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ヒュー・グラントが好きになっちゃう記事 ─ 若い頃の姿、ロマコメの帝王、コリン・ファースとのお茶目いじり合い?

© Miramax/Working Title Films 写真:ゼータイメージ

ウォンカとチョコレート工場のはじまり』ウンパルンパ役を演じることで話題のヒュー・グラントティモシー・シャラメ演じるウォンカを翻弄するトリックスターには、ヒューが長年のキャリアで培ってきたユーモアが存分に発揮されている。名門オックスフォード大学在学中に俳優としてのキャリアをスタートし、その教養の高さで格調高い文学作品から、ラブロマンス、コメディにいたるまで、豊かなウィットをもたらしている。この記事では、「ロマンティック・コメディの帝王」とも呼ばれたヒューのフィルモグラフィを振り返るとともに、共演者とのユーモラスなエピソードをお届けしよう。

 ウォンカとチョコレート工場のはじまり
© 2023 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved.

若き日のヒュー・グラントは、ティモシー・シャラメにも重なる?

ヒューの知名度を地元イギリス・ロンドンから世界的に広げたのが、1987年の映画『モーリス』だ。同性愛が犯罪と見なされていた20世紀初頭のイギリスを舞台に、全寮制の男子校に入学したモーリス(ジェームズ・ウィルビー)とクライヴ(ヒュー)が葛藤を抱きながらも惹かれ合うさまを描く。

メガホンを取ったのは『ウォンカ』で主演を務めるシャラメの出世作となった『君の名前で僕を呼んで』(2017)の脚本を手がけたジェームズ・アイヴォリー。建築や美術に造詣の深いアイヴォリーらしい美意識や哲学が溢れる本作でヒューが見せる儚げな美しさは、『君の名前で僕を呼んで』でセンセーショナルな存在となったシャラメにも重なる。

同じくアイヴォリー監督、カズオ・イシグロ原作の『日の名残り』(1993)やアン・リー監督、ジェイン・オースティン原作の『いつか晴れた日に』(1995)など、重厚な文学作品が難なくハマるのは、英文学専攻というヒューのバックグラウンドあってこそ。以上、3作品ではとりわけ耽美な雰囲気を堪能することができる。

そして「ロマコメの帝王」へ

ヒューのフィルモグラフィを語る上で外せないのはロマンティック・コメディの数々。『ノッティングヒルの恋人』(1999)ではジュリア・ロバーツ演じるハリウッド女優と、住む世界の違いを超えて心を通わせる書店長ウィリアムを演じ、ゴールデングローブ賞主演男優賞にもノミネートされた。当時、大ヒットしたエルヴィス・コステロによる主題歌「She」も今やスタンダード・ナンバーと言える人気を誇っている。

本作の脚本を担ったリチャード・カーティスとは『フォー・ウェディング』(1994)を始め、度々タッグを組んでおり、カーティスの初監督作品『ラブ・アクチュアリー』(2003)はクリスマスムービーの定番として今も世界中で愛されている。

しかし、ロマンティック・コメディと言っても、決してナイスガイばかりを演じるわけではないのがヒューのユニークなところ。レネー・ゼルウィガー扮するブリジッドを振り回す上司ダニエルを演じた『ブリジット・ジョーンズの日記』シリーズや、父親の遺した印税収入で悠々自適に暮らしながらも、周囲からは成長がないと窘められる青年ウィルを演じた『アバウト・ア・ボーイ』(2002)など、「魅力的だけど、ちょっとワルい男」「頼りないところもあるけど、憎めない男」など、他者との関係の中で変わる多面性を、得意のジョークや皮肉を交えて表現するのがヒューの十八番。また、『アバウト・ア・ボーイ』でウィルと親交を育む少年マーカスを演じているのは『マッドマックス 怒りのデス・ロード』(2015)や『X-MEN』シリーズのニコラス・ホルト。ホルトの弾けるような愛らしさにも要注目だ。

