映画『グランツーリスモ』がついに公開を迎えた。ゲームプレイヤーが本物のプロレーサーになるまでの前代未聞の実話を描いた1作だ。

日本発のドライビングシュミレーションゲーム「グランツーリスモ」が物語の根幹にある本作の主演には、『ミッドサマー』（2019）の若手俳優アーチー・マデクウィが抜擢。共演には、デヴィッド・ハーバーやオーランド・ブルーム、ジャイモン・フンスーといった豪華俳優陣が集結した。監督は独創的なディストピアSF作品の数々で知られるニール・ブロムカンプだ。

本記事では、あらすじと共にメインキャスト＆監督のプロフィールをまとめた。作品をより楽しむためのガイドとしてご活用いただきたい。

『グランツーリスモ』あらすじ

ティーンエイジャーのヤンは、世界的大ヒットのドライビングシュミレーションゲーム「グランツーリスモ」の大ファン。幼い頃から車が大好きで、いつかドライバーになることを夢見てきた。今はその願いが叶う見込みもなく、ゲームに明け暮れる日々を送っていた。

父親からも呆れられるばかりのヤンだったが、一生に一度のチャンスが訪れる。世界中から「グランツーリスモ」のトッププレイヤーを選抜し、本物のプロレーサーとして育成するプログラム「GT アカデミー」からの招待が届いたのだ。地区予選大会をヤンは見事第1位で通過。めでたくGTアカデミーへの参加を許される。

そこで出会ったのは、プレイヤーに秘められた無限の才能と可能性を信じる発起人である日産のマーケティング担当ダニーと、かたや「レースはゲームとは違う」と言い放つ、かつては伝説的レーサーだったエンジニアのジャック。ヤンたちトッププレイヤー10人は、ジャックの厳しい指導のもと、運転技術と体力・精神力を試される過酷なトレーニングに身を投じる。しかし、 ゲームの世界では百戦錬磨の彼らも、想像以上の難関や予期せぬ事態を前に、一人ずつGTアカデミーを去っていくのだった。

厳しい特訓の末、ヤンは最終選考のレースを僅差で優勝。ついにプロレーサーへの切符を手に入れる。しかし、記念すべきデビュー戦で、ヤンは観客をも巻き込む大事故を起こしてしまう。ショックで走る気力を失ったヤンだが、励ましを受けながら、もう一度走る決意を固める。復帰の舞台はル・マン24時間レース。今、運命の一戦が幕を開ける。

『グランツーリスモ』出演者

アーチー・マデクウィ／ヤン・マーデンボロー役

1995年、英ロンドン出身。2014年、イギリスの医療ドラマシリーズ「Casualty」へのゲスト出演で俳優デビュー。「フレッシュ・ミート」などドラマへの出演を重ねた後、2019年にはアリ・アスター監督『ミッドサマー』で婚約者とスウェーデンの白夜の村を訪れる青年サイモン役を演じた。ほか、「レ・ミゼラブル」（2018-2019）「See 〜暗闇の世界〜」（2019~）といったドラマや、アリ・アスター監督との再タッグ作『Beau Is Afraid（原題）』（2023）、ガル・ガドット主演『ハート・オブ・ストーン』（2023）に出演した。次回作は、エメラルド・フェネル監督作『Saltburn（原題）』。

デヴィッド・ハーバー／ジャック役

1974年、米ニューヨーク州出身。 1990年代後半から2000年代初頭にかけて、「アズ・ザ・ワールド・ターンズ」や「LAW & ORDER ロー&オーダー」といったドラマ作品にゲスト出演。2005年に舞台 「ヴァージニア・ウルフなんかこわくない」でトニー賞にノミネートされる。

映画では『レボリューショナリー・ロード／燃え尽きるまで』（2008） 『007／慰めの報酬』（2008）『イコライザー』（2014）などに出演。その後、「ストレンジャー・シングス 未知の世界」（2016-）の警察署長ジム・ホッパー役で注目を浴びる。以降も、『スーサイド・スクワッド』（2016）や『ヘルボーイ』（2019）『ブラック・ウィドウ』（2020）など、ハリウッド大作への出演が続いている。

