると、事実上マーベル・シネマティック・ユニバースとそれ以外の区別はなくなってしまう……。『X-MEN』『ファンタスティック・フォー』の映画化権が20世紀フォックス社にある以上、これは“許されないお遊び”だったということかもしれない。
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