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ソー役クリス・ヘムズワース、巨匠監督のマーベル批判に「彼らにも成功しなかった映画はある」「観客たちはみんな間違っていたのか?」

クリス・ヘムズワース「東京コミコン2019」2日目オープニングステージ
©THE RIVER

「マーベル作品は映画(cinema)じゃない。最も近いのは、良くできたテーマパークだ」──。巨匠マーティン・スコセッシが2019年に繰り出したスーパーヒーロー映画批判は、多くの映画監督や俳優たちを巻き込み、現在もしばしば語られるトピックとなっている。

スコセッシ自身は、のちにスーパーヒーロー映画そのものではなく、“工業的に”製作されるフランチャイズ映画や業界の現状を批判するスタンスに傾いていったが、フランシス・フォード・コッポラやジェームズ・キャメロン、クエンティン・タランティーノ、ローランド・エメリッヒら重鎮監督たちが、その後も各々の目線でスーパーヒーロー映画に物申すようになったのだ。

「辛辣だな、と思いましたよ。特に(自分にとっての)ヒーローたちからの言葉は気になります」と語ったのは、ソー役を演じてきたクリス・ヘムズワースだ。過去に彼は、スコセッシ&タランティーノの批判について「メチャクチャ凹みました。自分のヒーローの中で、一緒に仕事を出来ないだろう人が2人いることになりますから」と話したこともあったのだ。

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The Timesの取材にて、ヘムズワースは「スーパーヒーローをバッシングする人たちには苛立った」と率直に明かしている。「彼らにも成功しなかった映画はある。誰にでもあります。けれど、彼らが“スーパーヒーローのここが問題だ”と語る時、僕は“いいね、映画を観てくれる何十億人に言ってくれよ”と思いました。観客たちはみんな間違っていたのかって」。

映画を観る習慣が変わったのはスーパーヒーローのせいじゃない。スマートフォンやソーシャルメディアのせいです。実際には、スーパーヒーロー映画はそうした変化の中でも人びとを映画館に導いていて、だからこそ観客は(劇場に)戻ってきているのです。もう少し評価されてもいいと思います、」

またヘムズワースは、スーパーヒーロー映画を批判するかつての出演者にも苦言を呈している。実名を挙げることはしなかったが、「成功している映画に出たがり、自分の作品がうまくいかなかったと聞けばバッシングしているようなもの」と述べ、自身がソープオペラ(テレビの連続メロドラマ)に出演していた過去を踏まえてこう語った。

「僕はソープオペラ(『Home and Away(原題)』)に育てられましたが、よく気になっていたのは、出演者が後になって、あの番組を罪悪感や羞恥心とともに語ることでした。謙虚であることは長い道のりなのです。当時共演していた年上の方が、“私たちがお金をもらっているのは、良いセリフを良く言うためではなく、悪いセリフを良く言うためだ”と言っていたことが心に残っています。ともかく、すべては学びですね」

マイティ・ソー
『マイティ・ソー』ディズニープラスで配信中 © 2020 Marvel

もっとも、ヘムズワース自身もソーというキャラクターについては複雑な胸中を語り続けてきた。降板を考えたことさえ何度もあったという。

「もしもまたソー役に戻るとしたら、どうすれば再び変化をつくれるかと考えるでしょうね。確かに、“スーパーヒーローの呪い”みたいなものはあるんですよ。自分が枠にはめられて、ちょっとした窮屈さを感じていました。だからこそ、自分が震え上がるようなものをどうしてもやってみたかったんです。『マッドマックス:フュリオサ』がそうでした」

『マッドマックス:フュリオサ』でヘムズワースが演じたのは、ソー役とはうってかわった悪党のディメンタス将軍。その怪演ぶりは、きっとソー役のイメージを覆すにちがいない。

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Source: The Times

Writer

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稲垣 貴俊Takatoshi Inagaki

「わかりやすいことはそのまま、わかりづらいことはほんの少しだけわかりやすく」を信条に、主に海外映画・ドラマについて執筆しています。THE RIVERほかウェブ媒体、劇場用プログラム、雑誌などに寄稿。国内の舞台にも携わっています。お問い合わせは inagaki@riverch.jp まで。

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