次回作として、「ストレンジャー・シングス」最終シーズンやマーベル映画『サンダーボルツ』などが待機中。

オーランド・ブルーム／ダニー役

1977年、英カンタベリー出身。1997 年、演劇学校在学中に『オスカー・ワイルド』で映画デビュー。学校を卒業してすぐ、ピーター・ジャクソン監督の『ロード・ オブ・ザ・リング』（2001）でエルフのレゴラス役に大抜擢される。続く『ロー ド・オブ・ザ・リング／二つの塔』（2002）『ロード・オブ・ザ・リング／王の帰還』（2003）にも出演し、人気を不動のものにする。

同じ時期、『パイレーツ・オブ・カリビアン／呪われた海賊たち』（2003）のウィル・ターナー役でジョニー・デップやキーラ・ナイトレイと共演。以降、続編シリーズ3作に出演した。2013年と2014年には『ホビット 竜に奪われた王国』と 『ホビット 決戦のゆくえ』 （2014）でレゴラス役を再演した。

ほかの出演作には、『ブラックホーク・ダウン』（2001）『トロイ』（2004）『三銃士／王妃の首飾りとダ・ヴィ ンチの飛行船』（2011） 『アウトポスト』（2020）など。 次回作は、『キング』（2019）デビッド・ミショッド監督のA24映画『Wizards!（原題）』。

ジェリ・ハリウェル・ホーマー／ヤンの母・レスリー役

1972年、英ワトフォード出身。イギリスのポップ・カルチャーを象徴するアイドルグループ、スパイス・ガールズのオリジナル・メンバー“ジンジャー・スパイス”として知られている。2009年の脱退後はソロで活動する。

アイドルデビューから間もなくして俳優業もスタートさせる。これまでにドラマ「セックス・アンド・ザ・シティ」（2003）や『Fat Slags（原題）』（2004）『アドレナリン：ハイ・ボルテージ』（2009）などに出演。『グランツーリスモ』で久々の映画出演を飾る。

児童文学作家としての顔も持ち、2008年の『Ugenia Lavender』シリーズでベストセラー作家の仲間入りを果たす。 ほか代表作には子供向けシリーズ『ロージー・フロスト』があり、2023 年秋に新作が出版される予定。ちなみに夫は、元レーサーのクリスチャン・ホーナー。

ジャイモン フンスー／ヤンの父・スティーブ役

1964年、ベナン生まれ。西洋の教育を受けるため13歳でパリに移住。キャリア初期はモデルやダンサーで生計を立てる。1997年のスティーブン・スピルバーグ監督作『アミスタッド』（1997）で、自由を取り戻すために蜂起するアフリカ人を演じてブレイク。『イン・アメリカ／三つの小さな願いごと』（2002）と『ブラッド・ダイヤ モンド』（2006）でアカデミー賞助演男優賞にノミネートされる。

近年の出演作は、『キャプテン・マーベル』（2019）『シャザム! 』 （2019）、『チャーリーズ・エンジェル』（2019）『クワイエット・プレイス 破られた沈黙』（2020）や『キングスマン：ファースト・エージェント』（2020）『シャザム!~神々の怒り~』（2023）など。 今後は、リドリー・スコット監督作『グラディエーター2（仮題）』やザック・スナイダー監督作『レベル・ムーン（原題）』など、大作を控える。

ニール・ブロムガンプ監督

1979年、南アフリカ・ヨハネスブルグ出身。18歳でカナダに移住し、映画・テレビ業界で視覚効果アーティストとしてキャリアをスタート。21歳の時にTVシリーズ「ダークエンジェル」（2000）でリードアニメーターとしてエミー賞の視覚効果賞にノミネートされた。その後はミュージックビデオの監督を始め、コマーシャルの世界へと入る。CGと実写映像を巧みに融合させ、感動やユーモア、エモーションを注ぎ込むユニークな才能を持った監督としてたちまち注目を集めた。

2009年、『ロード・オブ・ザ・リング』シリーズのピーター・ジャクソンに見出され、彼のプロデュース作『第9地区』（2009）で長編映画デビューを果たす。世界興収は2億ドルを超え、作品賞と脚本賞を含めたアカデミー賞4部門にノミネートされるなど、世界中で高い評価を得た。続く2作目『エリジウム』（2013）も大ヒット作となる。以降、『チャッピー』（2015）『デモニック』（2021） などを手がけた。

映画『グランツーリスモ』は公開中。