このほか、『ラブソングができるまで』(2007)ではドリュー・バリモア、『Re:LIFE〜リライフ〜』(2014)ではマリサ・トメイなど、名コメディエンヌとの掛け合いで、ロマンティック・コメディをより上質にするのがヒューの持ち味とも言えるだろう。シニカルで辛辣な一面を持ち合わせながらも、決して自分だけが前に出ることなく、絶妙なバランス感覚で相手の魅力を引き出している。

『パディントン2』(2017)では落ち目の俳優役、『ジェントルメン』(2019)ではマフィアたちを揺すろうとする私立探偵役など、近年は「悪党になりすぎない悪役」としての存在感も抜群。ちょっととぼけたような、肩の力が抜けたキャラクター造形もヒューならではだ。年を重ね、アスコットタイやチェックのセットアップ、ハイネックのセーターなど、ナイスミドルな英国紳士らしいアウトフィットも様になっている。

映画『ウォンカとチョコレート工場のはじまり』ジャパンプレミア 撮影写真

コリン・ファースとのいじり合い

『ウォンカ』の監督ポール・キングもヒューをウンパルンパ役に起用したのは、鋭いユーモアが決め手だったと語るように、ヒューといえばユーモア、そしてジョーク。そのセンスが最も発揮されるのは、『キングスマン』シリーズでお馴染み、名優コリン・ファースとのいじり合いだ。

ともに1960年生まれで誕生日も1日違いというヒューとコリンは『ブリジット・ジョーンズの日記』シリーズでブリジッドを巡って因縁の関係となるダニエル(ヒュー)とマーク(コリン)を演じているが、とにかくヒューはコリンをいじるのが大好き。共演作でもある『ラブ・アクチュアリー』の短編続編『Red Nose Day, Actually(原題)』は、オリジナル作品のハイライトでもある紙芝居で愛を伝えるシーンをもじったトレーラー映像を制作しているのだが、「私たちの中で一番素敵に年を取ったのは…確実なことがただ1つ」とキーラ・ナイトレイに振られたネタを、ヒューは「それはコリン・ファースではありません」と華麗に落としている。

また、2017年のBAFTA(英国アカデミー賞)のイベントで、「自分の妄想の世界の中では、私はマーティン・スコセッシの作品に出ているんですよね」とヒュー節を利かせた後に「一般的に言って、コリン・ファースが演じる全ての役を私が演じるべきです。コリンだってそう思っているはず」とコリンに言及することも忘れない。2022年のBAFTA会場には、コリンの席に「コリン・ファースを想って。まだ死んでいないけど、そのようなもの。スポンサード・バイ・ヒュー・グラント」と不謹慎すれすれのパネルを刻んでいたことをを現地ジャーナリストの投稿で明かされている。

直近では『ダンジョンズ&ドラゴンズ』でのインタビューにて「セレブリティを1人生き返らせるなら、誰にする?」との問いに、クリス・パインが「バスター・キートン」と大真面目で答えているのに対し、ここでもヒューは「コリン・ファース」とコリンいじりに抜かりがない。

このいじりっぷりをコリン本人はうんざり感じないものかと気になってしまうが、『ブリジット・ジョーンズの日記』でダニエルとマークが殴り合うシーンについて、「お互いのシャツをはぎ取るようなセクシーに見えるシーンにしようと当初は考えていたんだけど、僕たちはどちらも最後に喧嘩をしたのが10歳のときでした。遊び場の喧嘩ですよ。だから考えを変えて、もっとふざけたものにしようと決めたんです」と語っている。はた目にはきわどい冗談も、互いに素の部分を理解しあっているから。紳士的な友好やリスペクトの元に、ファン垂涎のいじり合いが成立しているのだろう。

映画『ウォンカとチョコレート工場のはじまり』ジャパンプレミア 撮影写真

Source:Deadline,X,YouTube,Los Angeles Times

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Yuka ShingaiYuka Shingai

携帯向け音楽配信事業にて社内SE、マーケティング業務に従事した後、妊娠・出産を機にフリーライターに転向。 映画とお酒と化粧品が好き。日課のオンライン英会話でもしょっちゅう映画の話をしています。

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